「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書
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1.「病院の言葉」の問題 ―その類型―

 病院で医療者が使う言葉が患者に伝わらない問題は,いくつかの類型に分けることができると予測されます。その類型を適切に見極め,類型ごとに問題解決のための対応方法を検討していくのが,有効だと考えました。
 類型を見つけ出す作業は,次のような手順で行いました。まず,医師に対して患者に言葉が伝わらなかった経験を尋ねる調査5を行い,書き込まれたコメントを分析し,問題の類型として設定できそうな枠組みを検討しました。その枠組みのうち,改善のための対応方法を明確に示すことができるものを,類型として設定することを考えました。
 類型化の作業と並行して,別に選定した100語6について,医療者の用語意識の調査7と非医療者の理解度等の調査8を行いました。また,この100語について,どのような表現を工夫すれば患者に分かりやすく伝わるのか,詳しい分析を行いました。この調査結果と分析を通して類型を固め,一つ一つの言葉がどの類型に属するかを判断していきました。言葉の意味や指し示す事物を明確化し,それを効果的に伝える方法を,様々な角度から検討しました。類型によっては,意味や指示物の説明だけでなく,誤解や混同を避けるための方策,患者の病状や心理状態に配慮した言葉遣いなどが必要になる場合もありました。


5 詳しくは,「Ⅳ.検討の経過」の「3.3 医師に対する問題語記述調査」を参照してください。
6 100語の選定手順については,「Ⅳ.検討の経過」の「4.1 言葉の選定作業」に記しました。
7 詳しくは,「Ⅳ.検討の経過」の「3.4 医療者に対する用語意識調査」を参照してください。
8 詳しくは,「Ⅳ.検討の経過」の「3.5 非医療者に対する理解度等の調査」を参照してください。

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