「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書
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(6)医療の現状の問題点

  • 説明が難解であるとか,用語が分かりにくいということは,法律,政治の分野でも同じことが考えられると思います。基本はじっくり時間をかける余裕があれば大体の問題は解決できるのですが,現実的には非常に難しい。医師に時間的余裕を持たせる勤務体制になることが本当は最良の方法と思います。なぜなら患者さんたちは医師からの説明を最も希望されており,医師も時間的余裕さえあればだれでも理解できるようには説明できます。(医師・50代)
  • 医療従事者が最近父母の通院に家族として付き添ってみて,しみじみ実感したことを述べます。言葉が難しいという問題は,確かにありますが,それよりも時間がないという障害が大きいのではないでしょうか。医師も一生懸命かみ砕いて説明しようと努力をしています。いかんせん,とにかく時間がなくて,三分診療の中では,私自身の訴えたいこと,確かめたいことも言えないし,医師はそれを聞くより自分の言いたいことや説明を述べるので精一杯という状況なのです。聞きたくても聞けない,言えないという医療の状況を変えなければと思いました。今回の取り組み自体はとても重要で有意義でありますが,分かりやすく,コミュニケーションを取るための問題の解決は,もっと複合的で構造的な問題なのではないでしょうか。(看護師・医療系の教員・50代)
  • 提案を拝見し「医療現場の問題」を改めて感じました。適切な医療を行うためには,患者さんとの会話が重要であると認識していながら,「時間がない」の一言で片付けようとしてしまう傾向が医療現場にはあります。難しい言葉や外来語,医療専門語を多く使い,結果として「患者さん(国民)のために医療を行う本質」を忘れ,「効率良く短時間で威圧的に医療を施す手段」に使ってしまっている気がします。薬学部も六年制になり医師と同様に実務実習が義務化されます。実務実習生が医療現場で感じる戸惑いが「患者さんの戸惑い」に近いと思います。医学生や薬学生が実務研修中に気づいた「分からない言葉」を集めると具体性が高まるかもしれません。(薬剤師・30代)
  • 医療で最も大切なことはコミュニケーションですが,医学部では言葉についての教育はほとんどなされません。これは大学教育が文科系,理科系と分かれていることも大きな原因です。実は医療系の人々にこそ,日本の言葉,日本の文化をよりよく理解してもらっていないと,お年寄りから幼小児までの診療を行う際のコミュニケーションがうまく取れません。治療方針を立てる際には個々の患者さんの生活に十分に配慮して行う必要があります。そのためには,生活文化の根本を成す言葉の教育が必要なのです。(医師・50代)
©2008 The National Institute for Japanese Language