3.4 医療者に対する用語意識調査
約2,000語の言葉のリストを作業台帳にして,実務委員による検討によって,詳しく検討する言葉を100語に絞り込みました(この作業の具体的進め方については後述します)。その100語について,医療者が実際にどのように使い,患者に理解してもらうことがどの程度必要で,どの程度困難と意識しているかを把握する調査を行いました。インターネット上に調査ページを置き,医療者にメールで依頼する形で調査を行いました。医師3,000人と看護師・薬剤師1,280人に依頼し,医師650人,看護師・薬剤師995人(看護師735人・薬剤師260人)から回答を得ました。
調査の主要な質問文は次の通りです。
問1. あなたは,以下の言葉を日常の仕事の中で,患者やその家族に対して使っていますか。以下の言葉それぞれに対して該当する項目をお選びください。
(1)そのまま使い,言い換えたり説明を付けたりはしない
(2)そのまま使うが,言い換えたり説明を付けたりしている
(3)そのままでは使わないで,別の言葉で内容や概念は説明している
(4)自分の仕事に関係はあるが,使う機会がない
(5)自分の仕事に関係ないので,使っていない
[問1で(1)(2)(3)と回答した人に]
問2. あなたの仕事の場で,その言葉を,患者やその家族に理解してもらうことは必要ですか。次の四段階で御回答ください。
(1)全く必要ではない (2)あまり必要ではない
(3)やや必要である (4)大いに必要である
[問1で(1)(2)(3)と回答した人に]
問3. あなたの仕事の場で,その言葉を,患者やその家族に理解してもらうことが困難だと感じることがありますか。次の四段階で御回答ください。
(1)全くない (2)たまにある (3)時々ある (4)しばしばある
問1の回答から,医療者がよく使うことが明らかになった言葉,問2・3の回答から,医療者が患者に理解してもらうのが必要で困難に感じている言葉は,提案に取り上げる必要性が高い言葉だと考えました。また,次に述べる,非医療者に対する理解度等の調査の結果と突き合わせ,患者の理解度と比較して,医療者の言葉の使い方に問題があると見られるものについても,取り上げるべきものだと考えました。