5.「病院の言葉」を分かりやすくする提案をより良いものにするには
Q9の「病院の言葉」を分かりやすくする提案をより良いものにするにはについて,回答した結果を集計すると,表9の通りです。
表9 「病院の言葉」を分かりやすくする提案をより良いものにするには
医療者 | 非医療者 | 総計 | ||||
取り上げる語数をもっと増やした方が良い | 280 | 17.9% | 38 | 12.6% | 318 | 17.1% |
図やイラストを盛り込んだ方が良い | 415 | 26.6% | 73 | 24.3% | 488 | 26.2% |
内容をもっと簡潔にした方が良い | 213 | 13.7% | 30 | 10.0% | 243 | 13.1% |
もっと専門的な内容に踏み込んだ方が良い | 43 | 2.8% | 17 | 5.6% | 60 | 3.2% |
コミュニケーションに関する工夫をもっと取り上げた方が良い | 213 | 13.7% | 62 | 20.6% | 275 | 14.8% |
調査結果など客観的なデータをもっと盛り込んだ方が良い | 113 | 7.2% | 27 | 9.0% | 140 | 7.5% |
コラムなどの読み物を盛り込んだ方が良い | 82 | 5.3% | 20 | 6.6% | 102 | 5.5% |
コラムなどの読み物を盛り込んだ方が良い | 82 | 5.3% | 20 | 6.6% | 102 | 5.5% |
このままで十分である | 59 | 3.8% | 6 | 2.0% | 65 | 3.5% |
その他 | 142 | 9.1% | 28 | 9.3% | 170 | 9.1% |
小 計 | 1560 | 100.0% | 301 | 100.0% | 1861 | 100.0% |
無回答 | 68 | - | 0 | - | 68 | - |
総 計 | 1628 | - | 301 | - | 1929 | - |
「図やイラストを盛り込んだ方が良い」という回答が最も多くありました。患者に医療について説明する際は,図やイラストが有効ですが,中間報告では,「寛解」の項目に一枚図があるだけで,不十分と見られたと考えました。この意見を踏まえ,市販本では大幅に図やイラストを増やすことにしました。
ほかには,「取り上げる語数をもっと増やした方が良い」「コミュニケーションに関する工夫をもっと取り上げた方が良い」「内容をもっと簡潔にした方が良い」の三つが,10%以上を超えました。
このうち,「内容を簡潔に」という意見は,自由記述欄に書かれた内容などと照らし合わせると,文字がいっぱいの紙面では読みにくい,読んでもらいにくいということに基づくようにも思えました。そこで,市販本では,見開きの左ページの冒頭から一つ一つの言葉の解説が始まるようにしたり,重要な項目は文字を大きく目出たせたり,イラストを入れたりして,視覚的に見やすい形式に工夫することにしました。また,「コミュニケーションに関する工夫」については,やはり市販本に,コミュニケーションに関するテーマをいくつか設定して,委員の体験や研究に基づいた読み物を,コラムとして掲載しました。
「語数を増やす」点については,そうした要望が多いことは理解できますが,今回は対応しないことにしました。なぜなら,患者にとって難解で重要な医療用語は非常に多く,数をそろえるには大変な労力を伴い,可能な範囲で言葉を増やしても,満足できる分量に達することは困難だからです。「病院の言葉」を分かりやすくする提案は,この通りに説明すればよいといったマニュアルを提示することを目指したものではなく,一人一人の医療者が,多様な医療場面で応用できるような,分かりやすい説明のための基本的な枠組みを,指針として提示することを目指したものです。語数を増やすことよりも,まずは基本的な考え方を事例によって丁寧に示すことを優先させました。
「その他」を選択し,具体的な改善点を記した回答が170件もありました。その中で特に目を引いたものは,「医療者一般や患者から,取り上げてほしい言葉や理解しにくかった言葉を出してもらって検討するやり方をとってはどうか」,「実際の会話例を豊富に挙げるのが良い」,「ポイントをしぼった簡易なパンフレットを作るなどして,普及を図ってはどうか」などでした。