日本語言語科学コース
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――研究内容について教えてください。 宮古諸島(沖縄県宮古島市・多良間村)で伝統的に話されてきた言語である宮古語を中心に、日本語と琉球諸語の歴史を研究しています。特に、15~16世紀に生じたと思われる宮古語と沖縄語の言語接触や、『朝鮮王朝実録』漂流民記事の宮古語記録に注目して研究を進めています。 宮古語の研究は、琉球諸語史のより深い理解に繋がるだけではなく、中期朝鮮語の方言事情を知る手がかりになる可能性もあり、東アジアの言語史の研究において極めて重要なデータを提供している言語です。――日本語言語科学コースに進学した理由は何ですか? 私は、もともと韓国で情報学の修士号を取り、医療AIベンチャーでエンジニアとして働いていた「理系の人間」で、日琉語学には高校時代から興味を持って自分なりに研究していたものの、本格的に研究する機会はありませんでした。 そんな中で、国語研が総研大に参画して、博士後期課程を提供する予定であるというニュースを知り、出願を決めました。国語研は日琉語学の最先端の研究が行われて――研究内容について教えてください。 言語話者が客観世界の出来事・事象を言語化する際の概念化プロセスについて研究しています。言語は私たちの心を形作っているのでしょうか。もしそうなら、どのように思考プロセスに影響するるのでしょうか。もしそうでないなら、言語は、単に脳から情報を取り出すための固定された経路に過ぎないのでしょうか。自分の研究では、私たち言語の使用者が出来事・事象について話すとき、特定の言語表現が特定の概念に関連しているかどうかを明らかにしたいです。具体的に、複合的な事象を表すために使われる、複数の動詞を含む言語表現とその概念構造のインターフェースについて実験を行なっています。――日本語言語科学コースに進学した理由は何ですか? 修士課程在学中、博士後期課程に進学しようかどうかを迷っていたとき、本学の進学説明会に参加して、総研大日本語言語科学コースを知りました。進学を決めた理由は、まず、総合研究大学院大学在学中に他コースの授業も履いる機関で、私自身も高校時代からオックスフォード・国語研の上代日本語コーパスを参照したり、2018年には国語研で行われた沖永良部島の言葉のワークショップに参加したこともあります。日琉語学好きとしては、国語研は憧れの的、「聖地」であり、そんな国語研で研究指導を受けられるというのは、逃がせない機会だと思いました。――実際に日本語言語科学コースに進学してみてどうですか? 名だたる先生方から研究指導を受けられる、コース生の「特権」を享受しながら、学びの連続で充実した日々を送っています。言語資源の構築や言語情報処理など、エンジニアとしての経験を活かせる場面が予想よりも多いことには少し驚きました。修できるという柔軟な制度があり、私が関心を持っている認知科学分野の授業も履修できるからです。そして、教員が他大学より圧倒的に多く、多様な指導意見をもらうこともできるからです。国立国語研究所という日本語の専門機関での学習環境もとても魅力的だと思いました。――実際に日本語言語科学コースに進学してみてどうですか? 1年目は、他コースの授業を含めて履修して、研究のスキルが身についたことを実感しています。今は2年目で、とても充実した研究生活を過ごしています。先生方から貴重なアドバイスをいただけて、所内の方からもいろいろサポートしてくださってとても心強いです。ここに進学して、勉強もでき、毎日楽しく過ごすことができて良かったと思います。Voices of studentsVoices of students08尹 熙洙さん(2023年4月入学)YIN YUQIさん(2023年4月入学)0102先輩の声

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