釜山女子大学校における日本語研究

李 明姫(lee myung hee)


釡山女子大学校は,釜山中心地から車で30分ほど西へ行った小高い山の中腹にある。創立32年目をむかえ,現在,4大学36学科に加え,一般大学院9学科,教育大学院5学科を有し,7千人近い学生が学んでいる総合大学校である。緑に囲まれた風光明媚なキャンパスは,裏山からおいしい湧き水が湧き出ていることもあり,訪れる人が後を絶たない。
日本語教育に古い歴史をもつことで有名な我が校には,日本語関係の学科が二つある。師範大学の日語教育学科,人文社会大学の日語日文学科である。学生数は日語教育科が一学年30名,日語日文学科が一学年40名である。さらに教育大学院にも日本語専攻が置かれ,現在16名の院生が日本語研究に取り組んでいる。その他,社会教育院(社会人向け公開講座)もあり,こちらでも日本語に人気が集まっている。
また,日本語専攻外の学生についても,1995年に出された「教育大改革」の一環として,我が校では,今年度から入学者全員に英語,コンピュータ,とともに日本語が必修科目となっている。必修科目には卒業試験があり,今後,全学生が卒業までにいわゆる中級終了程度の日本語を学習することになる。
師範大学では,専門である教育学に重きを置く方向に改革を進めており,日語教育科でも教育専攻という専門性を生かすために50%近くの科目を改訂して,教授法等の科目を増やしていく予定である。また,アクセントや音声言語の教育に対しても強い関心があり,新プロ「日本語」の「音声言語の韻律特徴に関する実験的研究(ESOP)」グループで開発中のアクセント,イントネーションの聞き取り,生成訓練用のマルチメディア教材も早く利用したいと期待している。
大学院においては,院生を中心にハイパーメディアを使った教材の開発にも力を入れている。これらは韓国内でも新しい試みである。まだ,開発された教材は未熟なものではあるが,何度か開かれた公開講座や,マルチメディアを使った講義は高い評価を受けており,これから種々の方面から注目されていくものと思われる。
日本との交流に関しては,今年度から留学生を受け入れるとともに,交流協定校との国際シンポジウム,ホームステイ,日本人の教育実習生の受け入れなど盛んである。学生たちからも「言葉だけでなくお互いの文化を知るよい機会になる」,「国際化を身近なこととして考えられる」と,とても喜ばれており,学生レベルの良い国際交流の場となっているようである。このような交流は始まったばかりであるが,今後もさらに多く,また定期的に交流の場が持てるようにしていきたいと考えている。
なお,日語教育科,日語日文学科,両学科で,3名の日本人教師を採用している。学生が日本人と触れる機会を多くすることが目的であるが,1大学で3名というのは韓国の大学では画期的なことである。今後もさらに多くの日本人教師を採用し,学生の会話力向上をはかりたいと考えている。
また,毎年,秋には,学術祭が開かれ,日本語劇公演と弁論大会が開催されている。これらは古い歴史があり,我が学科の重要な行事のーつとなっている。弁論大会はソウルの大使館と釜山の領事館の弁論大会に参加する学生を選抜するための行事でもある。日本語演劇は今年で22回目をむかえた。今回もl,2年生中心に1時間以上におよぶ長時間の演劇が上演され,楽しい演技とともに1,2年生とは思えないほどの日本語力に観客からは感嘆と称賛の拍手が送られた。学生たちからも演劇によって日本語に自信がつくと高い評価を得ている。この演劇はビデオを撮り,関係者に配るとともに保存にも力をいれている。
国際化が声高に叫ばれている今日,日語教育科,そして釜山女子大学校は学生になるべく多くの国際交流の場を提供し,日本語力の向上とともに国際人として自覚をもった学生を育てていきたいと考えている。

釜山女子大学校

   



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