参考:言葉の頻度調査(コーパス調査)
- ◇目的:
- 「病院の言葉を分かりやすくする提案」に取り上げる言葉の候補を広く収集し,取り上げるべき優先度の高い言葉を抽出するために行いました。
- ◇方法:
- コーパスとは,「電子化された大量の言語資料」という意味で,言語学の分野で幅広く活用されています。ここでは,医療媒体のコーパスと一般媒体のコーパスを用いました。また,コーパスを補うために,医療用語集の見出し語の調査も行いました。
A.コーパス- 医療媒体と一般媒体のコーパスを作成し,使われている言葉の頻度を算出しました。
- 難解で重要である語を取り出すために,頻度を指標に,難解度と重要度を測りました。
- 二種の専門度(難解度)
考え方:専門度の高いものは,なじみがなく難解に感じられる①医療媒体*と一般媒体**における頻度を比較
→「分野の専門度」を測る
②専門家向け医療媒体と一般人向けの医療媒体における頻度を比較 →「読者の専門度」を測る→ 両方の指標から難解度の高い語を抽出 - 重要度
考え方:一般の人に重要な医療用語は,一般人向けの医療媒体に様々な話題で,よく使われる③一般人向けの医療媒体における頻度 →「使用回数」を測る
④使用される場面(=記事)の頻度 →「使用範囲」を測る→ 両方の指標から重要度の高い語を抽出 - 難解度と重要度の組み合わせにより,いずれも高い語を,難解で重要である語とみなしました。
* 医療媒体は,医療雑誌,新聞の医療記事,ネット上の医療情報を対象にしました。
B.医療用語集調査
** 一般媒体は,国立国語研究所で開発中の「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を対象にしました。
→ 国立国語研究所の言語コーパス整備計画KOTONOHAはこちら- 収録語数が多く信頼性がある,一般人向けに編集された二十数種類の医療用語集の見出し語を,リスト化しました。
- 掲載数を基準にして,言葉を取り出しました。
- ◇コーパス調査等による語彙抽出:
- 上記の「A.コーパス」において難解度と重要度が高く,かつ「B.医療用語集調査」において掲載数の多い語と,「医師に対する問題語記述調査」の結果とを合わせて,2004語を抽出しました。
- ◆抽出された2004語の一覧
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*本ページの「病院の言葉」にかかわる調査データを引用する場合は,必ず出典を明示してください。
*参考 (コーパス調査による語彙抽出方法の詳細は,次を参照してください)
・田中牧郎・金愛蘭・桐生りか・近藤明日子「コーパスによる難解語・重要語の抽出―医療用語を例に―」
(社会言語科学会第21回大会発表,平成20年3月)
・金愛蘭・桐生りか・近藤明日子・田中牧郎「『一般向け専門用語』抽出の試み―医療用語を例に―」
(日本語学会2008年度春季大会発表,平成20年5月)