日本語言語科学コース
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 国立国語研究所は第二次世界大戦の終了後まもない1948年に設置された日本語の科学的研究を目的とする研究所です。研究の重点は時代に応じて変遷してきましたが、思弁的な研究を排して、つねにデータに基づく実証的な研究を行ってきました。現在では、日本語や日本語教育の研究を下支えする種々の大規模言語資源の開発、それを利用した日本語研究とともに、日本語と諸言語との対照研究、史的研究、消滅危機言語の保存と復興、日本語教育の基礎研究、さらに A I 時代の新しい言語研究手法の研究などを推進しています。 研究手法の面では、理論研究、フィールドワークやコーパスを用いた研究にくわえて、サンプリングに基づく大規模な社会調査、音声生成や読みの過程に関する実験、コンピュータシミュレーション、統計モデリングなど、自然科学的ないし情報科学的な手法を積極的に採用して、言語研究の新しい可能性を探っています。 日本語言語科学コースは 2023年春に設置されたばかりの新しいコースです。既存の言語系大学院との差異化のために、上に述べたような国語研究所の特色と強みを活かした新しい言語系大学院の在り方を模索しているところですが、幸いこれまでは毎年多くの入学希望者を迎え入れることができています。今後とも、日本語を新しい方法で分析してみることに興味のある若手研究者にユニークな学びの場を提供したいと思います。 日本語言語科学コースは、国立国語研究所が運営する博士後期課程のみの大学院プログラムです。研究所の研究活動と一体化したユニークな大学院として、他の言語系大学院とは異なる三つの優れた特徴を有しています。 第一は多様性です。本コースには、指導教員の候補となる20名弱のスタッフが在籍し、言語資源学、日本語情報処理、理論・対照言語学、フィールド言語学、応用言語学、日本語史など、それぞれの専門に応じた授業を提供しています。在籍生は、そうした豊富な教授陣から自身の研究テーマに合った教員を選び、研究指導を受けることができます。 二つ目は先端性です。スタッフはそれぞれの分野で最新の研究に取り組む第一線の研究者です。少数精鋭の本コースは、在籍する大学院生と指導するスタッフの数がほぼ1対1であるため、研究の最前線で日々奮闘するスタッフと、対面での豊富なディスカッションの機会を持つことができます。 三つ目は実証性です。国立国語研究所はコーパスをはじめとする多様な言語資源を開発する研究所として知られています。本コースは、研究所の内部にある研究環境を生かし、R Aなどの制度をつうじて言語資源開発の現場に入ってトレーニングを受けることができ、開発のさまざまなノウハウを実地で学べる稀有な機会を提供しています。 このような恵まれた研究環境を備えた本コースで独創的な言語研究をしてみたい。そうした大志を抱く若き研究者のチャレンジを、心よりお待ちしています。01国立国語研究所長 前川 喜久雄日本語言語科学コース長 石黒 圭ご 挨 拶

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