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第8回研究発表会

開催日時

平成25年2月16日(土)13:00~18:00

開催場所

東京外国語大学 府中キャンパス本部管理棟2階 中会議室
   (東京都府中市朝日町3-11-1)

発表テーマ・発表者氏名と概要

(13:00-13:15)
ご挨拶・諸連絡・事務手続き
プラシャント・パルデシ


(13:15-14:15)
「ツングース諸語における自他対応」
風間伸次郎 (東京外国語大学 教授)

ツングース諸語は大きく四つのグループに分かれ,全部で10ほどの言語よりなる語族である。本発表ではこのうち,エウェン語,ウデヘ語,ナーナイ語などを取り上げて自他の派生の方向を見る。語族内の言語間での違いもみることによって,一つの同じ語族内でどの程度自他の派生に関して違いが現れるのか,といった点に注目したい。ツングース諸語には自動詞から他動詞を派生する,とされている接辞がある。しかしこれは通常の他動詞派生とは構文的・意味的に異なっている。自動詞の主語は他動詞の目的語と対応するのではなく(つまり能格的な分布ではなく),主に移動動詞から運搬動詞を形成するものであり,そのように捉え直されるべきものであることを主張する。


(14:30-15:30)
「「ブヌン語の自動詞と他動詞」
野島本泰(神戸夙川学院大学 非常勤講師)

ブヌン語(台湾,オーストロネシア語族)の自動詞と他動詞の派生関係を考察する。具体的には,Haspelmath (1993)で挙げられている動詞31対と,Nichols et al (2004)で挙げられている18対について,考察する。


(15:30-16:00)休憩


(16:00-17:00)
「有対動詞間の派生関係の動機づけ:大規模なコーパスに基づく検証」
ナロック・ハイコ(東北大学 准教授 / 国立国語研究所 客員准教授) パルデシ・プラシャント(国立国語研究所 教授)

Haspelmath (1993)を皮切りに言語類型論の分野で語彙的な対をなす自他動詞(いわゆる有対動詞,inchoative (non-causative)-causative verb pairs, transitivity pairs, lexical sets)の派生関係の類型およびその動機づけについて盛んに議論されている(Nichols et al. (2004), Comrie (2006), ナロック(2007), Haspelmath et al (2012)など)。Haspelmath (1993)は他動化・使役化(causative)および自動化・反使役化(anti-causative)という自他動詞間の形態的派生関係をiconicity(図像性)という認知的な概念で説明したが,Haspelmath et al. (2012)ではその説を撤回し,自他動詞間の形式的な関係がZipfの法則に従って,その使用頻度によって動機づけれていると提案している。本発表ではHaspelmath et al. (2012)の説をBCCWJコーパス(1億語)及び筑波ウェブコーパス(仮称,TWC,11億語)を利用して検証し,日本語の自他動詞対においてこの説がおおむね有効ではあるが,派生パターンによってその有効性が異なることを示す。


(17:00-17:30)
次年度の活動について討論