2.2 予備調査の実施
このような言葉を集める方法を考えるために,関東地方と東北地方の二つの病院の協力を得て,病院で働く様々な職種の医療者と,入院患者・外来患者に対して,面接調査を実施しました。医療者に対しては,患者に伝えるのが難しいと感じた言葉やそのときのできごと,患者に理解してほしいと思う言葉やその理由を尋ねました。患者に対しては,医療者から説明を受けた言葉の中で分かりにくかったものと,そのときの具体的な状況を尋ねました。あらかじめ例として用意した20~30語のリストをもとに尋ねるとともに,自由に言葉を挙げてもらうことも行いました。
この予備的な調査によって,調査の意図に沿った回答が多く得られるのは,医療者の場合,第一に医師,次いで看護師・薬剤師であることが分かりました。また,患者に対する調査では,全般に求める回答が得にくく,医療者から受けた説明を思い出しながら,分かりにくい言葉を挙げてもらうやり方では,多くの言葉を収集することは難しいことが分かりました。そして,総じて,人を対象に問題となる言葉を挙げてもらう方法によって網羅的な収集を行うのには限界があることも分かりました。人を対象とする調査とは別の方法を取る必要性が示唆されました。