2.3 四つの調査
予備調査の結果をふまえ,委員会の正式発足の後,四つの調査を順次実施することにしました。まず,言葉を網羅的に集める手段として,医療媒体(雑誌・新聞・インターネット・医療用語集など)に用いられている言葉の頻度調査(①コーパス調査1)を行うことにしました。また,人を対象とする調査は,言葉を広く集めることを目的とする場合は,医師を対象に行うことにしました(②医師に対する問題語記述調査)。集めた言葉を絞り込んだ後,使用実態や使用意識を把握する調査を,医師と看護師・薬剤師に対して実施することにしました(③医療者に対する用語意識調査)。患者(非医療者)に対しては,絞り込んだ言葉について,認知度や理解度などを調べる調査(④非医療者に対する理解度等の調査)を行うことにしました。この調査は,現在の患者に限定せず,いずれ患者になる非医療者全般を対象とすることにしました。
これらの四つの調査と,言葉を集める観点との対応をまとめると次のようになります。実施した時期も示しました。
(1)医療用語のうち,患者にとって重要でありながら難解な言葉
①言葉の頻度調査(コーパス調査)平成19年10月~平成20年1月に実施
③医療者に対する用語意識調査 平成20年3月に実施
(2)医療者が患者に理解してもらうのが難しいと感じている言葉
②医師に対する問題語記述調査 平成19年11月に実施
③医療者に対する用語意識調査 平成20年3月に実施
(3)医療者が患者に対して使っていながら,患者が理解していない言葉
③医療者に対する用語意識調査 平成20年3月に実施
④非医療者に対する理解度等の調査 平成20年8月に実施
1 「コーパス」とは,電子化された大量の言語資料を意味する言語学の専門用語です。コーパス調査では,言葉の使用頻度をもとに,統計処理によって言葉を収集し抽出しました。