新「ことば」シリーズ16 ことばの地域差―方言は今―
一口に「日本語」といっても,世代・地域・場面などによる言葉の違いがあり,その姿は実に多様です。このうち地域による言葉の違いは,「方言」という身近なものとして,多くの人々から関心を持たれています。本号では,このような言葉の地域差について,それをとりまく言語生活も視野に入れながら,現在の姿を中心に解説しました。この中には,国立国語研究所が創立以来継続的にとりくんできた,方言に関する研究の成果もとりいれられています。この冊子が,暮らしの中で方言を見つめなおすきっかけになればと考えています。
目 次
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前書き
本号のテーマについて
座談会「ことばの地域差―方言は今―」
- 大原穣子,清水義範,佐藤武夫,大西拓一郎,甲斐睦朗(司会)
解説
- 1 ことばの地域差―方言は今― (三井はるみ)
- 2 ことばの地域差の多様な姿 (尾崎喜光)
- 3 変わりゆく地域のことば (陣内正敬)
- 4 地域のことばと「ことば教育」 (日高水穂)
- 5 方言を調べる (井上文子)
言葉に関する問答集
- 問1 「方言」というのはどのようなことばのことですか。
- 問2 「共通語」と「標準語」はどのように違うのですか。
- 問3 日本語には方言がいくつありますか。
- 問4 外国語にも方言はあるのですか。
- 問5 方言によって「素朴」「おだやか」「荒っぽい」など,それぞれのイメージがあるような気がします。どうなのでしょうか。
- 問6 よその地域の方言を話すには,どうすればいいですか。
- 問7 私の住んでいる地域では,小学校の通学範囲のことを「校区」と言います。しかし辞書で見ると,共通語では「学区」と言うようです。町内の人に配るお知らせには,「校区」ではなくて「学区」と書くべきでしょうか。
- 問8 東北のある地方で,女の人が自分のことを「オレ」と言っているのを聞きましたが,方言には男女差がないのでしょうか。
- 問9 方言はだんだん使われなくなってきているように思います。将来は完全になくなってしまうのでしょうか。
- 問10 共通語を話していて時々「言いたいことがうまく言えない」と思うことがあります。方言だとぴったりくる言い方があるのですが。
- 問11 方言には,共通語と違う発音がいろいろあるようです。どのような発音の違いがありますか。
- 問12 アクセントのない方言があると聞きました。そういう方言では,すべての単語を平らに発音するのですか。話し手の意図が伝わりにくくありませんか。
- 問13 東北では「山に行く」を「山サ行く」と言うと聞いたので,「いい天気になった」も「いい天気サなった」だと思ったら,この場合は「ニ」だと言われたのですが。
- 問14 地域によって,はっきりとものを言うのを好むところと,遠回しな言い方を好むところがあるような気がします。実際のところはどうなのでしょうか。
- 問15 言葉に地域差があるということは,いつごろから意識されていたのでしょうか。
- 問16 方言には古い言葉が残っていると聞きました。たとえばどんな言葉があるのでしょうか。
- 問17 方言と共通語は,学校の中でどのように話されていますか。
- 問18 外国人の知り合いから日本語を教えてほしいと頼まれました。共通語を教えたほうがいいのでしょうか,住んでいる地域の方言を教えたほうがいいのでしょうか。
コラム
- 1 鹿児島弁は隠密対策?
- 2 地図で見る方言
- 3 方言と地名
- 4 失われゆく方言
- 5 ガ行鼻濁音の地位
- 6 沖縄の方言
言葉のクリップボード
- 「いやがうえにも盛りあがる」とは?
- 「原木中山」の怪
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