新「ことば」シリーズ18「伝え合いの言葉」 解説1 (一部抜粋)

言葉で人とかかわり合う熊谷 智子

 言葉を使って人と理解し合い,協力し,社会生活を送るとはどのようなことなのでしょうか。言葉の使用が担っている様々な機能,言葉を介した人とのかかわり,そして社会やメディアの変化の中でのコミュニケーションについて,考えてみましょう。

社会生活と言葉

 毎日,私たちは様々な形で他者とかかわり合いながら社会生活を送っています。家で家族と過ごしたり,外へ出て人と会ったり,一緒に仕事や勉強をしたり,あるいはテレビや新聞を通しても,人から何らかの影響を受け,また与えています。そうした「かかわり合い」の中で,重要な役割を担っているのが言葉です。言葉で何かを相手に伝えたり,相手が伝えてくることを受け取ったりすることを通じて,私たちはお互いに理解し合ったり,協力して作業をしたりしています。

 もちろん,言葉を使うのは,ほかの人とコミュニケーションをするためばかりとは限りません。自分だけで,あるいは自分のために,言葉を使うこともあります。何かに驚いたときに,「あっ!」と声を上げたり,「ああ,びっくりした」と独り言を言ったりするような場合,あるいは,自分の覚え書きとしてメモを作り,後で読み返すような場合もあります。しかし,日常生活全体で見ると,やはり多くの場合,私たちは話す,聞く,書く,読むという,言葉を使った活動をしながら,周りの人々や社会とかかわり合っているのだと言えるでしょう。

(以下,続く)