「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書
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3.5 非医療者に対する理解度等の調査

 医療者の用語意識を調べたのと同じ100語について3,非医療者の認知度,理解度を把握することを目指しました。合わせて,ありがちな誤解や混同がどの程度広がっているかについても調査しました。インターネット上に調査ページを置き,全国の20歳以上の男女10,811人に依頼し,4,276人が回答しました。
 調査の主要な質問文は,「ウイルス」の場合を例に示せば,次のようなものです。問3は,語によって異なる選択肢になり,選択肢の数も変動します。語によっては問2まで終わりとなる場合もあります。

問1. あなたは,「ウイルス」という言葉を見たり聞いたりしたことがありますか。
     a ある   b ない

[問1で,a と回答した人に]
問2. あなたは,病院で使われる「ウイルス」という言葉が,「細菌より小さく,電子顕微鏡でないと見えない病原体」という意味であることを,知っていましたか。
     a 知っていた   b 知らなかった

[問1で,a と回答した人に]
問3. 次に挙げるのは,「ウイルス」についての,ありがちな誤解や偏見,不正確な理解です。これらのうち,あなたがそのように理解していたものすべてを選んでください。(今はそのように理解していなくても,過去にそのように理解していたことがあれば,すべて選んでください)
     a ウイルスには,抗生剤がよく効く
     b 細菌と同じものである
     c ウイルスに感染すると必ず病気になる
     d ウイルスに感染した後でも,ワクチンを接種すれば治る

 問1で「a ある」と回答した人の比率を「認知率」,問2で「a 知っていた」と回答した人の比率を「理解率」4として算出しました。それぞれの数値の高低を,提案で取り上げるか否か,どのように取り上げるかの判断材料にしました。また,問3で誤解などの回答が多かったものについては,提案の中でその事実に言及し,誤解や混同を回避するような説明方法を提案することを検討しました。さらに,医療者に対する用語意識調査の結果と突き合わせることで明らかになった問題についても,その改善方法について検討しました。



3 厳密に言うと一語違っています。検討を進める中で,「合併症」という言葉は問題が多いことに気づき「術後合併症」も別に調査すべきだということになりました。そのため,非医療者調査では「合併症」のほかに「術後合併症」の語を加えました。代わりに「ケアプラン」の語を外しました。
4 問1の回答者数を母数にして,問2で「a 知っていた」と回答した人の数の割合を算出しました。

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©2008 The National Institute for Japanese Language