知る(しる)

知的行為を表す動詞
活用表 1グループ 平板型
コアイメージ
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1《情報獲得》新しい情報・知識を得る。
2《内容把握》内容がどのようになっているか理解する。
3《状況・状態の気づき》ある状況に気づく・認識する。
4《人との面識》人と面識がある。
5《経験を伴った理解》経験などを通して実感とともに理解する。
6《本質理解》物事の本質に気づき、理解する。
7《体験・感覚の欠落》(否定形で)そのような体験・感覚がない。
8《限界の欠如》(否定形で)限界がなく、終わりなく続く。
9《関わり拒否》(否定形で)人や事柄との関わりを持たない。
慣用表現 知る人ぞ知る、知らぬが仏、知る由(よし)[術(すべ)]もない、いざ知らず、衣食足りて礼節を知る、井の中の蛙(かわず)、大海を知らず、一を聞いて十を知る、親の心子知らず、知らぬは亭主ばかりなり、足る(こと)を知る、お里が知れる、得体(えたい)が知れない、推(お)して知るべし、高(たか)が知れる、物を知る
全体解説
複合語
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1 《情報獲得》
他動詞 初級 ★★★ 表記知る
新しい情報・知識を得る。
類義語理解する、獲得する、分かる(結果が分かった)
文型
〈情報・知識〉を知る
文法
受身 ○ 尊敬 △ 使役 ○ 意思 ○ 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
今朝のニュースでその事件を知った
「最近駅の近くに新しいレストランができたの知ってる?」「え、知らない。初めて聞いたよ」
「この問題の答え、何?」「答えをすぐ知りたい気持ちは分かるけど、自分で調べたほうがいいよ」
この人物は日本で初めてノーベル賞を受賞した人として広く知られている
彼は10年も前から彼女の秘密を知っていたのに、そのことを誰にも言わなかったらしい。
引っ越しをしたらすぐに、新しい住所を知らせてください。
コロケーション
〈情報・知識〉を知る 必須項
情報:事件、情報、存在、事実、秘密、道、(言葉の)意味
場所:場所、位置、居場所、行方、アドレス
結果:結果、答え
今朝NHKのニュースでその事実を知った。 (Yahoo!ブログ, 2008, 趣味) コーパス
家族は君の居場所を知っているの? (ノーラ・ロバーツ著;平江まゆみ,矢吹由梨子訳 『マクレガー家の物語』, 2001, 933) コーパス
〈手段〉で知る
ニュース、テレビ、報道、新聞、紹介、きっかけ
そのニュースをテレビで知ったとき、背筋に冷たいものが走った。 (秋野沙夜子著 『熟年夫婦の味わい』, 2004, 049) コーパス
〈様態〉知る
世界的に、一般的に
〈時〉から知る
以前、昔、前、時代、最初、当初、後(あと)
思いがけない出来事だが、実はずっと以前から知っていた懐しいことのような気がする。 (日野啓三著;日野啓三著 『梯の立つ都市;冥府と永遠の花』, 2001, 913) コーパス
〈手段〉から知る
データ、資料、記録、話、内容、言葉
陸奥(出羽)の植民と上野との関係は記録からも知られよう。 (松田壽男著 『古代の朱』, 2005, 210) コーパス
解説
この語義では、新たに得た情報の内容が文で表される内容である場合、「こと」や「の」を使って「〜ことを知る」「〜のを知る」と表現するが、以下の例のように情報内容を「と」で示して「と知る」という文型でも使われる。例えば下の例1)において、aでは情報内容を「ことを」で示しているが、bのように「と」でも受けることがある。例2ではa.が「のを」で示しているが、b.のように「と」で示すことがある。
(例1)
a.ニュースを見て、家の近くで大きな事件があったことを知った
b.ニュースを見て、家の近くで大きな事件があったと知った
(例2)
a.私は、友人が自分と同じ地域の出身なのを知って、親近感がわいた。
b.私は、友人が自分と同じ地域の出身だと知って、親近感がわいた。
また、尊敬を表す場合は「お知りになる」が使われ、「知られる」が使われることはあまりない。
「知らせる」は「知る」の使役形だが、辞書では「他人に教える」という意味の独立した他動詞となっている。
誤用解説
この語義において「知る」は、外部の情報源から新たに知識を受け取ること、「知っている」は知識を持っている状態のことを表す。下記の例1は「知る」「分かる」どちらも使用可能であるが、発話の場で例2のように自ら考えて答えを導き出すような場面や、例3のように何らかの手段を使って事柄を明らかにするような場面では、「知る」の使用が不自然になる。
例1)
a. 当時の資料から江戸の産業構造が分かる。
b. 当時の資料から江戸の産業構造を知ることができる。
例2)
a. 解答時間が終わった後、教師の問いかけ)「答えが分かる人?」
b.(解答時間が終わった後、教師の問いかけ)「答えを知っている人?」
例3)上司「明日の会議は何時から?」
a. 部下「ちょっと今は覚えていないんですけど、手帳を見れば分かります」
b. 部下「ちょっと今は覚えていないんですけど、手帳を見れば知ります
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2 《内容把握》
他動詞 初級 ★★★ 表記知る
内容がどのようになっているか理解する。
類義語理解する、分かる(仕事の内容が分かっている)
文型
〈内容〉を知る
文法
受身 ○ 尊敬 △ 使役 △ 意思 ○ 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
滞在経験が長かった彼は、その国の政治事情をよく知っている
自分の住んでいる地域についてもっと知ってほしい
自分の国の文化をきちんと知っておくことは大切だ。
この病気はしばしば話題になるわりに、その実態は十分に知られていない
効果的な運動の方法を具体的に知りたい
ストレスのメカニズムを正確に知れば、ストレスとうまく付き合えるようになるだろう。
コロケーション
〈内容〉を知る 必須項
内容:内容、詳細、特徴、すべて、詳細、変化、文化、歴史、仕事
状況:事情、実態、現状、現実、状態、状況、様子
背景:原因、理由、背景、メカニズム、経緯
方法:方法、仕組み、ルール、コツ
賛成し支援してもらう第一歩は、活動内容を十分に知ってもらうことだ。 (石川忠幸,小野隆一著 『戦略リーダーシップ』, 2004, 336) コーパス
事情を知らない人が見たら、さぞ異様な光景でしょうね。 (冴木忍著 『おツキさまと踊ろう』, 2002, 913) コーパス
〈程度〉知る
よく、もっと、あまり、それほど、広く、深く、全然、詳細に、正確に
〈様態〉知る
具体的に、経験的に
解説
尊敬を表す場合は「お知りになる」が使われ、「知られる」が使われることはあまりない。
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3 《状況・状態の気づき》
他動詞 初級 ★★★ 表記知る、識る
ある状況に気づく・認識する。
類義語認識する、気づく(ガスが漏れているのに気づいた)
文型
〈状況〉を知る
文法
受身 ○ 尊敬 △ 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
彼女はそこに本人がいるのを知らず、悪口を言ってしまった。
「昨晩のうちに玄関の花が咲いたみたいだよ」「ほんと?知らなかった
犯人は誰にも知られずに現場から姿を消した。
母の病室に慌ただしく看護士が出入りしているのを見て、何か良くないことが起こったのを知った
感動的な映画を見ていたら、知らないうちに涙があふれてきた。
「会議中、隣の人のおならが聞こえたらどうする?」「私なら知らないふりをするよ」
コロケーション
〈状況〉を知る 必須項
〜の、〜こと
「ごめんよ、そこにいるのを知らなかったんだ」 (松谷みよ子編著;三栗沙緒子絵;栗田美和語り 『少女が運んだ中国民話』, 2001, ) コーパス
〈程度〉知る
よく、全く、誰一人
〈時〉から知る
前、昔、〜頃
解説
この語義は否定形で用いられることが多い。
また、尊敬を表す場合は「お知りになる」が使われ、「知られる」が使われることはあまりない。
この語義は気づいた内容を「を」で示し、「〜を知る」と表現するが、以下の例のように気づいた内容を「と」で示して「と知る」という文型でも使われる。例えば下の例1)において、aでは気づいた内容を「を」で受けているが、bのように「と」でも受けることがある。例2も同様である。
(例1)
a.彼女はそこに本人がいるのを知らず、悪口を言ってしまった。
b.彼女はそこに本人がいると知らず、悪口を言ってしまった。
(例2)
a.後になってその行為が無駄だったことを知った
b.後になってその行為が無駄だったと知った
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4 《人との面識》
他動詞 中級 ★★ 表記知る、識る
人と面識がある。
類義語実感する
文型
〈人〉を知る
文法
受身 △ 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
「ねえ、A社の鈴木さんって、知ってる?」「うん、鈴木さんには一度会ったことがあるよ」
(教師が小学生への注意で)「知らない人に声をかけられても、ついて行ってはいけませんよ」
「あーあ、彼女ほしいなあ。誰かいい人知らない?」「一人、素敵な人がいるよ」
友人に連れられてパーティーに参加したが、知っている顔が全くなく、心細く思った。
私は昔からその人をよく知っている
彼の悪口を言う人を私は誰一人知らない
コロケーション
〈人〉を知る 必須項
○○さん、人、顔
ほとんどの人は岡本太郎をしっている。 (梅原賢一郎著 『カミの現象学』, 2003, 382) コーパス
〈程度〉知る
よく、全く、誰一人
〈時〉から知る
前、昔、〜頃
以前からイヴァンを知っていた人びとは、このとき彼の顔つきがすっかり変わり、目は光沢を失い、髪もひげもほとんどなくなってしまったことを認めた。 (外川継男著 『ロシアとソ連邦』, 1991, 238) コーパス
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5 《経験を伴った理解》
他動詞 中級 ★★ 表記知る
経験などを通して実感とともに理解する。
類義語実感する
文型
〈事柄〉を知る
文法
受身 △ 尊敬 △ 使役 ○ 意思 △ 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
病気で入院してみて初めて、健康であることの大切さを知った
「そんなに仕事が嫌なら会社を辞めてしまえばいいのに」「君は失業の怖さを知らないから、そんな簡単に言えるんだ」
彼は母親を知らずに育った。
戦争を知らない世代が世の中の大多数を占めるようになった。
大学生になったら留学して、もっと広い世界を知りたい
あいつは俺をなめている。今こそ俺の本当の力を知らせてやる
やっぱり世界を知ると、価値観も変わるよね。
コロケーション
〈事柄〉を知る 必須項
価値:怖さ、良さ、大切さ、難しさ、重要性、危険性、喜び
事柄:世界、世間、愛、戦争、時代、力
国家というものの冷酷さを知った。 (高田宏著 『われ山に帰る』, 1990, 913) コーパス
あらためて北米社会の多様性を知った。 (旅山端人著 『漂々三国留学記』, 2002, 290) コーパス
解説
尊敬を表す場合は「お知りになる」が使われ、「知られる」が使われることはあまりない。
「知らせる」は「知る」の使役形だが、辞書では「他人に教える」という意味の独立した他動詞となっている。
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6 《本質理解》
他動詞 中級 ★★ 表記知る
物事の本質に気づき、理解する。
類義語理解する、悟る
文型
〈本質〉を知る
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 △ 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
ライバルに勝とうと思ったら、まずは自分自身を知ることである。
この作家の作品を読むと、いつも「人間をよく知っているな」と思う。
将来どうなるかは、すべてあなた次第であることを知っておいてほしい。
人間は誰しも死ぬということを知らなければならない。
人生の意味を知りたくて、いろいろな哲学書を読んでみた。
コロケーション
〈本質〉を知る 必須項
物事の道理・倫理・価値:〜ことの意味、〜こと
自分自身:自分、己、(自分)自身
わたしがなぜ離婚したか、本当の意味を知っている? (泡坂妻夫著 『湖底のまつり』, 1994, 913) コーパス
もうひとつ、コンプレックスを受け入れることも、自分を知るためには不可欠です。 (宋文洲著 『努力しているヒマはない!』, 2005, 159) コーパス
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7 《体験・感覚の欠落》
他動詞 上級 ★ 表記知る
(否定形で)そのような体験・感覚がない。
文型
〈体験・感覚〉を知らない
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ×
例文
連続して聞く
子供たちは疑うことを知らない澄んだ目をしていた。
彼女は頼まれると何でも引き受けてしまう。断ることを知らないのだ。
プロとは自分の成果に満足することを知らず、常にレベルの向上を目指し続けるものだ。
国内では負けを知らなかった彼が、国際試合で初めて負けた。
初対面の名刺交換ではマナーを守り、「礼儀を知らない奴だ」などと思われないようにしよう。
国民の血税を私欲のために使うなんて、恥を知らない政治家だ。
コロケーション
〈体験・感覚〉を知らない 必須項
体験:疑う[断る、許す、恐れる、満足する、飽きる]こと、負け
感覚:恥、礼儀、情け、疲れ、恐れ、怖いもの
状態:汚(けが)れ
あの子はまだ七歳にもなっていなくて、疑うことを知らない。 (シャロン・サラ作;藤峰みちか訳 『愛は時空を越えて』, 2003, 933) コーパス
賤しい家に生まれた人でも、聖者として道心堅固であり、を知って慎むならば、高貴の人となる。 (高尾利数著 『ブッダとは誰か』, 2000, 182) コーパス
解説
この語義の場合、基本的には「通常は備えているような体験や感覚がない」という意味で、その人物の特徴を表す。否定形で使われることが多いが、命令的・当為的な「そのような行動をしろ。そのような感覚を持つべきだ」という意味で、肯定形が使われることがある。
 例1)恥を知れ
 例2)礼儀というものを知りなさい
 例3)許すことを知るべきだ。
また、「礼儀」「恥」「負け」「怖いもの」などの名詞の場合、「礼儀知らず」「恥知らず」「負け知らず」「怖いもの知らず」のように「知らず」を伴って、「そのような感覚がないこと」を表す。
 例)あんなに礼儀知らずの学生は見たことがない。
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8 《限界の欠如》
他動詞 上級 ★ 表記知る
(否定形で)限界がなく、終わりなく続く。
文型
〈限界〉を知らない
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ×
例文
連続して聞く
何十年も宇宙の研究をしているが、宇宙への興味は尽きることを知りません
新しいコーチを迎えてからというもの、その選手の成長はとどまるところを知らなかった
彼女の物欲は満足の限界を知らないほどだ。
彼のいくつになっても衰えることを知らないパワーの源は何だろうか。
コロケーション
〈限界〉を知らない 必須項
とどまる(衰える、尽きる)こと、とどまるところ、限界
すでに父は病弱で、いま考えると、父はかなり正確に自らの生命の限界を知っていたように思います。 (『婦人画報』編 『母』, 1996, 281) コーパス
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9 《関わり拒否》
自動詞 上級 ★ 表記知る
(否定形で)人や事柄との関わりを持たない。
文型
知らない[知ったことではない、知るか]
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ×
例文
連続して聞く
自分さえ良ければ、他の人はどうなっても知らない
商品が安く手に入れば、それが本物だろうが偽物だろうが知ったことではない。
「なぜ本当のことを教えてくれないのですか?」「それは君の知ったことではない」
(恋人同士)「あなたのことなんて、もう知らない!」「ああ、そうか!じゃあ別れよう!」
弟にいくら勉強を教えても、全然分かってもらえないので、「もう、知らない!後は自分で勉強して!」と匙を投げてしまった。
(友人同士)「どうやって木村さんをデートに誘えばいいと思う?」「そんなこと知るか!自分で考えろ!」
首相に求めること?そんなこと知るか。どうせだれがトップになったって、俺の生活は変わんないんだから。
解説
この語義では目的語は「を」を取らない。関わりを拒否する対象は「なんて」「など」を伴って表されることが多い。また、この語義では「知らない」「知ったことではない」「知るか」のいずれかの決まった形で使用される。「知らない」「知ったことではない」も強い調子で述べられることが多いが、「知るか」はさらに強い語気を伴う。
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慣用表現
知る人ぞ知る慣用句
一般に広く知られてはいないが、その分野の情報や事情をよく知っている人達の間ではよく知られている。
その歌手は世界的に有名であったが、当時の日本ではあまり知られておらず、知る人ぞ知る存在だった。
ブレゲは知る人ぞ知る時計職人で、その腕から繰り出す精巧な時計の数々は、まさに芸術と言うにふさわしい。(中野明著『腕木通信』,2003,692)コーパス
知らぬが仏ことわざ
事実を知らなければ、嫌な感情に振り回されることがなく、仏のように平穏な気持ちでいられる。
「佐藤さんには最近、付き合い始めた恋人がいるらしいよ」「佐藤さんって山口くんが好きな女の子だよ。知らぬが仏だから山口君には黙っておこう」
(建墓について)吉日や悪日の総合的判断は、これらを総合して判断すべきで、大安だからといって簡単に選んではなりません。もっとも知らぬが仏で、何も知らずに建てることも吉日ではあるのですが、建墓は一生の大事であり、お家の一大事ですから、十分に自分で研究をして鑑定すべきでしょう。(福原堂礎著『間違いだらけの「正しいお墓」』, 2004)コーパス
知る由(よし)[術(すべ)]もない慣用句
仮に知ろうとしても、手段がなく知ることができない。
外と通信できない環境に1週間滞在していた私たちは、世の中で起きている出来事を知る由もなかった
デッカにとっては、こうした家族からの手紙以外に、父の消息を知る術はなかった。(メアリー・S.ラベル著;粟野真紀子,大城光子訳『ミットフォード家の娘たち』2005,288)コーパス
いざ知らず慣用句
よく分からないが。そうかもしれないが。
「このレストランのコースメニューはあまりよくないね」「本当だね。ファミリーレストランならいざ知らず、ここは高級レストランなんだからもっと工夫してほしいな」
今から二十年前、三十年前ならいざ知らず、現在では多くの家庭や職場にクーラーが入っており、夏場のクーラーは冬場の暖房器具と同様、日常生活の必需品となっている。(初宿正典・高橋正俊・米澤広一・棟居快行著『いちばんやさしい憲法入門』,1996)コーパス
衣食足りて礼節を知ることわざ
人は衣類や食事などの物質的側面が充足してから、初めて心に余裕ができて、礼儀や節度などの倫理的側面を考えて守れるようになる。「衣食足れば礼節を知る」ということもある。
衣食足りて礼節を知る」という言葉があるが、礼節を重んじる前に、食料の確保を重視しなければならない事態に陥ることがある。
衣食足りて礼節を知る」ということわざがありますが、人は二度と生活の心配をしなくて済むようになると、今度は「他の人にも喜んでもらえることをしたい」と、殊勝なことを考えつくようになります。(松田綾子著『ローリスク・ハイリターン起業法』,2005,335)コーパス
井の中の蛙(かわず)、大海を知らずことわざ
(小さな井戸の中に住む蛙は大きい海があることを知らないという意味から)他に広い世界があることを知らず、物の見方や考え方が狭い。
高校でトップクラスの成績だった彼は、自分よりはるかに優秀な学生が大勢いる大学に入ってショックを受けた。まさに「井の中の蛙、大海を知らず」だったのだ。
井の中の蛙、大海を知らずと申すが、拙者も柳川にとじこもって、しばらく世間をみなかったので、だいぶ、世の動きにうとくなったようだ。(歴史を旅する会編『剣豪伝』,2003,281)コーパス
一を聞いて十を知ることわざ
物事の一部を聞いただけで、その全体を理解すること。頭の回転がよく、賢明で察しがいいこと。
彼は一を聞いて十を知る優れた理解力を持っている。私もそうなりたいし、そういう人が味方にいると頼もしい。
なんじは一を聞いて十を知るというように、過去のことを話してやれば、それによって将来のことを推知する人物である、と言って賞賛した。(諸橋轍次著『論語の講義』,1989)コーパス
親の心子知らずことわざ
親が子供に対して持っている愛情を理解せず、子供は自分の考えだけで勝手に振る舞う。
親は子供の健康を願って体にいいものを食べさせようとするが、子供は「これはまずい、あれは嫌だ」と言ってなかなか食べてくれないことがある。まさに「親の心、子知らず」だ。
親の苦労が分かるから フリーターは「親の心子知らず」」を絵に描いたようなものだ、という意見がある。苦労して育て、学校を出したのに、その後も定職に就かず、親の臑をかじり続けているとなれば、親は困惑するだろうし、経済的にも苦しくなる。(長山靖生著『若者はなぜ「決められない」か』,2003)コーパス
知らぬは亭主ばかりなりことわざ
妻の悪行(浮気など)を他の人は知っているのに、亭主だけが知らないでいる。
あの家の奥さんが旦那さん以外の男性とよく会っているところを見かける。どうも浮気のようだが、旦那さんは仕事が忙しく、全く気づいていないようだ。知らぬは亭主ばかりなりというところだ。
足る(こと)を知る慣用句
身分相応に満足することを知る
他人にはあって自分にないものばかりに目を向けて、常に欲しいものが出てきてしまう私に、祖父は「足るを知ることが大事だ」と教えてくれた。
いま与えられてあるものだけで感謝して満足する、足ることを知る、そのほうが人間らしいのではないか。(五木寛之著『人生の目的』,1999,914)コーパス
お里が知れる慣用句
言葉遣いや仕草によって、その人の生まれや育ち、経歴の程度の低さが分かってしまう。
どんなに立派なことを言っていても、ひどいお箸の持ち方をしていてはお里が知れてしまう。
「(略)食事中に席を立つなんて、不作法な。おまけに味噌汁に湯を足して飲むなんて、そんなことをしたらお里が知れますよ」(群ようこ著『家の光』2001)コーパス
得体(えたい)が知れない慣用句
正体がよく把握できない。名詞を修飾する場合は、「得体の知れない」「得体の知らない」もある。
念願だった自分の会社を立ち上げることができたが、将来のことを考えると漠然と得体が知れない不安に襲われることがある。
友義の取り巻きの中で一番親しげにしていた男だ。若いけれど落ち着いた雰囲気がして、ほかの浮ついた連中と比べると増しに見えたが、その分どこか得体が知れない感じもして怖かったのを覚えている。(五百香ノエル著『太陽と月のカタチ』2002)コーパス
推(お)して知るべし慣用句
想像すれば簡単に分かる
大事な試験日はすぐそこまで迫っているのに勉強に集中できず、準備不足。体調も崩してしまった。結果は推して知るべし。不合格だった。
大学を出たばかりの新人の先生はだいたいにおいて、言葉に関しての知識と教養が乏しい。一般社会の新卒者は推して知るべしである。(長島猛人著『チャイムが鳴ったら』2002,370)コーパス
高(たか)が知れる慣用句
程度がそれほど高くないことが分かっている
学生がアルバイトで稼げるお金など高が知れているが、それでも一生懸命働いて親の金銭的な負担を軽くしようとした。
一人でやれることは高が知れているから「仕事は(上司あるいは同僚を)巻き込め」を実践しながら教えていった。(高橋基人著『中国人にエアコンを売れ!』2005)コーパス
物を知る慣用句
知識が多い、精通している
最近知り合った友人は、よく物を知っていて、会話が面白い、魅力的な人だ。
舌なめずりするように名品を語る彼らを見てから、私はワインのようなものに足を踏み入れまいと心に誓ったのだ。そうはいうものの、物を知らない小娘のように思われるのも、私は我慢できなかった。だからレストランやバーに行く前は、時々はワインの特集記事をつまみ読んだりする。(林真理子著『最終便に間に合えば』1985,913)コーパス
執筆:生天目 知美 校閲:砂川 有里子

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