------------------------------ 西大寺本金光明最勝王経平安初期点訓読文(txt) 凡例 (1) 振り仮名は当該漢字の直後に【 】で括って示す。二字以上の漢字にまたがって付された振り仮名は「【(つか)※歴事二字】」のように※の後に当該漢字とその文字数を示す。 (2) 仮名点は片仮名で示す。二音節以上をまとめて漢字一字で記す仮名点は片仮名を『 』で括って示す。左傍の仮名点は「#シ#」のように示す。右傍の二種目の仮名点は「#(右2)ニ#」のように示す。ア行のエの仮名点は「&エ(衣)&」、ヤ行のエの仮名点は「&エ(江)&」、上代特殊仮名遣いの甲類コの仮名点は「&コ(古)&」、上代特殊仮名遣いの乙類コの仮名点は「&コ(己)&」で示す。 (3) ヲコト点は{ }で括って示す。二種類以上のヲコト点が連続する場合は、「{あり・て}」のようにヲコト点の境界を・で示す。「と」を表すヲコト点のうち、左端中央の点は「{(左中)と}」、右端下の点は「{(右下)と}」と示す。 (4) 補読は( )で括って示す。 (5) 左傍の句読点は「、」「。」で示す。右傍の句読点は「§(右)、§」「§(右)。§」のように示す。 (6) 不読字は[ ]で括って示す。 (7) 返り点は〈 〉で括って示す。左傍の返り点は「〈(左)一〉」のように示す。 (8) 中央の合符は「―」、左傍の合符は「_」、分別符は「/」で示す。 (9) 衍字は《 》で括って示す。 (10) 別筆は「(大)。」のように当該訓点の冒頭に別筆の種類を( )に括って示す。( )内には、通常の別筆は「大」、右傍の別筆は「右大」、右傍二種目の別筆は「右2大」と示す。 (11) 擦り消しは「%(消)ク%」のように% %で括り、冒頭に擦り消しの種類を( )に括って示す。( )内には、通常の擦り消しは「消」、右傍の擦り消しは「右消」、右傍二種目の擦り消しは「右2消」、別筆の擦り消しは「大消」、別筆の右傍の擦り消しは「右大消」、別筆の右傍二種目の擦り消しは「右2大消」と示す。 (12) 異訓は〔 〕で括って示す。並列する複数の訓読文を〖 〗で括り、〖……〔……〕〔……〕〗のように示す。 (13) 引用は「 」で括って示す。 (14) 外字は「@〓=U+27AE6@」のように@ @で括り、=の後に当該外字の字体情報を示す。 (15) 原本影印の総本山西大寺編『国宝西大寺本金光明最勝王経天平宝字六年百済豊虫願経』(勉誠出版、2013)のページ番号は「○4」のように○の後に全角数字で示す。 ※本ファイルはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。 ※本ファイルは人間文化研究機構広領域連携基幹研究プロジェクト「異分野融合による総合書物学」の国語研ユニット「表記情報と書誌形態情報を加えた日本語歴史コーパスの精緻化」、科研費基盤研究(B)「訓点資料訓読文コーパスの構築と古代日本語史研究の革新」(18H00674)において作成しました。 ※開発スタッフ  ・開発担当者    柳原恵津子 近藤明日子  ・開発協力者    高田智和 小木曽智信 間淵洋子 鴻野知暁 佐伯俊源 高山倫明 田中草大 月本雅幸 ------------------------------ ○4  金【(こむ)】{の}〖光明{あり・て}最勝{なる・こと}王{の}『コト』クイマス〔光明アリテ最【(もと)】(も)勝ル『コト』王(の)#(右2)『コト』クイマス#〕〗經序品第一三藏法師義淨 制(を)奉【(うけたまは)】(りて)譯(す) 是(の)如キ{こと・を}我レ聞(き){たま}ヘキ。一時薄伽梵、王舍城鷲峯山{の}頂{に}(、)[於]最【(もと)】{も}清淨{に・して}甚深{なる}法界{の}諸佛(の)[之]境{たる}(、)如來{の}所居〈一〉{に}在〈二〉【(いま)】(し)キ。與【(とも)】{に・は}大苾蒭{の}衆九万八千人{あり}キ(。)皆是レ阿羅漢{なり}。能ク善ク〖調伏{せり}(。)〔調伏#シ#(、)〕〗大象王{の}〖如{し}(。)〔如#ク#(、)〕〗諸【(もろもろ)】{の}漏已{に}〖除{し}〔除#キ#〕〗(、)復【(ま)】(た)煩惱無{し}(。)心善(く)解脱〖{し}〔#シ#〕〗(、)慧善〖ク〔#ク#〕〗〖解脱{せり}(。)〔解脱#シ#(、)〕〗所作已{に}〖畢ヘ{たり}(。)〔畢【ヲ】#ヘ#(、)〕〗諸{の}重擔{を}〖捨テ%(消){て}%〔捨【#ス#】#テ#〕〗(、)逮【(およ)】(ひ){て}己{か}利{を}〖得【&エ(衣)&】〔得【#&エ(衣)&#】〕〗(、)諸{の}有/{の}結{を}〖盡{せり}(。)〔盡シ(、)〕〗大自在〖{を}得{たり}(。)〔#ヲ#得【#&エ(衣)&#】(、)〕〗清淨{の}戒{に}〖住{せり}(。)〔住#シ#(、)〕〗善巧―方便{の}智慧{に}莊嚴(せ)〖ラレ{たり}(。)〔#ラレ#(、)〕〗八解脱{を}〖證{せり}(。)〔證シ(、)〕〗已{に}彼岸{に}〖到レリ(。)〔到#レルヲ『モチテ』#(、)〕〗其{の}名{を・は}[曰]具壽阿若憍陳如{(右下)と}、具壽阿―説侍―多{(右下)と}、具壽婆濕波{(右下)と}、具壽摩訶那摩{(右下)と}、具壽婆帝利迦{(右下)と}(、)大迦攝婆{(右下)と}、優樓頻螺《{(右下)と}》迦攝(と)%(消)、%伽耶迦攝%(消){(右下)と}%(、)那提迦攝{(右下)と}(、)舍利子{(右下)と}(、)大目乾連《{(右下)と}》{といふ}。唯{し}阿難陁{のみ}[於]學地{に・は}住{せり}(。)是等{の}如キ諸{の}大聲聞{あり}(。)各【(おのおの)】[於]晡時{に}、定從【(より)】{して}[而]起(ち){て}、佛{の}所{に}往詣{し}、頂{を}『モチテ』佛{の}足【(あし)】{を}礼(したてまつり){て}、右{に}三 ○5 帀繞リ{て}、退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。)  復(た)菩薩摩訶薩、百{の}千万億{の}人〈(左)一〉有〈(左)二〉リ{て}倶{なり}(。)大威徳有(り){て}、大龍王{の}如{し}(。)名稱【(ほま)※名稱二字】レ普ク聞(え){て}衆【(もろもろ)】{に}知{し}識セ所【(ら)】レ{たり}(。)施{(左中)と}戒{(左中)と・を・も}清淨{に・すること・を}常{に}樂【(ねか)】(ひ){て}奉持{し}、忍行{(左中)と}精勤{(左中)と・を・も}無量{の}劫{を}經{て・し}(、)〖諸〈一〉{に}超〈二〉{せる}靜慮{に}〔諸{の}靜慮(に)超(え)#テ#〕〗念{を}繋(け){て}現前セ{し}メ、慧{の}門{を}開闡{し}、善ク方便{を}修{す}(。)自在{に}遊戲{する}微妙{の}神通{あり}(。)逮【(およ)】(ひ){て}惣持{(左中)と}辯才{(左中)と・を}得{て}無盡{なり}(。)諸{の}煩惱{(左中)と}累〈(左)一〉{(左中)と・を}斷〈(左)二〉{し}(、)染{を・も}皆亡{す}。久(しから)不{して}(、)當{に}一切―種智成ルヘ{し}(。)魔{(左中)と}軍【(い)%(消)クサ%】{(左中)と・の}衆{を}降{して}(、)而{も}法{の}皷{を}撃{つ}(。)諸{の}外道{を}制{して}、淨心{を}起サ令【シ】{む}(。)妙法{の}輪{を}轉{して}(、)人天{の}衆{を}度{す}(。)十方{の}佛土{を}悉ク已{に}莊嚴{せり}(。)六趣{の}有情{に}益(を)蒙【(かヽふ)】(ら)シメ不【{す}】{といふ・こと}無{し}(。)大智成就{し}、大忍具足{せり}(。)大慈悲心{に}住{するに}、大堅固{の}力有リ(。)諸佛{に}歴事【(つか)※歴事二字】ヘ(たてまつ)リ{て}、般涅槃セ不【{す}】(。)弘誓{の}心{を}發{して}(、)未來際{を}盡{す}(。)廣ク[於]佛{の}所{に}、深ク〖淨―因〔淨―ノ因〕〗{を}種(ゑ){たり}(。)三世{の}法{に}於【(し)】{て}、無生{を}悟ル忍{あり}(。)[於]二乘{の}所行{の}境界{を}逾(え){に・たり}(。)大善巧{を}以{て}、世間{を}化{す}。[於]大師{の}教{に}、能ク敷キ演フ。秘密{の}[之]法{(左中)と}甚深{の}空性{(左中)と・を}皆已{に}了{し}知{して}(、)復【(ま)】(た)疑―惑無{し}。 ○6 其{の}名{を・は}、障礙無(く){して}法輪{を}轉{する}菩薩、常{に}心{を}發(し){て}法輪{を}轉{する}菩薩、常{に}精進{する}菩薩(、)休息セ不【{す}】{して・する}菩薩%(大消)、%慈{を・する}氏{の}菩薩、妙吉―祥アラシムル菩薩%(大消)、%觀{して・するに}自在{なる}菩薩%(右大消)、%惣持{して}自在{に}王{たる}菩薩、大辯{に}莊嚴(せ)ラレ{て・するに}王{たる}菩薩%(右大消)、%妙―高山王{の}『コト』クアル菩薩、大海深王{の}『コト』クアル菩薩%(右大消)、%寶幢{の}『コト』クアル菩薩、大寶幢{の}『コト』クアル菩薩〖、〔%(右大消)、%〕〗地{に・して}藏(し){て・する}菩薩、虚空{を}藏(し){て・する}菩薩%(右大消)、%寶{を}手ヨリ{して・するに}自在{なる}菩薩、金剛{の}手{を}『モチテ』スル菩薩〖、〔%(右大消)、%〕〗歡喜{を・して}力{ある}菩薩、大{の}法{を・して・するに}力{ある}菩薩%(右大消)、%大〈一〉(に)光〈二〉{を}『モチテ』莊〈三〉嚴{せる}菩薩、大金光{を}『モチテ』莊嚴{する}菩薩%(右大消)、%淨戒{を・する}菩薩、常{に}定{を・する}菩薩、極―清淨{の}慧{を・する}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%堅固{に}精進{する}菩薩、心虚空{の}如ク{ある}菩薩、大願{を}斷(た)不【ヌ】菩薩{(右下)と}〖、〔%(右大消)、%〕〗藥{を}施{して・する}菩薩、諸{の}煩惱{の}病{を}療{する}菩薩、毉王{たる}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%歡喜(せし){む}ル{に}高王{なる}菩薩、上授記{を}得{たる}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%大雲{の}淨光{ある}菩薩、大雲{の}法{を}持{せる}菩薩{(右下)と}〖、〔%(右大消)、%〕〗大雲{の}名―稱{あり・て}喜―樂セラルヽ菩薩、大雲{の}無邊{の}稱【(な)】{を}現{する}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%大雲{の}師子吼{する}菩薩、大雲{の}牛王吼{する}菩薩{(右下)と}〖、〔%(右大消)、%〕〗大雲{の}吉祥{を・する}菩薩、大雲{の}寶徳{ある}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%大雲{の}日{の}『コト』ク藏{する} ○7 菩薩、大雲{の}月(の)『コト』ク藏{する}菩薩{(右下)と}〖、〔%(右大消)、%〕〗大雲{の}星光{の}『コト』クアル菩薩、大雲{の}火光{の}#『コト』ク#{ある}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%大雲{の}電光{の}『コト』クアル菩薩、大雲{の}雷音{の}『コト』ク{ある}菩薩%(右大消)、%大雲{の}慧―雨充遍{して・する}菩薩、大雲{の}清淨{の}雨王{して・する}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%大雲{の}華樹王{たる}菩薩、大雲{の}青蓮華香{たる}菩薩、大雲{の}寶旃檀香清涼身{たる}菩薩{(右下)と}%(右大消)、%大雲{の}闇{を}除{する}菩薩、大雲{の}@〓=U+27AE6@{を}破{する}菩薩《{(右下)と}》〈上〉{と}曰〈下〉【{い}】{ふ}〖%(大)。%〔%(右大消)。%〕〗是等{の}如キ無量{の}大菩薩衆{あり}(。)各[於]晡時{に}定從【(より)】{して}[而]起(ち){て}、佛{の}所{に}往詣{し}、頂(を)『モチテ』佛{の}足【(あし)】{を}礼{し}(たてまつ)リ、右{に}三帀繞(り){て}退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。)  復(た)梨車@毘=U+6BD7@{の}童子有#リ#。五億八千{なり}(。)其{の}名{を・は}(、)師子{の}光{ある}童子、師子{の}慧{ある}童子、法{を}『モチテ』授(く)ル童子(、)因陁羅{に}授(けら)レ{たる}童子、大光{を}『モチテ』スル童子、大猛{に・する}童子、佛{に}護ラルヽ童子、法{に}護(ら)ルヽ童子、僧{に}護(ら)ルヽ童子(、)金剛{に}護(ら)ルヽ童子、虚空{に}護(ら)ルヽ童子、虚空{の}吼{ある}童子、〖寶藏{ある}〔寶藏ヲスル〕〗童子、吉祥{の}〖妙藏{ある}〔妙藏ヲスル〕〗童子《{(右下)と}》〈上〉{と}曰〈下〉【{い}】{ふ}(。)是等{の}如キ人{を}[而]上首{(右下)と}爲【{せ}】{り}。悉【(ことこと)】(く)皆無上菩提{に}安住{せり}。大乘{の}中{に}於【(し)】{て}、深ク信{して}歡喜{す}。各[於]晡時{に}、佛{の}所{に}往詣{し}、頂(を)『モチテ』佛{の}足【(あし)】{を}礼(したてまつ)リ{て}、右{に}三帀繞(り){て}、退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。) ○8  復(た)四万二千{の}天子有リ。其{の}名{を・は}(、)[曰]見〈(左)一〉ムト喜〈(左)二〉―【&コ(己)&ノ】マルヽ天子、喜―悦(せら)ルヽ天子、日―光{の}『コト』クアル天子(、)月{の}『コト』ク髻【(もとヽり)】{を・せる}天子、明キ慧{ある}天子、虚空{の}『コト』ク淨キ慧{ある}天子、煩惱{を}除{せる}天子、吉祥{ある}天子{といふ}。是等{の}如キ天{を}而{も}上首{(右下)と}爲【{せ}】{り}。皆弘願{を}發{せり}。大乘{を}護持{するを}『モチテ』、正法{を}紹隆{して}、能ク絶(え)不《、》【{す}】(あら)使【シ】{む}。各[於]晡時{に}、佛{の}所{に}往詣{し}、頂{を}『モチテ』佛{の}足{を}礼(したてまつ)リ、右{に}三帀繞(り){て}、退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。)  復(た)二万八千{の}龍王有リ。蓮華{に}セル龍王、〖醫羅{の}葉{に}セル〔醫羅#ノ#葉#ヲスル#〕〗龍王、大力{ある}龍王、大吼{ある}龍王、小波{ある}龍王、駛―水{に}持/{する}龍王、金{の}『コト』ク面{ある}龍王、如意{を}『モチテ』セル龍王{なり}。是等{の}龍王{を}而{も}上首{(右下)と}爲【{せ}】{り}。大乘{の}法{の}於【(うへ)】{に}、常{に}樂(み){て}受持{す}。深信{の}心{を}發{せり}。稱揚{し}擁護{す}。各[於]晡時{に}、佛{の}所{に}往詣{し}、頂{を}『モチテ』佛{の}足{を}礼(したてまつ)リ(、)右{に}三帀繞(り){て}、退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。)  復(た)三万六千{の}諸{の}藥叉衆有リ。@毘=U+6BD7@沙門天王{を}而{も}上首{(右下)と}爲【{せ}】{り}。其{の}名{を・は}〖菴婆藥叉、持菴婆藥叉、蓮華光 ○9 藏藥叉、蓮華面藥叉、嚬眉藥叉、現大怖藥叉、動地藥叉、呑食藥叉{と}曰【{い}】{ふ}〔[曰]菴婆藥叉(、)持菴婆藥叉(、)蓮華光藏藥叉(、)蓮華面藥叉(、)嚬眉藥叉(、)現大怖藥叉(、)動地藥叉(、)呑食藥叉{といふ}〕〗。是等{の}藥叉{あり}。悉ク皆如來{の}正法{を}愛樂{す}。深心{を}『モチテ』護持{す}。疲懈{を}生サ不【{す}】。各[於]晡時(に)、佛{の}所{に}往詣{し}(、)頂{を}『モチテ』佛{の}足{を}礼(したてまつ)リ(、)右{に}三帀繞(り){て}、退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。)  復(た)四万九千{の}〖掲路荼王{(左中)と}香―象勢力王{を}〔掲路荼王ノ香象ノ『コト』ク勢力アル王トヲ〕〔掲路荼王#ノ#香象#ヲスル#勢力#アル#王(を)〕〗(、)而{も}上首{(右下)と}爲【{せ}】{る・(左中)と}(、)[及]餘{の}健闥婆{(左中)と}(、)阿蘇羅{(左中)と}緊那羅{(左中)と}莫呼洛伽{の}等【(こと)】キ{(左中)と}、山林河海{の}一切{の}神{(左中)と}仙{(左中)と}(、)并(せ){て}諸{の}大國〖{に}〔{を}〕〗所有ル王衆{(左中)と}(、)中宮{の}后妃{(左中)と}淨信{の}男{(左中)と}女{(左中)と・の}人天大衆〈(左)上〉有〈(左)下〉#リ#。悉ク皆雲{の}『コト』ク集(り)ヌ(。)咸ク願{して}無上大乘{を}擁護{す}。讀誦受持{す}(、)書寫{す}(、)流布{す}(。)各[於]晡時{に}、佛{の}所{に}往詣{し}、頂{を}『モチテ』佛{の}足【(あし)】{を}礼(したてまつり){て}(、)右{に}三帀繞(り){て}、退【(しそ)】(き){て}一面{に}坐{し}ヌ(。)是等{の}如キ聲聞{(左中)と}菩薩{(左中)と}人{(左中)と}天{(左中)と}大衆{(左中)と}龍神八部{(左中)と}(、)既{に}雲{の}『コト』ク集リ已【ヌ】(。)各各至レル心{を}『モチテ』、掌{を}合セ(、)恭{み}敬{ひ}尊{の}容【(かほ)】{を}瞻仰(し){たてまつる}。目曾{て}捨【ヤ】マ未【{す}】(。)願―樂{して}殊勝{の}妙法{を}聞(か){む・(右下)と}欲#フ#(。)尓【(そ)】(の)時【(とき)】{に}薄伽梵、[於]日{の}晡時{に}(、)[從]定ヨリ{して}(、)[而]起(ち){たまふ}。大衆{を}觀察(し){たまふ}(。)而{して}頌{を}説(き){て}曰【(のたま)】{はく}(、) 「 金光明{の}妙法{は}(、) 最勝{に・して}諸{の}經{の}王{(右下)と・います}。 甚深{に・して}聞(き){たてまつる・こと}得ル{こと}難ク、 諸佛{の}[之]境界{います}§(右)。§ ○10  我レ當{に}大衆{の}爲{に}(、) 是(の)如キ經{を}宣ヘ説(か){む}(。) 并(せ){て}四方{の}四佛{も}(、) 威神{を}『モチテ』共{に}加―護(し){たまは・む}(。) 東方{の}阿閦尊(、) 南方{の}寶相佛(、) 西方{の}無量壽(、) 北方{の}天皷音{なり}(。) 我レ復(た)妙法{(左中)と}(、) 吉祥{に・して}懺{の}中{に}勝レ{て}(、) 能ク一切{の}罪{を}滅{す・(左中)と}(、) 諸{の}〖惡業〔惡#ノ#業〕〗{を}淨除{し}(、) [及]衆{の}苦患{を}消{す・(左中)と}(、) 常{に}無量{の}樂{を}與フ{ると}、 一切智{の}根本{たる・(左中)と}(、) 諸{の}功徳{を}『モチテ』莊嚴〈(左)上〉{せる・(左中)と・を}演〈(左)下〉(へ){む}(。) 衆生{において}身具セ不【{す}】(、) 壽命將{に}損減{し}(、) 諸{の}惡―相現前{し}(、) 天神皆捨―離{すること}、 親友{は}瞋恨{を}懷キ(、) 眷屬{は}悉ク分レ離レ(、) 彼レ此レ〖共【{(左中)と}】〔共【(とも)】%(大消)ニ%〕〗乖キ違【%(消)タ%(か)】(ひ){て}(、) 珍財皆散失{すること・(左中)と}(、) 惡―星變恠{を}爲【ナ】{し}(、) 或(い){は}邪{(左中)と}蠱{(左中)と・の}侵{を}被【(かヽ)】フリ(、) 若(し)復(た)憂―愁多(く){して}(、) 衆苦{に}[之]逼(め)所ルヽ『コト』{(左中)と}(、) 睡眠{して・は}惡(し)キ夢{を}見{て}(、) 此{に}因(り){て}煩《{に}》惱{を}生セム{(左中)と・を}#『モチテ』#{す}。 是{の}人{は}當{に}澡浴{して}(、) 鮮―潔{の}衣{を}〖著【キ】〔著%(大消){す}%〕〗應{し}。 此{の}妙經王{の} 甚深{に・して}佛{の}讃(し){たまふ}所〈一〉{(右下)と・います・か}於【(うへ)】{に}(、) 專ラ心{を}注【トヽ】メ{て}亂ル{こと}〖無(く){して}〔無クシテシ〕〔無#クシテセヨ#〕〗(、) 讀―誦(し)聽{し}〖受持{も}セヨ〔受持#セヨ#〕〗(。) 此{の}經{の}威力{に}由(り){て}(、) 能ク諸{の}灾横{を}離レ(、) [及]餘{の}衆{の}苦難{を・も} 皆除滅セ不【{す}】{といふ・こと}無ケ{む}。 護世{の}四王衆{(左中)と}(、) [及]大臣{(左中)と}眷屬{(左中)と}(、) 無量{の}諸{の}藥叉{(左中)と・い} 心{を}一(に){して}皆擁衞セ{む}(。) 大辨才{(左中)と}天女{(左中)と}(、) 尼連河{の}水神{(左中)と}(、) 訶利底母神{(左中)と}(、) 堅牢地神{の}衆{(左中)と}(、) 梵王{(左中)と}帝釋主{(左中)と} 龍王{(左中)と}緊那羅{(左中)と} [及]金翅鳥王{(左中)と} 阿蘇羅{(左中)と}天衆{(左中)と}(、) 是(の)如キ天神等{い} 并(せ){て}其{の}眷屬{を}將【(ひき)】(ゐ){て}(、) 皆來(り){て}是{の}人{を}護ル{こと}(、) 晝夜{に}常{に}離(れ)不【{す}】{して}セム。 ○11  我レ當{に}是{の}經{の} 甚深{に・して}佛{の}行處{(右下)と・も・ある・(左中)と}(、) 諸佛{の}秘密{の}教{(右下)と・も・して}(、) 千萬劫{に・も}逢フ{こと}難〈一〉キ{と・を}説〈二〉{か・む}(。) 若(し)有(ら){む}『ヒト』{は}是{の}經{を}聞【キ】ヽ(、) 能ク他{の}爲{に}演ヘ説キ(、) 若(し){は}心{に}隨喜{を・も}生{し}(、) 或(い){は}[於]供養{を}設(け)ヨ。 是(の)如キ諸{の}人等{は}(、) 當{に}[於]無量{の}劫{に}(、) 常{に}諸{の}天人(、) 龍神{の}爲{に}恭敬セ所レ{む}(。) 此{の}福―聚無量{に・して}(、) 數【(か){す}】[於]恒沙{に}過(き){たる・こと}(、) 是{の}經{を}讀誦(せ){む}者{は}(、) 當{に}斯{の}功徳{を}獲{む}(と){す}(。) 亦(た){は}十方{の}尊{(左中)と・の}(、) 深行{の}諸{の}菩薩{(左中)と・の} 持―經者{を}擁護{して}(、) 諸{の}苦難{を}離(れ)令〈一〉{む}ル{こと・を}爲〈二〉【(かヽふ)】ラ{む}。 是{の}經{を}供養(せ){む}者{は}(、) 前【(さき)】{の}如ク身{を}澡浴{して}(、) 飲食(と)[及]香華(と){を}『モチテ』セシメ(、) 恒{に}慈悲{の}意{を}起(さ){し}メヨ。 若(し)是{の}經{を}聽{か・む・(右下)と}欲(は){は}(、) 心{を}淨(く){して}垢【(く)】{を}無{から}令メ(、) 常{に}歡喜{の}念{を}生{し}(、) 能ク諸{の}功徳{を}長セヨ(。) 若(し)尊重{の}心{を}以{て}(、) 是{の}經{を}聽聞(せ){む}者{は}(、) 善ク[於]人趣{に}生レ(、) 諸{の}苦難{を}〖遠離{すること・を・も}セ{む}〔遠離#セム#〕〗(、) 彼{の}人{の}善根熟{して}(、) 諸佛{の}[之]所讃{たる・い}(、) 方{に}シテ是{の}經(、) [及以]懺悔{の}法{を・は}聞ク{こと}得{るを}『モチテ』(。) 」(と){のたまふ}(。) 金光明最勝王經如來壽量品第二  尓【(そ)】(の)時【(とき)】{に}王舍大城{に}一(はしら){の}菩薩摩訶薩{の}(、)名{を・は}妙幢《{(右下)と}》{と}曰〈一〉【{い}】{ふ}有〈二〉【{いま}】{す}。已{に}[於]過去{の}無量倶胝那庾多{の}百千{の}佛{の}所{に}、承事{し}供養{して}諸{の}善根{を}殖(ゑ){たり}(。)是{の}時{に}妙幢菩薩、獨リ[於]靜{なる}處{に・して}(、)是{の}思惟{を}作(さ)ク、「何{の}因縁{を}以{て・か}、釋迦牟尼如來{の}壽命{の}短ク促マリ{て}、唯(た)八十年{のみ・います}ヘクアラム(。)」(と)『オモフ』(。)復(た)是{の}念{を}作(さ)ク、「佛{の}所説{の}如{し}。二{の}因縁有(り){て}、 ○12 壽命長キ{こと}得【ウ】{(右下)と・のたま}ヘリ(。)云何【(いか)※云何二字】(なる){を・か}二{(右下)と}爲【{す}】{る・とならは}、一者【(は)】生{の}命{を}害セ不【ヌ】、二者【(は)】他{に}飲食{を}施{するをいふ}。然{るに}釋迦牟尼如來{は}、曾【(むか)】{し}[於]無量百千万億{の}無數{の}大劫{に}、生{の}命{を}害(せ)不【{す}】{して}、十善道{を}行(し){たまひ}、常{に}飲食{を}以{て}一切{の}飢餓{の}衆生〈(消)一〉{に}惠施〈(消)二〉{し・たま・ひ}、乃(し)己―(か)身{の}血肉骨髓{に}至(る)マ{て・に・を・も}、亦(た)持{(右下)と}%(大消){して}%施―與{して}飽―滿{すること}得令(め){たまひ・たり}。況(や)餘{の}飲食{を・は}(。)」{(右下)と}『オモフ』(。)時{に}彼{の}菩薩(、)[於]世尊{の}所{に}是{の}念{を}作{す}(。)時{に}佛{の}威力{を}以{て}(、)其{の}室忽―然{に}廣―博嚴淨{に・なり}ヌ。帝{の}青―瑠璃{(左中)と}種種{の}衆{の}寶{(左中)と・を}『モチテ』、雜【(くさくさ)】{に}彩【(うるわ)】(し)ク間【(まし)】ヘ飾レル{こと}(、)佛{の}淨土{の}如{し}。妙―香氣【%(大消)ケ%】{の}、諸{の}天{の}香{に}過〈一〉(き){たる}有〈二〉(り){て}、芬―馥{せる・こと}充滿{せり}(。)[於]其{の}四面{に}各上妙{の}師子{の}[之]座有リ。四寶{に}成サ所【レ】{たり}。天{の}寶衣{を}以{て}、[而]其{の}上{に}敷ケリ。復(た)[於]此{の}座{に}妙蓮華(、)種種{の}珍寶〈一〉有〈二〉(り){て}、以【(こ)】レ{を}『モチテ』[爲]嚴飾{せり}。量リ如來{に}等(し)ク{して}(、)自然{に}[於]蓮華{の}上{に}顯現{せり}(、)四(はし)ラ{の}如來有【{いま}】{す}。東方{の}不動、南方{の}寶相、西{の}無量壽、北{の}天皷音{なり}。是{の}四(はしら){の}如來、各[於]其{の}座{に}(、)趺{を}跏(ね){て}(、)[而]坐(し){たまひ}ヌ(。)大光明{を}放(ち){て}(、)周遍{して}王舍大城{(左中)と}[及]此{の}三千大千世界{(左中)と}(、)[乃至]十方{の} ○13 恒河沙{に}等(し)キ諸佛{の}國土〈一〉{(左中)と・を}照―耀〈二〉(し){たまふ}(。)諸{の}天{の}華{を}雨リ(、)諸{の}天{の}樂{を}奏【%(大消)ソウ%】{す}(。)尓(の)時{に}[於]此{の}瞻部洲{の}中{(左中)と}(、)[及]三千大千世界{(左中)と・に}所有ル衆生{い}、佛{の}威力{を}以{て}、勝妙{の}樂{を}受(く){るに}、乏少{なる・こと}有(る){こと}無{し}(。)若(し)身具/セ不【ヌ】『ヒト』{は}皆具足{すること}(を)蒙リ、盲(ひ){たる}者{は}能ク視【{み}】、聾(ひ){たる}者{は}聞ク{こと}得{つ}。瘂【%(大消)オ%(ふし)】{なる}者{は}能ク言【{い}】フ。愚{なる}者{は}智{を}得{つ}。若(し)心亂レ{たる}者{は}本心{を}得{つ}。若(し)衣無キ者{は}衣服{を}得{つ}。〖惡【(に)ク】〔惡【%(右2大消)ニク%】〕〗{み}賤シヒ被《、》【ラ】ルヽ者{は}(、)人{に}敬(は)所【レ】ヌ。垢【(あか)】ツキ穢レ{たる・こと}有ル者{は}身清潔{に・なり}ヌ(。)[於]此{の}世間{に}所有ル利益{の}未曾有{の}事悉ク皆顯現{し}ヌ(。)  尓(の)時{に}妙幢菩薩、四(はしら){の}如來{(左中)と}[及]希有{の}事{(左中)と・を}見{て}、歡喜{し}踊躍{し}掌{を}合セ(、)心{を}一{に}(し){て}諸佛{の}殊勝{の}[之]相{を}瞻仰(し){たてまつる}(。)亦復【(ま)※亦復二字】(た)思惟{す}ラク(、)「釋迦牟尼如來〖{は}無量{の}功徳{います・を}〔#ノ#無量#ノ#功徳#ヲ#〕〗(、)唯(た)〖壽命於【{のみ}】{に}〔[於]壽命{の}〕〗、疑惑{の}心{を}生〖{す}〔#ス#〕〗。」{(右下)と}『オモフ』。云【『マヲ』】(さ)ク「何ソ如來{は}功徳無量{に・います・ものを}(、)壽命{の}短ク促(ま)リ{て}(、)唯(た)八十年{のみ・います}ヘキ。 」{(右下)と・まをす}(。)尓(の)時{に}四(はしら){の}佛(、)妙幢菩薩{に}告(け){て}言(は)ク、「善男子、汝今如來{の}壽命{の}長短{を・は}思忖{す}應(から)不【{す}】。何(を)以(ての)故(に)(、)善男子、我等、諸{の}天{(左中)と}世間{(左中)と}梵{(左中)と}魔{(左中)と}沙門{(左中)と}婆羅門{(左中)と・の}等キ人(と)[及]非人(と){い}能ク佛{の}[之]壽量{を}筭知セ{むとす}(と){も}、其{の}齊限{を}知〈一〉{るい}有〈二〉ルヘシ{(右下)と・は}見〈三〉【{み}】不〈四〉【ヌ】{を}『モチテ』(、)唯(た)無上正 ○14 遍知者{を・は}除ケ(。)」{(右下)と・のたまふ}(。)時{に}四(はしら){の}如來(、)釋迦牟尼佛{に}所有ル壽量{を}説{か・む・(右下)と}欲(ひ){て}、佛{の}威力{を}以{て}、欲―色界{の}天{(左中)と}(、)諸{の}龍{(左中)と}鬼神{(左中)と}健闥婆{(左中)と}阿蘇羅{(左中)と}掲路荼{(左中)と}、緊那羅{(左中)と}莫呼洛伽{(左中)と}[及]無量百千億那庾多{の}菩薩摩訶薩{(左中)と・を}悉ク〖會{に}來―集セシム。〔來―集(せ)#シメ#會【#ツト#】#ヘテ#、〕〗妙幢菩薩{の}淨妙{の}室{の}中{に}入レツ(。)尓(の)時{に}四(はしら){の}佛[於]大衆{の}中{に・して}、釋迦牟尼如來{に}所有ル壽量{を}顯(せ){む・(右下)と}欲(ひ){て}、[而]頌{を}説(き){て}曰(は)ク(、) 「 一切{の}諸{の}海{の}水 其{の}渧{の}數{を・は}知(り)ヌ可{し}。 能ク 釋迦{の}[之]壽量{を}(、)數ヘ知ル『ヒト』{は}有(る){こと}無ケ{む}。 諸{の}妙高山{を}折【(くた)】(か){む・こと}(、) 芥{の}如ク{して}數{を・は}知(り)ヌ可{し}。 能ク 釋迦{の}[之]無量{を}數ヘ知ル『ヒト』{は}有(る){こと}無(け){む}。 一切{の}大地{の}土 其{の}塵{の}數{を・は}知(り)ヌ可{し}。 能ク 釋迦{の}[之]壽量{を}筭知{する}『ヒト』{は}有(る){こと}無(け){む}。 假―使{ひ}虚空{を}量リ{て} 邊際{を}盡{す・こと・は}得{つ}可{し}(。) 能ク 釋迦{の}[之]壽量{を}度知{する}『ヒト』{は}有(る){こと}無(け){む}。 若(し)人億劫{に}住{して} 力{を}盡(し){て}常{に}筭{を}『モチテ』數フ{(右下)と・も}、 亦復【(ま)※亦復二字】(た) 世尊{の}[之]壽量{を}知ル{こと・は}能(は)不【{し}】。 衆生{の}命{を}害(し){たまは}不【{す}】{ある}『ヒト』{を}(、) [及於]飮食{を}施セシ{(左中)と}、 斯{の}二種{の}因{に}由(り){て} 壽命長―遠{なる・こと}得{たまひ・たり}。 是{の}故{に}大覺尊{は} 壽命知リ數ヘル{こと}難{し}。 劫{の}無邊―際(なる)如ク(、) 壽{の}量{も}亦(た)是(の)如{し}(。) 妙幢汝當{に}知レ(、) 疑惑{を}起{す}應(から)不【{す}】(。) 最勝{は}壽無量{なり}(。) 能ク知リ數フル者{は}莫{し}(。) 」(と){のたまふ}(。) ○15  尓(の)時{に}妙幢菩薩、四(はしら){の}如來{の}釋迦牟尼佛{の}壽量限リ無{し・(右下)と}説(き){たまふ・を}聞(き){て}、白(し){て}言(は)ク(、)「世尊、云何【(いか)※云何二字】(に)ソ如來{の}是(の)如キ短促{の}壽量{を}示現(し){たまふ}ヘキ(。)」{(右下)と・まをす}。時{に}四(はしら){の}世尊(、)妙幢菩薩{に}告(け){て}言(は)ク、「善男子、〖彼{の}釋迦牟尼佛{の}[於]五濁{の}世{に}出現(し){たまふ}[之]時{に・は}(、)〔彼(の)釋迦牟尼佛ハ[於]五濁(の)世ヲ出現ノ[之]時ニシタマフ(。)〕〗人{の}壽百年{なり}。禀(け){たる}性{において}下劣{に}(し){て}、善根微―薄{に・も}復(た){は}信―解無ク{あり}(。)此{の}諸{の}衆生{は}多ク我見{(左中)と}人見{(左中)と}衆生{(左中)と}壽者{(左中)と}養育【%(大消)ユク%】{(左中)と}邪見{(左中)と}〖我{(左中)と}〔我ノ〕〗我―所見{(左中)と}斷常見{(左中)と・の}等〈(左)一〉キ有〈(左)二〉リ(。)此{の}諸{の}異生(と)[及]衆{の}外道〈(左)一〉(と){を}利益〈(左)二〉{して}、是等{の}如キ類{に}正解{を}生サ令メ、速(か){に}無上菩提{を}成就{すること}得〈一〉(し)メ{む・(右下)と}欲〈二〉【(おもほ)】{す・か}爲{に}(、)是{の}故{に}釋迦牟尼如來{は}、是(の)如キ短促{の}壽命{を}示現{し・たまふ}ヘシ(。)善男子、然{も}彼{の}如來{は}、衆生{に}涅槃{の}已(り)ヌ{(右下)と}見{し}メ{て}、難遭{の}想憂苦等{の}想{を}生(さ){し}メ(、)佛世尊{の}所説{の}經教{の}於【(うへ)】{に}、速ク當{に}受持{し}讀{し}誦{して}通―利{し}(、)人{の}爲{に}解説{して}謗毀{を}生(さ)不〈(左)一〉【{す}】アラ令〈(左)二〉メ{む・(右下)と}欲(ひ){て・なり}(。)是{の}故{に}如來、斯{の}短キ壽{を}現(し){たまふ}ヘシ(。)何(を)以(ての)故(に)(、)彼{の}諸{の}衆生{い}(、)若(し)如來般涅槃(し){たまは}不【{す}】{(右下)と}見{て・は}、恭{み}敬{ひ}、遭フ{こと}難{し・といふ}[之]想〈一〉{を}生サ不〈二〉【{し}】(。)如來{の}所説{の}甚深{の}經典{を・も}、亦(た)受持{し}讀{し}誦{して}通利{し}人{の}爲{に}宣―説〈一〉セ不〈二〉【{す}】{なり}ナ{む}(。)所以(は)[者]何(に)(。)〖常{なり・(右下)と}『オモヒ』{て}佛{を}見(たてまつり){て}尊―重〈(左)一〉セ ○16 不〈(左)二〉【{し}】{を}以テ{の}〔常ニ佛ヲ見〈一〉(たてまつ)ルヲ以〈二〉テ尊重(せ)不【シ】カ〕〗故{なり}(。)善男子、譬(へは)有ル人、其{の}父母多ク財―産有(り){て}、珍寶豐盈〈一〉{せり・(右下)と}見〈二〉{て・は}、便(ち)財物{の}於{に}、有〈一〉ル{こと}希〈二〉{なり}(、)遭フ{こと}難{し・といふ}[之]想〈(左)一〉{を}生〈(左)二〉(さ)不【{す}】(。)所以(は)[者]何(に)(。)父{(左中)と}財物{(左中)と・の}於{に}常{なり・といふ}想{を}生{す・か}故〈上〉{に・といふか}如〈下〉ク(、)善男子、彼{の}諸{の}衆生{も}亦復【(ま)※亦復二字】(た)是(の)如{し}。若(し)如來涅槃{に}入(り){たまは}不【{す}】{(右下)と}見{て・は}、有ル{こと}希{なり}(、)遭フ{こと}難{し・といふ}[之]想{を}生(さ)不【{す}】{なり}ナ{む}(。)所以(は)[者]何(に)。常{なり・(右下)と}見{るに}由{るか}故{に・なり}(。)善男子、譬(へは)有ル人〖父母《{に}》{において}貧窮{して}〔父母貧窮ニシテ〕〗資―財乏少{なり}(、)然{も}彼{の}貧人{い}或【{ある}】{ときに}(は)王―家{に}或(ときに){は}大臣{の}舍{に}詣(り){て}、其{の}倉庫{に}種種{の}珍財悉ク皆盈滿{せる・を}見{て}、希有{なり・といふ}心(、)遭フ{こと}難{し・といふ}[之]想{を}生{す}(、)時{に}彼{の}貧人{い}財{を}求(め){む・(右下)と}欲フ{か}爲{に}、廣%(消)ク%方便{を}設(け){て}策【%(消)ハケ%】%(消){み}%勤(め)怠%(消)ル{こと}%無%(消){し}%、所以(は)[者]何(に)、貧窮{を}捨(て){て}安樂{なる・こと・を}受(け){む・か}爲%(消){の}%故{に・なり・といふか}如(く)(、)善男子、彼{の}諸{の}衆生{も}亦復【(ま)※亦復二字】(た)是(の)如{し}。若(し)如來[於]涅槃{に}入(り){たまひ}ヌ{(右下)と}見{て・は}、遭フ{こと}難{し・といふ}想{も}[乃至]憂苦等{の}想〈一〉(まてに){を}(も)生〈二〉シ{て・む}(。)復(た)是{の}念{を}作(さ)マク、「[於]無量劫(に){あり・て}、諸佛如來、[於]世{に}出現(し){たまふ・こと}、烏曇跋華{の}時{に・あり・て}乃(し)一(た){ひ}現{するか}如{し}。」{(右下)と}『オモフ』。彼{の}諸{の}衆生{い}、希有{なり・といふ}心{を}發{し}、遭フ{こと}難{し・といふ}想{を}起{して}、若(し)如來{に}遇(ひ){て・は}、心{に}敬信{を}生(し){て・む}(。)正法{を}説(き){たまふ・を}聞(き){て・は}、實語{なり・といふ} ○17 想{を}生{し}、所有ル經典{を・も}悉ク皆受持{して}毀謗{を}生(さ)不【{す}】{なり}ナ{む}(。)善男子(、)是{の}因縁{を}以{て}、彼{の}佛世尊{は}、久(し)ク世{に・は}住(し){たまは}不【{す}】{して}速ク涅槃{に}入(り){たまひ}ヌヘシ(。)善男子、是{の}諸{の}如來{は}、是等{の}如キ善巧方便{を}以{て}、衆生{を}成就(し){たまふ}(。)」{(右下)と・のたまふ}(。)尓(の)時{に}四(はしら){の}佛是{の}語{を}説キ已(り){たまひ・て}(、)忽然{に}現(し){たまは}不【{す}】{なり}ヌ(。)  尓(の)時{に}妙幢菩薩摩訶薩、[與]無量百千{の}菩薩(と)[及]無量億那庾多百千{の}衆生{(左中)と}倶―共{に}、鷲峯山{の}中{の}釋迦牟尼如來正遍知{の}所{に}往詣{して}、頂{を}『モチテ』佛(の)足【(あし)】{を}礼{し}、一面{に}在(り){て}立(て)リ(。)時{に}妙幢菩薩、上{の}如キ事{を}以{て}、具{に}世尊〈一〉{に}白〈二〉{す}。時{に}四(はしら){の}如來{は}亦(た)鷲峯{に}詣【%(消)マウ%】%(消)テ%{たまひ}〖{て}、〔%(消)ヌ%。〕〗釋迦牟尼佛{の}所{に}至(り){たまひ・て}、各本方{に}隨(ひ){て}、座{に}就(き){て}[而]坐(し){たまひ}ヌ(。)侍者{の}菩薩{に}告(け){て}言(は)ク、「善男子汝今釋迦牟尼佛{の}所{に}詣(て){て}、我〈(左)一〉〖{か}〔#カ#〕〗爲〈(左)二〉#ニ#問〈(左)一〉{(右下)と・して}致〈(左)二〉{し・たてま}#ツレ#。「病{は}少ク惱(し)キ{こと・は}少{し}ヤ(。)起居{は}輕利{に・います}ヤ。安樂{に}行(し){たまふ}ヤ(、)不〈上〉【(いな)】ヤ。」{(右下)と・まをす}可〈下〉{し}。復(た)是{の}言{を}作(さ)マク、「善(き)哉善(き)哉、釋迦牟尼如來、今金光明經{の}甚深{の}法要{を}演説(し){たまふ}可{し}。一切{の}衆生{を}饒益{し}、飢饉{を}除去{し}(、)安樂{を}得令(め){む・(右下)と}欲(ふ){か}爲{に}、我{も}當{に}隨喜セ{む}ト『マヲ』ス(。)ト『マヲ』セ(。)」ト『ノタマ』フ(。)時{に}彼{の}侍―者、各釋迦牟尼佛{の}所{に}詣(り){て}、頂{を}『モチテ』雙{の}足【(あし)】{を}礼(したてまつ)リ却(き){て}一面{に} ○18 住{して}、倶{に}佛{に}白(し){て}言(は)ク、「彼{の}天人{の}師、問{を}致(し){たてまつり・たまふ・こと}無量{なり}。「病{は}少ク惱(し)キ{こと・は}少{し}ヤ、起居{は}輕利{に・います}ヤ、安樂{に}行(し){たまふ}ヤ不ヤ。」{(右下)と}、復(た)是{の}言{を}作(し){たまは}ク、「善(き)哉善(き)哉釋迦牟尼如來、今金光明經{の}甚深{の}法要{を}演説(し){たまふ}可{し}。一切{の}衆生{を}利益{し}、飢饉{を}除去{し}(、)安樂{を}得〈(左)一〉【&エ(衣)&】令(め){む}(と)欲〈(左)二〉(ふ){か}爲〈(左)一〉{に}(。)」ト『マヲ』セ(。)」ト『ノタマ』フ(。)」ト『マヲス』(。)尓(の)時{に}釋迦牟尼如來應正等覺、彼{の}侍者{の}諸{の}菩薩{に}告(け){て}言(は)ク、「善(き)哉善(き)哉、彼{の}四(はしら){の}如來{の}乃(し)能ク諸{の}衆生{を}饒益{し}安樂(せ){む・か}爲{に}、[於]我{を}正法{を}宣―揚セヨ{(右下)と}勸請(し){たまふ}ナラク。」(と){のたまふ}(。)尓(の)時世尊而(して)頌(を)説(きて)曰【(のたまは)】(く)、 「 我{は}常{に}鷲山{に}在(り){て}(、) 此{の}經寶{を}宣説{す}(、) 衆生{を}成就セ{む・(右下)と}(の)故{に}(、) 般―涅槃{を}示現{す}ヘシ(。) 凡夫{は}邪{の}見{を}起{して}(、) 〖我{か}所説{を}〔我ト所説トヲ〕〗信セ不【{す}】(。) 彼{を}成就(せ){む・か}爲{の}故{に}(、) 般涅槃{を}示現{す}ヘ{し}(。)」(と){のたまふ}。  時{に}大會{の}中{に}(、)婆羅門有リ、姓{は}憍陳如、名{は}[曰]法師授記{といふ}。[與]無量百千{の}婆羅門衆{(左中)と}佛{を}供養(し){たてまつ}リ已【ヌ】(。)世尊{の}般涅槃{に}入(り)ナ{む・(右下)と}説(き){たまふ・を}聞(き){て}、涕涙{を}交ヘ流{す}(。)前(み){て}佛{の}足【(あし)】{を}礼(し){たてまつ}リ白(し){て}言(は)ク(、)「世尊、若(し)實{に}如來{は}諸{の}衆生{に}於{て}、大慈悲有【{いま}】{し・て}、憐愍{し}利益{して}、安樂{を} ○19 得【&エ(衣)&】令(め){たまふ・こと}、猶父母{の}餘{(右下)と・して}等(し)キ者【『モノ』】無{きか}如ク{いまし}(、)能ク與【(とも)】{に}世間{の}歸依處{(右下)と}作(り){たま}ヘル{こと}、淨キ滿月{の}如ク{いまし}(、)大智慧{を}以{て}(、)能ク[爲]照明{し・たまふ・こと}(、)日{の}初{に}出(つ){るか}如ク{いまし}、普ク衆生{を}觀{たまひ・て}(、)愛{するに}偏黨無キ{こと}(、)羅怙羅{を・し・たまふ・か}如(く){います}『モノ』{とならは}(、)唯{し}願フ世尊、我{に}一{の}願(を)施(し){たまへ}。」{(右下)と・まをす}。尓(の)時世尊默然{して}[而]止【マ】シマス(。)佛{の}威力{の}故{に}(、)[於]此{の}衆{の}中〈(左)一〉{に}有〈(左)二〉ル梨車@毘=U+6BD7@童子{に・は}、一切衆生喜見{(右下)と}名ケラル{るい}(、)婆羅門憍陳如{に}語(り){て}言(は)ク、「大婆羅門、汝今佛{に}從(ひ){たてまつり・て}、何{の}願{を・か}乞(は){む・(右下)と}欲フ。我レ能ク汝{に}與ヘ{む}。」{といふ}。婆羅門{の}言(は)ク、「童子我無上世尊{を}供養(し){たてまつ}ラ{む・(右下)と}欲フ{を}『モチテ』(、)今如來{に}從(ひ){たてまつり・て}(、)舍利{を}芥子〈一〉{の}如〈二〉ク許〈(左)一〉リ{を・も}求請〈(左)二〉{す}。何(を)以(ての)故{に・とならは}、我レ曾{し}(、)若(し)善男子善女人{の}佛{の}舍利{を}芥子{の}如ク許〈一〉(り){を・も}得〈二〉{て}、恭敬{し}供養セ{む}、是{の}人{は}當{に}三十三天{に}生レ{て}、而{も}帝釋{(右下)と}爲〈上〉【ナ】ラ{む・(右下)と}説〈下〉〈(左)一〉(き){し・を}聞〈(左)二〉(き){し・を}『モチテ』{なり}(。)」{といふ}。是{の}時{に}童子婆羅門{に}語(り){て}曰{はく}、「若―(し)三十三天{に}生(れ){て}(、)勝(れ){たる}報【%(消)ムクイ%】{を}受〈一〉(け){む・(右下)と}欲―願〈二〉セ{は}[者]、當{に}心{を}至(し){て}是{の}金光明最勝王經{を}聽【キ】ヽ{たてまつる}應{し}(。)[於]諸{の}經{の}中{に}最【(もと)】{も}殊勝{に・います・(右下)と}爲【(な)】{す}。解【(さと)】ル{こと}難ク入リ難(く){して}、聲聞獨覺{も}知ル{こと}能(は)不【ヌ】所{なり}(。)此{の}經{は}能ク無量無邊{の}福徳{の}果報{を}生(せ)シメ、[乃至]無上菩提/(まて){を}成辨セシ{む・るを}『モチテ』{なり}(。)我レ今汝{か}爲{に}(、)略{して}其{の}事{を}説ク(。)」{といふ}(。)婆 ○20 羅門{の}言(は)ク(、)「善(き)哉童子、此{の}金光明{は}甚深{なり}(、)最上{なり}、解ル{こと}難ク入リ難{きを}『モチテ』、聲聞獨覺{す}ラ尚{し}知ル{こと}能(は)不【{す}】アル{なり}(。)何【(いか)】(に)況(や)我等【ラ】邊鄙{の}[之]人{の}智慧微淺{なる・い}而{も}能ク解了セ{む}ヤ(。)是{の}故{に}我今佛{の}舍利{を}求(め){て}(、)芥子{の}如ク許(り){を・も}、持(ち){て}本處{に}還(り){て}、寶{の}函{の}中{に}置(き){て}(、)恭敬{し}供養{して}、命終{の}[之]後{に・は}、帝釋{(右下)と}爲【{な}】{り・て}(、)常{に}安樂{を}受〈(左)一〉(く)ル{こと}得〈(左)二〉{む・(右下)と}『オモ』フ(。)云何【(いか)※云何二字】(に)ソ汝{か}今我{か}爲{に・(右下)と・して}(、)明行足{に}從(ひ){たてまつり・て}(、)斯{の}一{の}願{を}求〈一〉(む)ル{こと}能(は)不《{(右下)と}》〈二〉{らむ}。」{といふ}、是{の}語{を}作リ已【ヌ】(。)尓(の)時{に}童子即(ち)婆羅門{の}爲{に}[而]頌{を}説(き){て}曰(は){く}(、) 「 〖恒河{の}駛ク流(る)ル水{に・は}(、)〔恒河#ト#駛(く)流#ルヽトノ#水(には)(、)〕〗 白―蓮華生{す}可ケ{む}ヤ。 黄鳥〖{は}〔#イ#〕〗白キ形{に}作【(な)】リ(、) 黒キ烏〖{は}〔#イ#〕〗變(し){て}赤ク爲【{な}】{り}ナムヤ。 假使【(たと)※假使二字】(ひ)瞻部樹{に}(し){て}(、) 多羅{の}〖菓【{み}】〔菓【%(大消)ミ%】%(大消)ハ%〕〗生{し}ヌ〖可ク{なり}〔可【%(大消)ヘ%】%(大消)ケム%〕〗、 朅樹羅{の}枝{の}中{に}(、) 能ク菴羅{の}葉{は}出(て){む}ヤ。 斯レ等【ラ】{の}希有{の}物{は}(、) 或{ときに・は}容【(よ)】{し}轉變{し}ヌ可ク{ある・も}(、) 世尊{の}[之]舍利{は}、 畢竟{して}得【ウ】可(から)不【{す}】。 假使【(たと)※假使二字】(ひ)龜{の}毛{を}用(ゐ){て}(、) 上妙{の}服{に}〖織リ〔織【%(右2大消)オ%】%(右2大消)リ%〕〗成(し){て}(、) 寒キ{い}時{に}披ケ著【キ】可{か}ラ{む・ときに}(、) 方{に}佛{の}舍利{を・は}求{む}ヘシ(。) 假使【(たと)※假使二字】(ひ)蚊蚋{の}足{を}『モチテ』、 樓―觀{(右下)と}成{して}(、) 堅ク固(く){して}〖搖―動〔搖―【%(大消)&エ(衣)&ウ%】動〕〗(せ)不〈(左)一〉【{す}】(あら)使【シ】{む}可〈(左)二〉(か)ラ{む・ときに}(、) 方{に}佛{の}舍利{を・は}求{む}ヘシ(。) 假使【(たと)※假使二字】(ひ)水{に・ある}蛭蟲{の}、 口{の}中{に}白{き}齒生(し){て}、 長ク大{きに・して}利(か)ラ{む・こと}鋒【(ほこのさき)】(の)如%(消)ク%(あ){らむ・ときに}(、) 方{に}佛{の}舍利{を・は}求{む}ヘシ(。) 假使(ひ)菟{の}角{を}持(ち){て}(、) 用(ゐ){て}[於]梯【%(消)タイ%】{(右下)と}成{して}蹬【フ】{み・て}(、) 天―宮{に}〖昇リ上ル〔昇【%(右2消)アカ%】%(右2消)リ%上【%(右2消)ノホ%】%(右2消)ル%〕〗可【ヘ】(か)ラ{む・ときに}(、) 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) ○21  鼠【ネ】{い}此{の}梯【(はし)】{に}〖縁(り){て}〔縁【%(消)ツナ%】%(消)トシテ%〕〗上リ{て} 阿蘇羅{の} 能%(消)ク%空{の}中{の}月{を}〖障フ{るを}〔障【%(右2消)サ%】%(右2消)フルヲ%〕〗除―去(せ){む・ときに}(、) 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) 若【タト】ヒ蠅{い}酒{を}飲{み}醉ヒ{て} 周【%(大消)スウ%】ク村邑{の}中{に}行キ(、) 廣ク[於]舍宅{に}造ラ{む・ときに}、 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) 若使【(たと)※若使二字】(ひ)驢【(うさきうま)】{の}脣{の}色、 赤{なる・こと}頻婆菓{の}如(く){して}(、) 善ク[於]〖歌{ひ}舞フ{こと}〔歌【カア】舞【フウ】〕〗{を}作(さ){む・ときに}、 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) 烏{(左中)と}[与]鵂鶹鳥【(ふくろふ)※鵂鶹鳥三字】{(左中)と・い}(、) 同(し)ク共{に}一處{に}遊(ひ){て}、 彼レ此レ相{ひ}順―從(せ){らむ・ときに}(、) 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) 假使【(たと)※假使二字】(ひ)波羅{の}葉【%(大消)ハ%】{を}『モチテ』、 [於]傘―盖{に}成{して}、 能ク[於]大雨{を}〖遮〈(左)一〉【サ】フ〔遮〈(左)一〉【%(右2大消)サ%】#ス#〕〗可〈(左)二〉(から){む・ときに}、 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) 假令【(たと)※假令二字】(ひ)大(き){なる}船舶【%(大消)ツヽフネ%※船舶二字】{に}(、) 諸{の}財寶{を}盛レ滿(て){て}(、) 能ク陸―地ヨリ行セ令(しめ){む・ときに}(、) 方(に)佛(の)舍利(をは)求(むへし)(。) 假使【(たと)※假使二字】(ひ)〖鷦―鷯鳥【カヤクキ】〔鷦―【#セウ#】鷯【#レウ#】鳥【#テウ#】〕〗(、) 觜【(くちはし)】{を}以{て}香山{を}銜【フク】{み・て}(、) 處{に}隨(ひ){て}任【(ほしきま)】マ{に}遊行(せ){む・ときに}(、) 方(に)佛{の}舍利{を・は}求(む)ヘ{し}。」{といふ}。  尓(の)時{に}法師授記婆羅門、此{の}願フ{を}聞【キ】ヽ已(り){て}、亦(た)伽他{を}以{て}(、)一切衆生喜見童子{に}答(へ){て}曰{はく}、 「 善(き)哉大{なり}、童子{なり}、 此{の}衆{の}中{に}吉祥{なり}。 善―巧{あり}、方便{の}心{あり}、 佛{の}無上{の}記{を}得{たり}。 如來{は}大威徳{います}(、) 能ク世間{を}救護(し){たまふ}。 仁/【(きみ)】、至レル心{を}『モチテ』聽ク可{し}。 我レ今次第{に}説{か・む}。 諸佛{の}境{は}難思{なり}ケリ(。) 世間{に}與【(とも)】{に}等(し){きは}無(かり)ケリ(。) 法身{は}性{において}常住{なり}ケリ。 修行{も}差別無{か}リケリ。 諸佛{は}體皆同【(とう)】{なり}。 所説{の}法{も}亦(た)尓【(しか)】{なり}(。) 諸佛{は}作―者無{し}。 亦復【(ま)※亦復二字】(た)本ヨリ無―生{なり}ケリ(。) 世尊{は}金剛{の}體{なり}(、) 〖權現{せる・いは}於【(こ)】レ化身{なり}〔[於]化身#ヲ#權現#セルナリケリ#〕〗。 是{の}故{に}佛{の}舍利{は}(、) 芥子{の}如ク許リ{も}無{か}リケリ。 佛{は}血―肉{に}非ヌ身{なり}(。) 云何【(いか)※云何二字】(に)ソ舍利有【{いま}】{す}ヘカリケリ{といふ}。 方便{を}『モチテ』身―骨{を}留(めたま)ヘル{こと・は}(、) 諸{の}衆生{を}益(せむ){か}爲{に・なり}ケリ(。) ○22  法身{の}是レ正覺{たる}(、) 法界{の}即(ち)如來{なる}(、) 此レ{の・い}是レ佛{の}眞身{なり}(、) 亦(た)説/{も}是(の)如キ法{なり}(。) 」{といふ}(。)  尓(の)時{に}會{の}中{に}三万二千{の}天子{あり}。如來{の}壽命長遠{なり・(右下)と}説(き){たまふ・を}聞(き){て}、皆阿耨多羅三藐三菩提{の}心{を}發(し){つ}。歡喜踊躍{して}未曾有{なる・こと}得{つ}。異口同音{に・して}[而]頌{を}説(き){て}曰{はく}(、) 「佛{は}般涅槃(し){たまは}不【{す}】(。) 正法{も}亦(た)滅/(せ)不レ{と・も}(、) 衆生{を}利(せ){む・か}爲{の}故{に}(、) 滅―盡有(り){(右下)と}示現(し){たまひ}ケリ(。) 世尊{は}不思議{に・して}(、) 妙體{において}異相無(け)レ{と・も}、 衆生{を}利(せ){む・か}爲{の}故{に}(、) 種種{の}莊嚴{を}現(し){たまひ}ケリ(。)」{といふ}(。)  尓(の)時{に}妙幢菩薩、親【(まのあた)】リ[於]佛{の}前【(みまへ)】{(左中)と}[及]四(はしら){の}如來{(左中)と}并(せ){て}二{の}大士{(左中)と}(、)諸{の}天子{(左中)と・の}所{に・して}、釋迦牟尼如來{の}壽量{の}事説(き){たまふ・を}聞キ已(り){て}、復(た)[從]座ヨリ起チ掌{を}合セ(、)恭{み}敬(ひ){て}佛(に)白(し){て}言(は)ク、「世尊、若(し)實{に}是(の)如ク諸佛如來{は}、般涅槃(し){たまは}不【{す}】(、)舍利{も}無キ者【『モノ』】{とならは}(、)云何ニソ經{の}中{に}(、)涅槃{すること・(左中)と}[及]佛{の}舍利{あり・て}、諸{の}人天{に}恭敬{し}供養(せ)令〈一〉{む}ル『コト』ト有〈二〉(り){(右下)と}説〈三〉(き){たまひ}、過去{の}諸佛{も}現{に}身骨有(り){て}、[於]世{に}流布{して}、人天{の}供養{するに}(、)福{を}得ル{こと}、無邊{に}アラシメタマヘル(。)今復(た)無{し・(右下)と}言【{のたま}】ヘル、疑惑{を}生【(おこ)】{す・を}致【イ(た)】シ{つ}。唯{し}願フ世尊、我等{を}哀愍{して}廣ク爲{に}分別(し){たまへ}(。)」{(右下)と・まをす}(。) ○23  尓(の)時{に}佛(、)妙幢菩薩(と)[及]諸{の}大衆(と){に}告{はく}、「汝等【(なむたち)※汝等二字】知ル當{し}、般涅槃{す・と}云【{い}】{ふ}(、)舍利有リ{といふは}[者]、是レ密意{の}説{なり}。是(の)如キ[之]義{を}、當{に}心{を}一(にし){て}聽ケ(。)善男子菩薩摩訶薩{の}、是(の)如ク其{の}十{の}法有リ{(右下)と}知ラ{む・い}(ある)應{きに}、能ク如來應正等覺{の}眞實{の}理趣{を}『モチテ』究竟{の}大般涅槃有リ{(右下)と}説(き){たまふ・こと・を・は}解ルヘ{し}(。)云何【(いか)※云何二字】(なる){を・か}十{(右下)と}爲【{す}】{る}。一者【(は)】諸佛如來{は}、究竟{して}諸{の}煩惱障{(左中)と}所知障{(左中)と・を}斷チ盡(したまへ)ル(か)故{に}、名(つけ){て}[爲]涅槃{といふ}。二者【(は)】諸佛如來{は}善ク能ク有情{の}無性{(左中)と}[及]法{の}無性{(左中)と・を}解―了(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけ){て}[爲]涅槃{といふ}。三者【(は)】能ク身_{の}依{(左中)と}[及]法_(の)依〖{(左中)と・を}〔#ヲ#〕〗轉(し){たま}ヘ{るか}故{に}、名(つけ){て}[爲]涅槃{といふ}。四者【(は)】諸{の}有情{の}於【(うへ)】{に}任運{に}〖化{する}因縁{を}休―息(し){たま}ヘル(か)〔休息(したまふ)#ヘキ#化#ノ#因縁#ナル#(か)〕〗故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。五者【{は}】眞實{の}無差別{の}相{たる}平等{の}法身{を}證得(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。六者【(は)】生死{(左中)と}[及以]涅槃{(左中)と・の}無二{の}性{を}了知(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。七者【(は)】一切法{の}於{に}其{の}根本{を}了{して}、清淨{を}證(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。八者【(は)】一切法{の}於{に}生{も}無ク滅{も}無{し・(右下)と}(、)善ク修行(し){たま}ヘル(か)故(に)、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。九者【(は)】眞如{(左中)と}法界{(左中)と}實際{(左中)と}平等{なる・こと・(左中)と}正智{を}得{たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。十者【(は)】諸法{の}性{(左中)と}[及]涅槃{の}性{(左中)と・の}於{に}、 ○24 無―差別{を}得{たま}ヘル(か)故{に}、名(つけ){て}[爲]涅槃{といふ}。是{を}十{の}法{を}『モチテ』(、)涅槃有リ{(右下)と}説〈一〉ク{(右下)と・は}謂〈二〉【{い}】フ。  復(た)次{に}善男子、菩薩摩訶薩{の}、是(の)如ク復(た)十{の}法有リ{(右下)と}知ラ{し・む}應{きに}、能ク如來應正等覺{の}眞實{の}理趣{を}『モチテ』(、)究竟{の}大般涅槃有リ{(右下)と}説〈一〉(き){たま}(へる){こと・を・は}解〈二〉ルヘ{し}(。)云何【(いか)※云何二字】(なるをか)十(と)爲【(す)】(る)。一者【(は)】一切{の}煩惱{は}、樂―【(けう)】欲【(よく)】{を}以{て}本{(右下)と}爲【{す}】(。)樂欲%(消){に}%從(り){て}生%(消){す}%(。)諸佛世尊%(消){は}%樂欲%(消){を}%斷(ち)%(消){たま}ヘル%(か)故%(消){に}%(、)名(つけて)[爲]涅槃{といふ}。二者【(は)】諸{の}如來{は}諸{の}樂欲{を}斷(ち)(たま)ヘ{るを}以{て}、一法{を・も}取(り){たまは}不。取/(り){たまは}不【ヌ】{を}以{て・の}故{に}、去リ{も}無ク來リ{も}無{し}。所―取無{きか}故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。三者【(は)】去(り){も}來(り){も}無ク[及]所―取{も}無{きを}以{て}、是レ{を}『モチテ』則法身{は}生{も}セ不【{す}】滅{も}セ不【{す}】(、)生滅無{きか}故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。四者【(は)】此{の}無―生滅{を・は}、言{を}『モチテ』宣(ふ)ル所{に・は}非{す}、言語斷(え){たる・か}故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。五者【(は)】我人{は}有(る){こと}無{し}、唯(た)法{のみ}生滅{す・(右下)と・して}(、)轉依{を}得{たる・か}故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。六者【(は)】煩惱{(左中)と}隨惑{(左中)と・は}皆是レ客塵{なり}。法性{は}是レ主{に・して}、來(り){も}無ク去(り){も}無{し・(右下)と}佛{は}了知(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。七者【(は)】眞如{は}是レ實{なり}(、)餘{は}皆虚妄{なり}。實性{の}體{は}[者](、)即(ち)是レ眞如{なり}。眞如{の}性{は}[者]即(ち)是レ如來/{なり}、名(つけ){て}[爲]涅槃{といふ}。八者【(は)】實際{の} ○25 [之]性{は}戲論有(る){こと}無{し}。唯(た)獨【(ひと)】(は)シラ如來{のみ}實際{の}法{を}證(す){るを}『モチテ』、戲論{を}永【(とことは)】{に}斷/(ち){たま}ヘリ(、)名(つけ){て}[爲]涅槃(といふ)。九者【(は)】無生{は}是レ實{なり}、生{は}是レ虚妄/{なり}、愚癡{の}[之]人{は}、生死{に}漂溺{す}。如來{は}體實{に・して}(、)虚妄有(る){こと}無{きを}『モチテ』、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。十者【(は)】不實{の}[之]法{は}是レ[從]縁ヨリ生{す}、眞實{の}[之]法{は}、[從]縁ヨリ起ラ不【{す}】、如來{の}法身{は}體是レ眞實{なる・を}『モチテ』、名(つけ){て}[爲]涅槃{といふ}。善男子、是{を}[謂]十{の}法{を}『モチテ』涅槃有リ{(右下)と}説《{(右下)と}》ク{と・は・いふ}(。)  復(た)次(に)善男子、菩薩摩訶薩{の}、是(の)如ク復(た)十{の}法有リ{(右下)と}知ラ{し・む}應{きに}、能ク如來應正等覺{の}眞實{の}理趣{を}『モチテ』究竟{の}大般涅槃有リ{(右下)と}説ク{こと・を・は}解ルヘ{し}(。)云何【(いか)※云何二字】(なるをか)十(と)爲【(す)】(る)。一者【(は)】如來{は}善ク施(と)[及]施{の}果(と){は}我我―所無〈一〉{し・(右下)と}知〈二〉(り){て}、此{の}施(と)[及]果(と){の}不―正分別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。二者【(は)】如來{は}善ク戒(と)[及]戒{の}果(と){は}我我所無{し・(右下)と}知(り){て}、此{の}戒(と)[及]果(と){の}不正分別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。三者【(は)】如來{は}善ク忍(と)[及]忍{の}果(と){は}我我所無{し・(右下)と}知(り){て}、此{の}忍(と)[及]果(と){の}不正分別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。四者【(は)】如來{は}善ク勤(と)[及]勤{の}果(と){は}我我所無{し・(右下)と}知(り){て}、此{の}勤(と)[及]果(と){の}不―正分 ○26 別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。五者【(は)】如來{は}善ク定(と)[及]定{の}果(と){は}我我所無{し・(右下)と}知(り){て}、此{の}定(と)[及]果(と){の}不正分別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}(、)名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。六者【(は)】如來{は}善ク慧(と)[及]慧{の}果(と){は}我我所無{し・(右下)と}知(り){て}、此{の}慧(と)[及]果(と){の}不正分別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。七者【(は)】諸佛如來{は}善ク能ク(、)一切{の}有情{は}有情{に}非{す}、一切{の}諸法{は}皆性無〈一〉{し・(右下)と}了知〈二〉(し){たまひ・て}、不正分別{を}永【(とことは)】{に}除滅(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)(。)八者【(は)】若(し)自【(みつから)】%(消){を}%愛%(消){する}%者%(消){は}%便(ち)追求%(消){を}%起%(消){す}%(、)追求%(消){せる・に}%由%(大消)ル%(か)故%(消){に}%(、)衆(く){の}苦惱{を}受ク。諸佛如來{は}自愛{を}除(したま)ヘル(か)故{に}、永【(とことは)】{に}追求%(大消){すること}%{を}絶(ち){たま}ヘリ。追求無{きか}故{に}(、)名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。九者【(は)】有爲{の}[之]法{は}皆數量有リ、無爲{の}法{は}[者](、)數量皆除{せり}。佛{は}有爲{を}離レ{て}、無爲{の}法{の}數量無{きを}證(し){たま}ヘル(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。十者【(は)】如來{は}有情{(左中)と}[及]法{(左中)と・の}體性{の}皆空{なる・こと・を}了知{し・たまひ・て}(、)〖空{を}離{し・たまひ・て}(、)有〈(左)一〉{に}非〈(左)二〉(す)空―性{において}〔空(を)離レ(たまひて)有空性〈一〉ニ非〈二〉ヌ〕〗即(ち)是レ眞法身{なる}(か)故{に}、名(つけて)[爲]涅槃(といふ)。善男子、是{を}[謂]十{の}法{を}『モチテ』涅槃有(り){(右下)と}説《{(右下)と}》(き){たまふ・と・は・いふ}(。)  復(た)次{に}善男子、豈{に}唯タ如來{は}般涅槃(し){たまは}不【{す}】{といふ}、是(れ){を}希有{なり・(右下)と}爲【セ】{む}ヤ。 ○27 復(た)十種{の}希有{の}[之]法有リ、是レ如來{の}行{なり}(。)云何【(いか)※云何二字】(なるをか)十(と)爲【(す)】(る)。一者【(は)】生死{は}過失{なり}、涅槃{は}寂靜{なり}。生死{(左中)と}[及以]涅槃{(左中)と・の}於【(うへ)】{に}平等{を}證〈一〉(し){たまへ・るに}由〈二〉ル(か)故{に}、流轉{に・も}處【(ゐ)】{たまは}不【{す}】、涅槃{に・も}住(し){たまは}不【{す}】。シカレトモ諸{の}有情{の}於【(うへ)】{に}(、)厭―背{を}生シ{たまは}不【ヌ】、是レ如來{の}行{なり}(。)二者【(は)】佛{は}衆生{の}於{に}、是(の)念{を}作(し){たまは}不【{す}】、此{の}諸{の}愚夫{は}顚倒{の}見{を}行{す}。諸{の}煩惱{の}[之]爲{に}纏―迫セ所【ラ】(る)ル{を}、我レ今開悟{して}(、)[得]解脱セ令【シ】(め){む・(右下)と・は}(。)然レ{と・も}往昔{の}慈善根{の}力{に}由(り){て}、彼{の}有情{の}於{に}、其{の}根{(左中)と}性{(左中)と}意樂{(左中)と}勝解{(左中)と・に}隨(ひ){て}、分別{を}起(さ)不{して}、任運{に}濟度〖{し}〔シ〕〗(、)示{し}教ヘ〖利シ喜アラシメ〔利喜(せ)#シメ#〕〗、未來際{を}盡(す)マテ{に・して}、窮盡有(る){こと}無キ、是(れ)如來(の)行(なり)。三者【(は)】佛{は}是{の}念無ク{います}。我レ今十二分教{を}演説{して}、有情{を}利益(せ){む・を・は}、(と)『オモフ』(。)然レ{と・も}往昔{の}慈善根{の}力{に}由(り){て}、彼{の}有情{の}於{に}、廣ク説{か・は}(、)[乃至]未來際{を}盡(す)マ{て・に}窮盡(も)有(る){こと}無ク{います}、是(れ)如來(の)行(なり)。四者【(は)】佛{は}是{の}念無ク{います}。我レ今彼{の}城邑聚落{の}王{(左中)と}[及]大臣{(左中)と}婆羅門{(左中)と}(、)刹帝利{(左中)と}(、)薜舍{(左中)と}(、)戍達羅{(左中)と・の}等{きか}舍〈一〉{に}往〈二〉(き){て}、其{に}從(ひ){て}乞食(せ){む・を・は}(、){(右下)と}『オモフ』。然レ{と・も}往昔{の}身語意行{の}串習{の}力{に}由ル(か)故{に}、任運{に}彼【(かし)】&コ(己)&{に}詣(り){て}、利益{の}事{の}爲{に・して}、而{も}乞食{を}行(し){たまふ}(、)是レ如來{の}行{なり}(。)五者【(は)】如來{の}[之]身{は}、飢渇有(る){こと}無ク、 ○28 亦(た)便―利〖羸―憊{の}〔羸―【%(消)ヤセ%】憊【%(消)ツタナキ%】〕〗[之]相{も}無{し}。乞―取{を}行(し){たまふ・(右下)と}雖(とも)、而{も}食(し){たまふ}所無{し}、亦(た){は}分別{も}無{し}(。)然(れ){と・も}任運{に}有情{を}利益(せ){む・か}爲{に}、是レ食{の}相有ル、是レ如來{の}行{なり}(。)六者【(は)】佛{は}是{の}念無ク{います}。此{の}諸{の}衆生{は}、上中下有{るを}『モチテ』、彼{の}機性{に}隨(ひ){て}(、)而{も}爲{に}法{を}説(か){む・を・は}(、){(右下)と}『オモフ』(。)然(れ){と・も}佛世尊{は}分別有(る){こと}無ク{いま}セ{と・も}、其{の}器{の}量{に}隨(ひ){て}、善ク機縁{に}應{して}、彼{か}爲{に}法{を}説(き){たまふ・い}(、)是レ如來{の}行{なり}(。)七者【(は)】佛{は}是{の}念無ク{います}。此{の}類{の}有情{は}我{を}恭敬セ不【{す}】。常{に}[於]我{か}呵罵{の}言/{を}出{す}所{に}、能ク[與]彼レ{(左中)と}共{に}〖言論{すること・は}爲【{せ}】〔[爲]言論(は)セ〕〗不【{し}】(。)彼{の}類{の}有情{は}[於]我{を}恭敬{す}、常{に}[於]我{か}所{に・して}共{に}相{ひ}讃歎/{す}。我レ當{に}[與]彼{(左中)と}共{に}[爲]言説(せ){む・を・は}、{(右下)と}『オモフ』(。)然レ{と・も}[而]如來{は}〖慈悲{の}〔慈ト悲トノ〕〗心{を}起(し){たまふ・こと}、平等{に・して}〖二{つ}〔二#ナル#(こと)〕〗無ク{います}、是レ如來{の}行{なり}(。)八者【(は)】諸佛如來{は}、愛{(左中)と}憎{(左中)と}憍{(左中)と}慢{(左中)と}貪{(左中)と}惜{(左中)と}[及]諸{の}煩惱{(左中)と}有(る){こと}無ク{います}。然レ{と・も}[而]如來{は}、常{に}寂靜{を}樂{ひ}、少欲{を}讃歎{し}、諸{の}諠―閙{を}離レ{たま}ヘル、是レ如來{の}行{なり}(。)九者【(は)】如來{は}一法{(右下)と・して}知(ろ)シメサ不【{す}】{といふ・こと}(、)善ク通達(し){たま・は}不【{す}】{といふ・こと}有(る){こと}無{し}。[於]一切{の}處{に}(、)鏡―智現―前{するを}『モチテ』{なり}(。)分別有(る){こと}無(け)レ{と・も}(、)然レ{(右下)と・も}[而]如來{は}、彼{の}有情{の}所作{の}事業{を}見(そ)ナ{は・して}、彼(の)意{の}轉{する・に}隨(ひ){て}、方便{を}『モチテ』誘引{して}、出 ○29 離{を}得令(め){たまふ}(、)是レ如來{の}行{なり}(。)十者【(は)】如來{は}若(し)一分{の}有情{の}富{み}盛{なる・こと}得{るを}見(そ)ナ{は・す}時{に・も}歡喜{を}生(し){たま・は}不【{す}】。其{の}衰損{するを}見(そなはす){(右下)と・も}(、)憂―慼{を}起(し){たま・は}不【{す}】(。)然レ{と・も}[而]如來{は}彼{の}有情{の}正行{を}修習{するを}見(そなはし){て・は}、無礙{の}大慈{を}『モチテ』自然{に}救攝(し){たまふ}。若(し)有情{の}邪行{を}修習{するを}見(そなはし){て・は}、無礙{の}大悲{を}『モチテ』(、)自然{に}救攝(し){たまふ}(、)是レ如來{の}行{なり}(。)善男子是(の)如ク知ル當{し}(、)如來應正等覺{は}、是(の)如キ無邊{の}正行有【{いま}】{す}(と)説(き){たまふ・こと・を}、汝等知ル當{し}。是{を}ソ涅槃{の}眞實(の)[之]相{と・は}謂【{い}】{ふ}(。)或ル時{に}般涅槃(し){たまふ・か}[者](、)是レ權―方便{なる・(左中)と}[及]舍利{を}留〈一〉(め){たまふ}『コト』ト有〈二〉リ{(右下)と}見〈三〉{し}メ{たまふ・こと}(、)諸{の}有情{を・して}恭敬{し}供養セ令(め){む・となり}。皆是(れ){は}如來{の}慈善根{の}力{なり}(。)若(し)供養(せ){む}者{は}[於]未來世{に}、八難{を}遠離{せむ}、諸佛{に}逢事{せむ}、善知識{に}遇(は){む}、善心{を}失(は)不【{し}】、福報無邊(な)ラ{む}、速(か){に}當{に}出離{せむ}、生死{の}[之]爲{に}纏―縛セ所〈(左)一〉レ不〈(左)二〉【{し}】(。)是(の)如キ妙行{を}汝等勤(め){て}修セヨ。[爲]放逸{すること}勿【{な}】(。)」(と){のたまふ}(。)  尓(の)時{に}妙幢菩薩、佛{の}親リ般涅槃(せ)不【ヌ】{こと・(左中)と}[及]甚深{の}行〈(左)一〉{(左中)と・を}説〈(左)二〉(き){たまふ}(こと){を}聞〈(左)三〉(き){て}(、)掌{を}合セ恭{み}敬(ひ){て}白(し){て}言(は)ク、「我レ今始(め){て}如來大師{は}般涅槃(し){たま・は}不【(す)】{あり}ケリ、[及]舍利{を}留(め){たま}ヘル{こと・は}、普ク衆生{を}益〈一〉{せむ・となり}ケリ{(右下)と}知〈二〉(り)ヌ(。)」{(右下)と・まをす}。身心踊悦{して}、未曾 ○30 有{に・いまし}ケリ{(右下)と}歎{し・たてまつる}(。)是{の}如來壽量品{を}説(き){たまふ}時{に}、無量無數無邊{の}衆生{は}、皆無等{に}等{せる}阿耨多羅三藐三菩提{の}心{を}發(し){つ}(。)時{に}四(はし)ラ{の}如來{は}忽然{に}現(し){たま・は}不【{す}】{なり}ヌ。妙幢菩薩{は}佛{の}足【(あし)】{を}礼{し・たてまつり}已(り){て}、[從]座ヨリ{して}[而]起(ち){て}(、)其{の}本處{に}還(り){に}キ(。) 金光明最勝王經卷第一