掛かる・懸かる・架かる・係る(かかる)

位置変化を表す動詞
活用表 1グループ 起伏型
コアイメージ
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1《固定される1》空間的広がりがあるものの上部に、別のものが固定される。
2《重なる》空間的広がりがある自然物の上部に、別の自然物が重なる。
3《覆われる》あるものの表面が別のものに覆われる。
4《自由に動くことができない》動物や人がある事物の働きによって自由に動くことができない。
5《加わる1》あるものに重みが加わる。
6《接触する》あるものに液体や粉末が飛んできて接触する。
7《固定される2》空間的広がりがあるものの上方にあるものの両端が固定される。
8《整っている》あるものの表面に道具の力が作用して整う。
9《機能が働く》ものが持つ機能の一部が働く。
10《加わる2》人や組織(に関すること)に精神的な圧力が加わる。
11《費やされる》あることに時間・お金・労力が費やされる。
12《加熱される》調理器具(の中の料理や水)が加熱器具の上に置かれ、加熱される。
13《影響を与える》別の人や組織から発せられた言葉(を用いた行為)が、人や組織(の行動)に影響を与える。
14《関係を持つ》ある言葉と別の言葉が表現上あるいは文法上関係を持つ。
15《音が流れる》音が空間全体に流れる。
16《し始める》人があることをし始める。
17《決まる》あることが成立するかは、ある行為や状態によって決まる。
18《ある段階に入る》人やことが物事の重要な段階に入る。
慣用表現 息がかかる、エンジンがかかる、(お)座敷がかかる、お目にかかる、かさにかかる、口の端にかかる、心にかかる、手にかかる、箸にも棒にもかからない、気にかかる
複合語
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1 《固定される1》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる、掛かる
空間的広がりがあるものの上部に、別のものが固定される。
類義語さがる、たれる
文型
〈もの〉に〈もの〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
壁にカレンダーがかかっている
床の間に掛け軸がかかっている
門柱に表札がかかっている
音楽室には有名な作曲家の肖像画がかかっていた
店のドアに本日休業と書かれた札がかかっていた
入り口にかかっているのれんをくぐって店の中に入った。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
壁、窓、柱、ドア、部屋
四面の白壁には、毛皮に身を包んだ裸婦の、目の覚めるような色彩の油絵が掛かっていた。 (クライスティア・フリーランド著;角田安正,松代助,吉弘健二訳 『世紀の売却』, 2005, 332) コーパス
〈もの〉がかかる 必須項
絵、カレンダー、時計、表札、のれん
その正面は近代的なガラスのドアになっていたが、その脇には、古風な看板が掛かっている。 (今野敏著 『秘拳水滸伝』, 1989, 913) コーパス
エレベーターを出た左側に金属製の扉があり、〈関係者以外、立入禁止〉のが掛かっている。 (帚木蓬生著 『エンブリオ』, 2005, 913) コーパス
〈様態〉かかる
ちゃんと、しっかり、ずっと、常に、いつも、ずらりと
非共起例
〈もの〉がかかる
冷蔵庫にメモ用紙がかかっている
冷蔵庫にメモ用紙がはられている
メモ用紙のように薄っぺらく軽いもののが固定されている場合には「かかる」を使わず、「はられている」や「とめられている」を使う。
解説
空間的広がりがあるものの上部に、別のものが固定されることを表す。「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
窓にカーテンがさがっている
窓にカーテンがかかっている
「さがる」も「かかる」も、空間的広がりがあるものの上部に、別のものが固定されていることを表すが、「さがる」はあるものの上部が固定され、下部は垂れている状態を表す。そのため、絵のように下部が垂れていないものには「さがる」を使わず、「かかる」を使う。
壁に絵がさがっている
壁に絵がかかっている
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2 《重なる》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる、懸かる
空間的広がりがある自然物の上部に、別の自然物が重なる。
類義語浮かぶ、出る
反義語消える
文型
〈もの〉に〈もの〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
東の空に虹がかかっている
空に下弦の月がかかっている
あたりに霧がかかっている
街の上空にスモッグがかかり、太陽もぼんやりとしか見えない。
今日は富士山に雲がかかっているのでよく見えず、残念だ。
峰の頂上にかかった夕日の美しさに見とれてしまった。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
空、峰、あたり、山、富士山
保子は衝撃のあまり目のには白い霞がかかりだし、耳の中ではカンカンと早鐘が鳴りはじめた。 (良永勢伊子著 『忘れられた人びと』, 1996, 913) コーパス
〈もの〉がかかる 必須項
虹、月、霧、雲、膜
太陽に薄いがかかるように、女の顔が曇った。 (ケイティ・ガードナー著;小林浩子訳 『ロスト・フレンド』, 2002, 933) コーパス
〈様態〉かかる
少し、ちょっと、多少、やや、わずかに、うっすら(と)
向かいのマンションの屋上に下弦の月がぼんやりとかかり、山手通りのほうから救急車のサイレンが聞こえてくる。 (樋口有介著 『ともだち』, 2002, 913) コーパス
非共起例
〈もの〉がかかる
空に風船がかかっている
空に風船が浮かんでいる
風船のような人工物が空の上部にある場合には「かかる」を使わず、「浮かぶ」を使う。
解説
語義1は空間的広がりがある人工物の上部に、別の人工物が固定されることを表すが、語義2は人工物ではなく、自然物であり、それらが(自然と)重なることを表すという点で異なる。語義2も「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
空に雲がかかっている
空に雲が浮かんでいる
「浮かぶ」も「かかる」も、空間的広がりがある自然物の上部に、別の自然物が位置することを表す。しかし、「浮かぶ」ははっきりとした形をもつ自然物が位置することを表すため、霧のようなはっきりとした形をもたないものには「浮かぶ」を使わない。
あたりに霧が浮かんでいる
あたりに霧がかかっている
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3 《覆われる》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
あるものの表面が別のものに覆われる。
類義語かぶさる、おおわれる、重なる
文型
〈もの〉に〈もの〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
ベッドにカバーがかかっている
テーブルに新しいテーブルクロスがかかっている
ブックカバーがかかっている本は父が大切にしているものです。
額に前髪がかかる
パスタに粉チーズがかかっている
あそこの店のバニラアイスはチョコレートソースがかかっていておいしい。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
ベット、テーブル、額、本、料理
手元に集中している彼女の髪がにかかっている。 (カレン・ローズ・スミス作;仁嶋いずる訳 『シンデレラになる資格』, 2002, 933) コーパス
〈もの〉がかかる 必須項
カバー、クロス、髪、チーズ、調味料
部屋の隅にはとてつもなく大きなベッドがあり、パッチワーク・キルトのカバーがかかっていた。 (J.K.ローリング作;松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと賢者の石』, 1999, ) コーパス
上に毛布がかかっていて、それが、人の形に盛り上がっている。 (夢枕獏著 『魔性菩薩』, 1986, 913) コーパス
〈様態〉かかる
きちんと、きれいに、しっかり、はらりと、たっぷり
非共起例
〈もの〉がかかる
床にほこりがかかっている
床がほこりをかぶっている
「ほこり」がものの表面全体を覆っている場合には「ほこりをかぶっている」と言う。
解説
語義1はある人工物の一部分に、別の人工物が固定されることを表すが、語義3は、ある人工物の表面が別の人工物に覆われることを表す。語義3も「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
テーブルに布がかかっている
テーブルに布がかぶさっている
「かかる」も「かぶさる」も、あるものの表面全体に別のものが重なることを表す。しかし、「かかる」は「かぶさる」のように、人があるものの全体に重なっていることを表す場合には使えない。
彼は机にかかるようにして寝ている。
彼は机にかぶさるようにして寝ている。
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4 《自由に動くことができない》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる、掛かる
動物や人がある事物の働きによって自由に動くことができない。
類義語つかまる、とらえられる
文型
〈動物〉が〈仕掛け〉にかかる
文法
受身 △ 尊敬 × 使役 ○ 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
森鼠や穴兎がしかけた罠にかかっていた
釣りをはじめて一時間たったとき、ようやく魚が針にかかった
催眠術にかかったかのように、足がひとりでに玄関の方へ向かった。
悪魔の魔法にかかった主人公は、一週間眠り続けた。
病気にかかると体調が悪くなり、食欲が落ちる。
インフルエンザにかかり、一週間ベッドから起き上がれなかった。
よし!罠にかかったぞ!!
コロケーション
〈動物〉がかかる 必須項
魚、ザリガニ、ねずみ、うさぎ、蝿
子鹿が密猟者の罠にかかっていたんだ。 (アン・ヘリス作;杉野さつき訳 『名誉の問題』, 2001, 933) コーパス
〈病気〉にかかる 必須項
病気、伝染病、インフルエンザ、結核
栄養状態がよくなり、山の道具もよくなってきましたが、高山病にかかる人は多いようです。 (大森薫雄著 『中高年のための登山医学』, 1998, 786) コーパス
〈仕掛け〉にかかる 必須項
網、罠、針、くもの巣、縄
同じ場所で底引き網にかかった同じカレイでも模様が違う事があります。 (Yahoo!知恵袋, 2005, 料理、グルメ、レシピ) コーパス
〈術〉にかかる 必須項
魔法、催眠術、妖術、まじない、魔術
男は催眠術にかかったかのように、足がひとりでに玄関のほうへ向かった。 (青沼静也著 『チェーンレター』, 2001, 913) コーパス
〈様態〉かかる
うまく、まんまと、ようやく、たちまち、いつの間にか
獣は逃げきる気で走りながら、知らぬうちに罠にかかり、仕止められてしまうという。 (広瀬仁紀著 『新選組風雲録』, 2004, 913) コーパス
うまく罠にかかったのだ。 (阿部牧郎著 『情事の会議室』, 2001, 913) コーパス
非共起例
〈動物〉が〈仕掛け〉にかかる
その鯉は人の手につかまらないように逃げまどっていたが、ついに網にかかった
その鯉は人の手につかまらないように逃げまどっていたが、ついに網にとらえられた
「かかる」は、仕掛けの作用の結果、動物が自由に動くことができなくなることを表すのであり、仕掛けによって動物の動きを封じることを表すのではない。その場合には「とらえる」を用いる。
解説
語義1はあるものに別のものが固定されることを表す。語義4はものではなく、動物や人がある事物の働きによって自由に動くことができないことを表す。事物とは、動物の場合は仕掛けであることが多く、人の場合は術や病気であることが多い。
誤用解説
「かかる」も「つかまる」も、動物や人が体の自由を奪われ、自由に動くことができないことを表す。しかし、「つかまる」は下の例のように、動物や人が別の人に取り押さえられ、逃げられなくなることを表すため、人が仕掛けた装置によって取り押さえられた場合には「つかまる」ではなく「かかる」を使う。
うさぎが子供たちにつかまる
うさぎが子供たちのわなにつかまる
うさぎが子供たちのわなにかかる
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5 《加わる1》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
あるものに重みが加わる。
類義語加わる
文型
〈もの〉に〈重み〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
地球上では立っているだけでも体に相当な重力がかかっている
お湯の中に入ると体に水圧がかかる
O脚の人は、体重が膝の内側にかかりやすいようです。
階段を下る場合、足には体重の3倍の荷重がかかります
下を向くとかかとに重心がかかり、バランスをくずす。
漬け物石ではみそに均等に重みがかからないため、ポリ袋に塩を入れてきっちり口を結んだものを重石として活用します。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
体、足、腕、肩、屋根
キャシーのからだの重みがにかかっていた。 (チャールズ・マッキャリー著;菅野彰子訳 『カメンスキーの<小さな死>』, 1988, 933) コーパス
〈重み〉がかかる 必須項
重力、水圧、体重、荷重、力
三角形は,わたしたちの生活の中で,強いがかかるところに多く使われています。 (新編 新しい算数 4上, 2006, 小) コーパス
〈様態〉かかる
少し、ずっしり、結構、相当、かなり
エンジン・パーツのある面がオイルで覆われていないと、そこに集中的に力がかかって折れたりする。 (AUTO SPORT, 2001, 機械) コーパス
非共起例
〈もの〉に〈重み〉がかかる
指に買い物袋の重さがかかる
腕に買い物袋の重さがかかる
モノは体や体の一部であることが多いが、指のように、重みを受け止めるのに十分な力を持っていないものは使われない。
解説
語義1は空間的広がりがあるものの上部に、別のものが固定されることを表す。語義5は固定された結果、あるものに重みが加わることを表す。あるものは体(の一部)であることが多い。
誤用解説
腕にかばんの重さだけではなく、買物袋の重さもかかる
腕にかばんの重さだけではなく、買物袋の重さも加わる
「かかる」はあるものに重みが加えられている状態を表す。そのため、腕にかばんの重さだけではなく、買物袋の重さも追加されるということを表す場合には「かかる」ではなく「加わる」を用いる。
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6 《接触する》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
あるものに液体や粉末が飛んできて接触する。
類義語つく、付着する
文型
〈もの〉に〈液体や粉末〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
頭にほこりがかかった
我が家の子供たちも顔に水がかかるのが苦手でした。
子供たちは波がザブーンと足にかかるたびにキャッキャと大喜びしていました。
果実に直接、農薬がかからないように注意して育てている。
薬剤散布時には、周辺の作物等に飛沫がかからないよう十分注意してください。
雨の日は、水しぶきや水滴がかばんにかかることがあります。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
頭、顔、足、服、かばん、作物
上半身にお湯がかからないようにすれば、おのずと汗が出てきますよ。 (Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット) コーパス
〈液体や粉末〉がかかる 必須項
波、水、薬剤、砂、ほこり
霧のような液体が自分にかかりそうになって、あわててよろけ、膝を痛そうにさすっている。 (伊島りすと著 『ジュリエット』, 2001, 913) コーパス
〈様態〉かかる
突然、少し、かなり、相当、思いっきり
しかも今日に限ってとなりの人のたてる水しぶきがいっぱい顔にかかってとっても不愉快でした。 (Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ) コーパス
非共起例
〈もの〉に〈液体や粉末〉がかかる
服に鼻血がかかった
服に鼻血がたれた
「かかる」は液体や粉末が離れた場所から飛んできてあるものに接触するという意味を表す。そのため、鼻血が流れ落ち、服についた場合には「かかる」ではなく、「たれる」を使う。
解説
語義3はあるものの全体が別のものに覆われることを表す。語義6は語義3のような状態になる原因、すなわち、あるものに液体や粉末が飛んできて接触することを表す。
誤用解説
白いシャツにかかった泥は洗ってもとれない。
白いシャツについた泥は洗ってもとれない。
「かかる」はあるものに液体や粉末が飛んできて接触することを表すが、接触して離れない状態にあるということは表さない。接触して離れない状態にあることを表す場合には「つく」を用いる。
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7 《固定される2》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる、架かる
空間的広がりがあるものの上方にあるものの両端が固定される。
類義語またぐ、渡される、及ぶ
文型
〈もの〉に〈もの〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
川には小型の荷車が通れるほどの木の橋がかかっていた
長良橋は、笹島と名古屋港を結ぶ中川運河に架かっていた橋です。
その岩には、手すり代わりのロープとアルミのはしごがかかっています
ホテルはすでに廃業しており、ホテルへ入る道にはロープがかかっていました
明神山と妙見山に雲の架け橋がかかりました
屋外プールの観客席には屋根がかかっていますので、大雨や強風時以外は雨にぬれることはありません。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
川、海、道、岩、空
深いにロープのつり橋がかかっていた。 (ユン・チアン著;土屋京子訳 『ワイルド・スワン』, 1993, 289) コーパス
〈もの〉がかかる 必須項
橋、歩道橋、屋根、ロープ、虹
出発すると小雨が降りやみ、陽が出て、頭上にがかかった。 (野田知佑著;藤門弘写真 『世界の川を旅する』, 2001, 290) コーパス
〈様態〉かかる
ちゃんと、もともと、突然、いつの間にか、間もなく
見れば、いつの間に、誰が元にもどしたのか、例の板の橋がちゃんとかかっているのです。 (江戸川乱歩著 『悪魔の紋章』, 2003, 913) コーパス
非共起例
〈もの〉に〈もの〉がかかる
家に屋根がかかっている
屋外プールの観客席に屋根がかかっている
「かかる」は、屋外プールの観客席の屋根のように、もともと何もなかったところに、別のものが取り付けられることを表す。そのため、家の一部である屋根について、「家に屋根がかかっている」と言うことはできない。
解説
語義7は語義6とは異なる方法で、語義3(あるものの全体が別のものに覆われる)の状態になる原因を表す。語義7は、橋のように、通路となるものが作られている場合に使われることが多い。
誤用解説
四国と本州の間に橋がかかっている
四国から本州に橋がかかっている
四国から本州に橋が渡されている
「かかる」は、「四国と本州の間に橋がかかっている」のように、あるものの両端が固定されることを表す。しかし、「四国から本州に橋がかかっている」のように、両端のどちらかが始点となり、もう一方が終点となるというような方向性は表さない。方向性を表す場合には、「渡される」が使われる。
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8 《整っている》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる
あるものの表面に道具の力が作用して整う。
類義語作用する
文型
〈もの〉に〈道具〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
ワイシャツの襟にアイロンがかかっていない
髪にパーマがかかりづらい。
床にワックスがかかっているからすべりやすい。
車にしっかりコーティングがかかっているので、雨の日もよごれにくい。
部屋の隅には十分に掃除機がかかっていない
材料面に見える黒い線が全部消えてなくなっていれば、くまなく鉋がかかったことになる。
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
シャツ、髪、床、車、材木
シャツのにはきちんとアイロンがかかっていて、ジーンズは色落ちのしていない、ワン・ワォッシュの濃いインディゴ・ブラック。 (原田紀著 『悩ましいほどおしゃれな恋を』, 1993, 913) コーパス
〈道具〉がかかる 必須項
アイロン、パーマ、掃除機、ワックス、鉋
〈様態〉かかる
しっかり、ちゃんと、きちんと、きれいに、びしっと、くまなく
非共起例
〈もの〉に〈道具〉がかかる
シャツの襟にアイロンがかかっている
本棚にはたきがかかっている
あるものの状態を見て、どのような道具の力が作用しているかが想像しにくい場合には「かかる」を使うと不自然になる。シャツの襟のしわが伸びている状態を見て、アイロンによる作用であると想像することは容易だが、本棚が掃除されている状態を見て、はたきによる作用であると想像するのは特定の文脈がなければ困難である。例えば、子供に本棚にはたきをかけるように言い、子供がはたきをかけた後の本棚の状態を「本棚にはたきがかかっている」と表現するのは可能である。
解説
語義3は、あるものの上方から別のものが働きかけ、あるものの表面が覆われることを表す。別義8も、あるものの上方から別のものが働きかけるという点は同じだが、あるものの表面に道具の力が作用して整うことを表すという点が異なる。別義8は「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
生徒たちは教室にほうきをかけた
教室にほうきがかかっている
「かける」を使って表現することが可能であっても、「かかる」で言い換えると不自然な表現になるものがある。あるものの状態を見て、どのような道具の力が作用しているかが想像しにくい場合には「かかる」を使うと不自然になる。
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9 《機能が働く》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
ものが持つ機能の一部が働く。
類義語働く、作動する
文型
〈もの〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
玄関のドアにかぎがかかっていて、開かない。
車のエンジンがかかりにくい
突然急ブレーキがかかり、前につんのめった。
携帯電話にロックがかかっていて、暗証番号を入力しないと解除できない。
CDにコピーガードがかかっているので、コピーすることができない。
外部のデータにフィルターがかかっている
コロケーション
〈もの〉にかかる 必須項
ドア、携帯電話、パソコン、CD、データ、
ぐんとエレベーターにブレーキがかかり、下降速度が緩みはじめた。 (平井和正著 『ウルフガイ魔界天使』, 1986, 913) コーパス
〈もの〉がかかる 必須項
かぎ、エンジン、ブレーキ、ロック、コピーガード
今朝車にキーをさしてもカシャというだけでエンジンがかかりません。 (Yahoo!知恵袋, 2005, 自動車) コーパス
〈様態〉かかる
しっかり、突然、まったく(~ない)、やっと、なかなか(~ない)
端末を開いたまま、操作無く一定時間が経過すると自動でロックがかかる「オートキーロック機能」に対応し、セキュリティがより強固に。 (Yahoo!ブログ, 2008, 趣味) コーパス
非共起例
〈もの〉がかかる
パソコンにロックがかかる
パソコンがかかる
パソコンが起動する
「かかる」はあるものがもつ機能の一部が働くこと(パソコンであれば、パソコンが持つロックという機能)が働くことを表すため、パソコン自体が働きを開始する時に「かかる」を使うことはできない。その場合には「起動する」を用いる。
解説
語義4は、動物や人がある事物の働きによって自由に動くことができないことを表す。語義9は、動物や人ではなく、あるものに、あるものが持つ機能の一部が働くことを表す。かぎや機械の装置が働くことを表す場合が多い。
誤用解説
「かかる」と「動く」は、あるものが作用するという意味を表すが、「かかる」はあるものが持つ機能がどのようなものであるのかが明確でない場合、使うことができない。そのため、「機械がかからない」という表現は、機械のもつどのような機能が作用するのかが不明確であるため、誤用となる。一方、「動く」はあるものが持つ機能がどのようなものであるかが不明確であっても用いることができる。
機械がかからない
機械が動かない
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10 《加わる2》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる
人や組織(に関すること)に精神的な圧力が加わる。
類義語加わる、ふりかかる
文型
〈人・組織・こと〉に〈こと〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
会社に脱税の疑いがかかっている
彼に殺人の容疑がかかっている
彼の今後の活躍に期待がかかる
主将には、金メダル獲得というプレッシャーがかかっていた
隣の住民のみなさんに迷惑がかからないよう、お互いに配慮し、住みよい地域を育てましょう。
人間の身体は、痛いとか、苦しいとか、または精神的なストレスがかかると、それを緩和しようとする働きが起こる。
そうだね、よっぽどプレッシャーがかかっていたんだね……。
コロケーション
〈人・組織・こと〉にかかる 必須項
住民、他人、主将、会社、彼の活躍
こういうことで、自分にストレスがかかっているのだということがわかったら、何か手を打たなければなりません。 (マリアンヌ・L.マクマナス著;林春男,林由美解説・訳 『災害ストレス』, 1995, 369) コーパス
〈こと〉がかかる 必須項
疑い、プレッシャー、迷惑、ストレス、期待
どうしてジョン・アーズリーに嫌疑がかかったのか、詳しいことは知りません。 (アガサ・クリスティー著;中村能三訳 『茶色の服の男』, 2004, 933) コーパス
〈様態〉かかる
相当、一層、余計、ひとえに、大いに
非共起例
〈人・組織・こと〉に〈こと〉がかかる
彼に脅し[脅迫]がかかる
「脅し」や「脅迫」のように、人や組織に直接的に圧力を与える場合には「かかる」を使わず、「彼に脅し[脅迫]をかける」と言う。
解説
語義5は、あるものに重みが加わることを表す。語義10はものの重みではなく、精神的な圧力が人や組織(に関すること)に加わることを表す。精神的な圧力は人や組織にとって好ましくないことである場合が多い。
誤用解説
子供に望み[希望]がかかる
精神的な圧力が人や組織にとって好ましいことである場合もあるが、その場合は「人や組織(に関すること)に期待がかかる」という表現が使われることが圧倒的に多い。
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11 《費やされる》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
あることに時間・お金・労力が費やされる。
類義語費やされる、使われる、投入される
文型
〈こと〉に〈時間・お金・労力〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
祖父は思い出すのに時間がかかる
新薬の開発には多くの時間とお金がかかります
入力作業に手間がかかる
決定後の変更にはキャンセル料金がかかるので注意しましょう。
銀行への振り込みに手数料が250円かかる
日本語はすぐには上達しない。日本語学習には長い時間と労力がかかる
子供が大きくなるにつれお金がかかるわね。
コロケーション
〈こと〉にかかる 必須項
開発、作業、振込み、変更、学習
英語字幕の製作にはかなりの費用がかかるので,アジア諸国の映画には英語字幕版のないものが多い. ( 『芸術経営学講座』, 1994, 706) コーパス
〈時間・お金・労力〉がかかる 必須項
長い時間、手間、キャンセル料金、手数料、労力
帰ってから新しいカードなどに書き改めることは、手数がかかり、面倒なものである。 (庚申懇話会編 『日本石仏事典』, 1995, 718) コーパス
〈様態〉かかる
いくら、少し、結構、かなり、そんなに(~ない)、案外
見つかった情報を整理してまとめるにもひどく時間がかかる。 (ビル・ゲイツ著;西和彦訳 『ビル・ゲイツ未来を語る』, 1996, 007) コーパス
非共起例
〈こと〉に〈費用〉がかかる
父のかばんに高額な費用がかかった
父のかばんの修理に高額な費用がかかった
父の土地に莫大な税金がかかった
「かかる」はあることにお金が費やされることを表す。そのため、「父のかばんに高額な費用がかかった」のように、ものに対して費用がかかると言うと不自然な表現となる。その場合には、「父のかばんの修理に高額な費用がかかった」と言いかえる必要がある。ただし、「父の土地に莫大な税金がかかった」のように、「土地」が慣習的に「土地の相続」を指している場合もある。
解説
語義5はあるものに重みが加わることを表す。語義11は、ものではなく、あることをするのに、時間・お金・労力という重みが加わり、それらが費やされることを表す。時間とお金については、「データの復元に日数が2、3日かかる」「手数料が20%かかる」のように、「かかる」の前に数値を入れて表現することもできる。
誤用解説
入力作業に苦労がかかった
入力作業に苦労した。
「労力がかかる」の「労力」とは、長い時間、多くの力を使って何かをすることである。そのため、「苦労」のような苦しいという感情を表す表現には「かかる」を使うことができない。その場合には、「入力作業に苦労した」と表現する。
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12 《加熱される》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる
調理器具(の中の料理や水)が加熱器具の上に置かれ、加熱される。
類義語加熱される、火が通っている
文型
〈調理器具(の中の料理や水)〉が〈加熱器具〉にかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
石を積んだかまどに鍋がかかっている
シチューが火にかかっている
囲炉裏にかかった鍋から良いにおいがする。
ガスコンロに味噌汁がかかっている
コンロに水の入っていないやかんがかかっていて、火事になるところだった。
コンロに大鍋がかかっているよ。子供が触ると危ないから気を付けて。
コロケーション
〈調理器具(の中の料理や水)〉がかかる 必須項
鍋、やかん、フライパン、シチュー、味噌汁
石を積んだ外のかまどにがかかっているのが見えた。 (高橋亮著;高橋亮著 『扉が開くとき;九月の雨』, 2001, 913) コーパス
〈加熱器具〉にかかる 必須項
コンロ、かまど、囲炉裏、火、電子調理器
音を立てぬように、ござの下をはって、あたたかい、呼吸しているやみの中にはいり、わらの上に横になって、魔女の話のこと、イノシシの歯のこと、アーダのこと、天気魔術師のこと、にかかったなべのことを思い出しているうちに、寝入ってしまった。 (ヘルマン・ヘッセ著;高橋健二訳 『ガラス玉演戯』, 2004, 943) コーパス
〈様態〉かかる
長時間、弱火で、ずっと、いつでも、まだ
非共起例
〈調理器具(の中の料理)〉がかかる
ステーキが火にかかっている
「調理器具の中の料理」は、ステーキのような固形物ではなく、カレーや味噌汁のような流動物(液体)が多いものを表す。ステーキのような固形物の場合は、「ステーキが温められている[加熱されている]」と表現する。
〈加熱器具〉にかかる
鍋が熱にかかっている
鍋にガスコンロの火が当てられていることを「鍋が火にかかっている」と言うことはできるが、鍋に電気コンロの熱が当てられていることを「鍋が熱にかかっている」と言うことはできない。「火にかかっている」は加熱されているという意味を表すため、鍋に電気コンロの熱が当てられている場合も「鍋が火にかかっている」と表現する。
解説
語義8は、あるものの表面に道具の力が作用して整うことを表す。語義12は、調理器具の表面に加熱器具の力が作用して加熱されることを表す。なお、調理器具の中の料理はカレーや味噌汁のような流動物(液体)が多いものを指す。「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
この肉は火にかかっていません
この肉は火が通っていません
「かかる」が表す「加熱する」という意味は、調理器具の中の料理や水を積極的に温めることを目的としているのではなく、調理器具(の中の料理や水)が火のついた加熱器具の上に置かれているという状態を表す。そのため、肉が高温の状態にあることを表すのに「この肉は火にかかっていません」と表現することはできない。食材等が高温の状態にあることを表す場合には「火が通っている」を用いる。
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13 《影響を与える》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
別の人や組織から発せられた言葉(を用いた行為)が、人や組織(の行動)に影響を与える。
類義語影響を及ぼす
文型
〈人・組織(の行動)〉に〈言葉(を用いた行為)〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
監督から選手たちに全員集合の号令がかかった
後ろにいた人から突然「ちょっと」と声がかかった
上司から我々のチームの企画推進にまったがかかった
アルバム制作のときにキャラクターを載せようとしたら、印刷屋さんから計画にストップがかかりました
隊員たちはいつ出動要請がかかるかと、緊張して夜を過ごしていた。
知らない男から妹に電話がかかってきた
お前も課長からお呼びがかかったぞ。
コロケーション
〈人・組織〉にかかる 必須項
生徒、選手、隊員、チーム、会社、団体
息子さんにガールフレンドから電話がかかってくると、よくイタズラをなさったそうです。 (阿川佐和子著 『阿川佐和子のお見合い放浪記』, 2001, 367) コーパス
〈人・組織の行動〉にかかる 必須項
計画、推進、開発、開始、決定
利益優先の民間金融機関では日本の住宅の質の向上にストップがかかってしまう ( 『住宅金融公庫融資の廃止・存続に関するアンケート結果報告書』, 2001, 338) コーパス
〈言葉(を用いた行為)〉がかかる 必須項
声、号令、ストップ、要請、電話
「起立」の号令がかかっていた事に気づかず、自分だけ座っていたらしい。 (石堂まゆ著 『闇天使』, 2000, 913) コーパス
〈別の人・組織〉からかかる
先生、監督、上司、取引先、親会社
ところが、田中の逮捕に関して検察からストップがかかった。 (宮崎学著 『地獄への道はアホな正義で埋まっとる』, 1999, 327) コーパス
非共起例
〈言葉(を用いた行為)〉がかかる
先生から「静かにしなさい」と声がかかった
先生から「静かにしなさい」と注意された
「声がかかる」はある人や組織に呼びかけや誘いがあることを表す。そのため、「静かにしなさい」のように注意を受ける場合には「声がかかる」を用いない。
解説
語義10は精神的な圧力が人や組織(に関すること)に加わることを表す。語義13は、精神的な圧力の一種である、言葉や言葉を用いた行為が、人や組織(の行動)に影響を与えることを表す。
誤用解説
上司から我々チームの新薬開発にまったがかかったが、予定通り計画を進めるつもりだ。
「まったがかかる」というのは、あることの進行を一時的に止めるように呼びかけるだけではなく、呼びかけて一時的に止めさせることを表す。このように、「かかる」は言葉をかけ、人や組織の行動に影響を与えることを表すため、「上司から我々チームの新薬開発にまったがかかったが、予定通り計画を進めるつもりだ」は不自然な表現となる。
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14 《関係を持つ》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる、係る
ある言葉と別の言葉が表現上あるいは文法上関係を持つ。
類義語関係する、関わる、修飾する
文型
〈言葉〉が〈言葉〉にかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 × 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
「秋の野に人まつ虫の…」の「まつ」には「人待つ」と「松虫」がかかっている
「ていねいに服をたたんだ」の「ていねいに」は「たたんだ」にかかっている
この形容詞は後ろの名詞にかかっている
修飾語と被修飾語、主語と述語は「かかる」と「受ける」の関係にある。
「布団がふっとんだ」というダジャレは、「ふっとぶ」の連用形「ふっとんだ」が「布団」にかかっている
日本語では前の言葉が後ろの言葉にかかるのが普通だが、主語、述語、修飾語などの語順を逆にして、修辞的な効果を上げた表現法を倒置法と呼ぶ。
コロケーション
〈言葉〉がかかる 必須項
語、表現、副詞、形容詞、主語
〈言葉〉にかかる 必須項
語、表現、名詞、動詞、述語
〈様態〉かかる
通常、一般的に、表現上、文法上、常に
非共起例
〈言葉〉が〈言葉〉にかかる
「秋の野に人まつ虫の…」の「まつ」には「人待つ」がかかっている
「かかる」は「まつ」という言葉が複数の表現と関係していることを表すため、「まつ」に「人待つ」という一つの表現のみが関係している場合には「かかる」を使わない。
〈言葉〉が〈言葉〉にかかる
「ていねいに服をたたんだ」の「たたんだ」は「ていねいに」にかかっている
「ていねいに」と「たたんだ」は文法上関係しているが、「かかる」は修飾要素である「ていねいに」が被修飾要素である「たたんだ」を修飾する関係にあることを表すため、両者を入れ替えて表現することはできない。
解説
語義13は、別の人や組織から発せられた言葉が、人や組織に影響を与えることを表す。語義14はある言葉が別の言葉に影響を与え、両者が表現上あるいは文法上関係を持つことを表す。語義14は「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
「母はていねいに服をたたんだ」という文で「たたんだ」は何にかかられていますか
「母はていねいに服をたたんだ」という文で「たたんだ」は何に修飾されていますか
「かかる」は受身形にすることができないため、「たたんだ」を修飾している表現を問う場合、「『たたんだ』は何にかかられていますか」と言うことはできない。その場合は、「『たたんだ』は何に修飾されていますか」と言う。
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15 《音が流れる》
自動詞 初級 ★★★ 表記かかる
音が空間全体に流れる。
類義語流れる
文型
〈空間全体〉に〈音〉がかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
店内にはクラシック音楽がかかっていた
ジャズ喫茶ではコーヒーを飲みながら、次にどんなレコードがかかるのかを待つのが楽しみだ。
音楽がかかっていない静かなカフェで小説を読んだ。
病院の待合室にはいつもFMラジオがかかっている
給食の時間にマイケルジャクソンの歌がかかると、みんな踊り出した。
スーパーにサザンオールスターズの新曲がかかっていたので、思わず聞き入ってしまった。
コロケーション
〈空間全体〉にかかる 必須項
店、喫茶店、空港、待合室、教室
〈音〉がかかる 必須項
音楽、レコード、CD、ラジオ、歌
扉をあけて中に入ると、マーラーの交響曲がかかっていた。 (群像, 2005, 文学/芸術) コーパス
〈様態〉かかる
よく、必ず、たまに、大音量で、静かに
五階建てのビルの地下にあるこぢんまりとしたバーで、ドアを開けると程よい音量でジェリー・マリガンの古いレコードがかかっていた。 (村上春樹著 『ダンス・ダンス・ダンス』, 1988, 913) コーパス
非共起例
〈音〉がかかる
部屋にテレビの音がかかる
「かかる」は音が空間全体に行き渡るようにするという意味を表すため、テレビの音のように空間全体に音が行き渡るようにすることを目的としていない場合には「かかる」は使えない。
解説
語義13は、言葉(を用いた行為)が、人や組織(の行動)に影響を与えることを表す。語義15は、特定の言葉ではなく音が、それが流れる空間全体に影響を与えることを表す。語義15は「かかっている」という形で使われることが多い。
誤用解説
聴解テストの際、問題と関係のない音声もかかってしまった
聴解テストの際、問題と関係のない音声も流れてしまった
「かかる」と「流れる」はともに音が広範囲に届くことを表すが、「かかる」は音が空間全体に行き届いている状態を表すため、「聴解テストの際、問題と関係のない音声もかかってしまった」のように、かかる音の操作や調整に関して述べると不自然な表現となる。一方の「流れる」は人がCDプレーヤーなどの機械を操作することで、機械から音が外に出ることを表す。そのため、操作ミスにより、「聴解テストの際、問題と関係のない音声も流れてしまった」と表現することができる。
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16 《し始める》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる
人があることをし始める。
類義語始める
文型
〈人〉が〈こと〉にかかる
文法
受身 ○ 尊敬 ○ 使役 ○ 意思 ○ 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
早速留学生の受け入れ準備にかかった
かれは仕事にかかると、寝食を忘れた。
さて、料理の仕上げに かかろうかね
目的地に着いたら調査にかかるわけだが、実際には計画どおりに運ばないこともある。
連絡もなく、勝手に作業にかかられると迷惑だ。
子供たちにクリスマスパーティーの支度にかからせた
コロケーション
〈こと〉にかかる 必須項
準備、仕事、仕上げ、調査、作業
そんなことを言ってる暇に、さあ、下へおりて戦闘準備にかかろうぜ」 (多島斗志之著 『海賊モア船長の憂鬱』, 2005, 913) コーパス
〈様態〉かかる
そろそろ、早速、すぐに、ようやく、勝手に
家に戻るとさっそく下ごしらえにかかる。 (村上春樹著 『遠い太鼓』, 1990, 914) コーパス
非共起例
〈こと〉にかかる
試験にかかる
「かかる」は体を動かしてあることをし始めるという意味を表す。そのため、「試験」のように体を動かさないことに関しては「かかる」を使わない。
解説
語義9は、ものが持つ機能の一部が働くことを表す。語義16は、ものではなく人が働くこと、すなわち、あることをし始めることを表す。あることは体を動かしてする行為である場合が多い。
誤用解説
歯の治療にかかる
歯の治療を始める
「かかる」と「始める」は意味が似ているが、「かかる」は話し手が体を動かしてある行為をし始めることを表すため、歯の治療のように医者の治療を受け始めることを表す場合には「かかる」は使えない。その場合は「始める」を使う。
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17 《決まる》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる、係る
あることが成立するかは、ある行為や状態によって決まる。
類義語よる、左右される
文型
〈こと〉が〈こと〉にかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
団体戦の優勝の行方は大将の活躍にかかっている
事の成否は、今までどれだけ努力したかにかかっている
お客様の支持をどれだけ得られるかは、入念な調査と準備にかかっている
第一希望の大学に合格できるかは夏休みの頑張りにかかっている
オリンピックの代表選手になれるかはこの試合のできにかかっている
生計がなりたつかは彼の肩にかかっている
コロケーション
〈こと〉がかかる 必須項
~の行方、~の成否、どれだけ~か、~できるか
軍の名誉と部下たちの命を賭けた任務の成否が、あなたにかかっているのでしょう! (津守時生著 『三千世界の鴉を殺し』, 2001, 913) コーパス
〈こと〉にかかる 必須項
活躍、どれだけ~か、調査、準備、頑張り
どちらの方法であっても,〔技術内容スタンダード〕の最終的な成功は教師にかかっている。 (国際技術教育学会著;宮川秀俊,桜井宏,都築千絵編訳 『国際競争力を高めるアメリカの教育戦略』, 2002, 372) コーパス
〈様態〉かかる
一身に、大いに、すべて、重く、常に
非共起例
〈こと〉が〈こと〉にかかる
トーナメント敗退は練習不足にかかっている
トーナメント敗退は練習不足による
「かかる」の「あることと別のことが関係を持つ」というのは、あることが成し遂げられるための要因が別のことにあるということを表す。そのため、「トーナメント敗退」といった過去のことやマイナスのことについては「かかる」を使うことができない。その場合には「よる」を使って表す。
解説
語義16は、人がある目的をもってあることをし始めることを表す。語義17は、人がし始めたことが成立するかは、ある行為や状態によって決まるということを表す。よって、語義16と17は時間的に連続している。語義17は「かかっている」という表現で使われることが多い。
誤用解説
祖母の5年後の生存率があがるかは今度の手術にかかっている
祖母の5年後の生存率があがるかは新薬が開発されるかにかかっている
「かかる」は、あることが成立するかは、ある行為や状態によって決まることを表す。そのため、「祖母の5年後の生存率があがるかは今度の手術にかかっている」のように、祖母の5年後の生存率と今度の手術とが時間的にも密接している場合には「かかる」を使うことができる。しかし、「祖母の5年後の生存率があがるかは新薬が開発されるかにかかっている」のように、祖母の5年後の生存率と新薬の開発との間に因果関係があっても、時間的な隔たりがある場合には「かかる」を使うと不自然になる。
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18 《ある段階に入る》
自動詞 中級 ★★ 表記かかる
人やことが物事の重要な段階に入る。
類義語達する、さしかかる
文型
〈人・こと〉が〈こと〉にかかる
文法
受身 × 尊敬 × 使役 × 意思 × 継続 ○ 結果・完了 ○
例文
連続して聞く
40歳を過ぎ、私たちは人生のなかばにかかっているように感じる。
会談が終盤にかかる
交渉は山場にかかり、油断することができない。
試合は後半にかかり、緊迫した空気に包まれている。
工事は最大の難所にかかっている
登山隊は最後ののぼりにかかった
コロケーション
〈こと〉がかかる 必須項
会談、交渉、試合、工事、試験勉強
〈こと〉にかかる 必須項
人生のなかば、終盤、山場、後半、難所
〈様態〉かかる
ようやく、やっと、ついに、いよいよ、そろそろ
非共起例
〈人〉が〈こと〉にかかる
登山隊は平坦な道にかかる
「かかる」は物事の重要な段階に入ることを表す。そのため、平坦な道のように登山において重要ではない場面に入るときには「かかる」を使わない。
解説
語義17は、あることが成立するかは、ある行為や状態によって決まることを表す。語義18は、あることが成立するための要因となる、物事の重要な段階に入ることを表す。よって、語義17と18は因果関係にある。
誤用解説
登山隊は目的地にかかる
登山隊は目的地に達する
「かかる」と「達する」はともにある場所に行き着くことを表すが、「かかる」は物事の重要な段階に入ることを表すのに対し、「達する」は目標とする地点や状態に行き着いたことを表す。よって、「目的地に達する」と言うことはできるが、「目的地にかかる」とは言えない。
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慣用表現
息がかかる慣用句
有力者の支援や影響のもとにいる。
あの新入社員は社長の息がかかっている
プルクハルト大尉は、評議会の息がかかっているとは言え、あくまでも尋常な軍人であり、こんな忍者じみた芸当のできる男ではない。(秋津透『要塞衛星ダモクレスの槍』、1990、9 文学)コーパス
エンジンがかかる慣用句
勢いづく。本調子になる。
午前中は仕事をする気になれなかったが、午後になってようやくエンジンがかかってきた
じつは、中高一貫校の生徒たちのなかには中学時代の三年間、けっこう遊んでしまった連中が多い。しかし、そんな生徒たちも、高校生になると、いよいよエンジンがかかってくる。(和田秀樹/隂山英男『公立小中高から東大に入る本』、2004、3 社会科学)コーパス
(お)座敷がかかる慣用句
人から招かれる。
上司からお座敷がかかって一杯飲むことになった。
対談や座談の座敷がかからなくなったのは、料亭へ仕事に来たのか飲み喰いをしに来たのかまったくわからない、この汚い喰い意地を編集者たちに敬遠されたのが主な原因だが(後略)。(井上ひさし『吉里吉里人』、1981、9 文学)コーパス
お目にかかる慣用句
お会いする
先生にお目にかかれて光栄です。
宮様はこの日もその後も、いつもお目にかかるたびにお優しかった。(榊原 喜佐子『徳川慶喜家の子ども部屋』、1996、2 歴史コーパス
かさにかかる慣用句
1 優勢であることに乗じて攻めかかる。
かさにかかって、相手チームに攻めかかる。
先を争って、逃げる西軍の兵を追撃しはじめた。二百の西軍は、これをあしらいながら、退却する。嵩にかかった東軍は、杭瀬川を渡り、猛然として追撃した。(池波正太『真田太平記』、1984、9文学)コーパス
2 優位な立場や権力を利用して相手に高圧的な態度をとる。
彼女は私たちにかさにかかった態度をとり、命令口調で話した。
こちらが弱みを見せると、嵩にかかって来るタイプの人間です。一度、キッチリ攻撃・反論しておく事です。(Yahoo!知恵袋、2005、職業とキャリア)コーパス
口の端にかかる慣用句
うわさされる
昨夜の隣の家の夫婦喧嘩が近所の人たちの口の端にかかっている
なしコーパス
心にかかる慣用句
気になる
田舎に一人で暮らす母のことが心にかかっている
「伍子胥殿、なにかお心にかかることがおありかな?」 「連れの者のことが気になりまして…」(伴野朗『伍子胥』、2005、9 文学)コーパス
手にかかる慣用句
1 処理される
どんな難問でも専門家の手にかかればすぐに解決する。
エンジンが掛かるやいなや、プロのドライバーの手にかかったワゴン車は魔物のような速やかさで滑り出し、産業道路へ消えてしまった。(髙村薫『レディ・ジョーカー』、1997、9 文学)コーパス
2 殺される
東軍の最後の武将も敵の手にかかってしまった
「ここをのがれて、名もなきものの手にかかるより、そなたのごとき勇士に討たれるが本望じゃ。いざ、首を討たれよ」と首を差しのべましたので、直実も心をはげまし、太刀をふりあげるとバッサリと首を討ちおとしました。(岡本和明『歴史に残る合戦』、2000、分類なし)コーパス
箸にも棒にもかからない慣用句
ひどすぎて、どうにもならない。
どれもこれも箸にも棒にもかからない駄作ばかりだ。
いわゆるいまどきの若い者をみていると、一時的にキャアキャア騒ぐことにかけては名人だが、恵まれた時代に甘やかされて育っているので、中には箸にも棒にもかからないようなグウタラ人間もいる。(鈴木健二『気くばりのすす』1982、1 哲学)コーパス
気にかかる慣用句
1 気になる
大学入試試験の結果が気にかかってしかたがない。
つい先程、栗山が磯江のインサイダー疑惑について口にしたが、これが気に掛かる。(山田智彦『銀行屋研次郎事故簿』1997,913)コーパス
2 None
別紙に以下のようなツリー構造を描いて、このフォームと一緒に提出してください
執筆:加藤 恵梨 校閲:籾山 洋介

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