https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Thu, 15 Apr 2021 04:56:15 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.8.4 フレーム意味論プロジェクト研究会 4/25 Zoom開催 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Thu, 15 Apr 2021 04:56:15 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 以下の通り、研究会を開催します。御参加希望の方は、下記のグーグルフォームにてお申し込みください。

4/25(日)

14:30〜15:20  陳奕廷(東京農工大学)「動詞の関連事象に基づく言語分析―「飲む」とdrinkから見る日本語と英語の結果構文―」

15:25〜16:15 有薗智美(名古屋学院大学)「フレーム意味論に基づく身体部位詞の分析-動詞慣用句を中心に―」

16:20〜17:10 中嶌浩貴(島根大学) 「-er名詞のフレーム意味論的アプローチ」

 

要旨は以下の通りです。

陳奕廷(東京農工大学)「動詞の関連事象に基づく言語分析―「飲む」とdrinkから見る日本語と英語の結果構文―」

認知意味論において、語の意味を理解するには背景の事物に関する一般的な知識である「百科事典的知識」が必要だと考えられている。しかし、具体的にどのような情報が含まれているのかは不明で、ブラックボックスのように用いられている。本研究では、動詞の意味にはその原因や結果、手段、目的、様態などの「関連事象」の情報が含まれていると主張し、高解像度の関連事象に基づくアプローチを開発する。その実践的な研究例として、「飲む」とdrinkを中心に、日本語と英語の結果構文を取り上げて比較する。「国語研日本語ウェブコーパス」とiWebという超大規模なウェブコーパスを用いることで、飲むという事象が具体的にどのような結果の情報を含んでいるのかを明らかにし、「飲む」とdrinkの結果構文がそれぞれ対応する結果の範囲を示す。さらに、その違いを構文的な制約から捉え、その動機づけを説明する。

 

有薗智美(名古屋学院大学)

「フレーム意味論に基づく身体部位詞の分析-動詞慣用句を中心に―」

要旨:有薗(2013, 2018)は、Kövecses and Radden (1998)によるAction ICMに基づくメトニミーを参考に、身体部位詞の意味拡張には「行為のフレーム」に基づくメトニミーが関与することを主張している。本研究では、「身体部位詞+助詞+動詞」で構成される慣用的連結句を主な対象として、身体部位詞とともに用いられる動詞を中心に、副詞等の付加詞要素を含めた身体部位詞の生起環境を詳細に観察することによって、「行為のフレーム」について改めて検討する。そのうえで、身体部位詞の使用と理解には「行為の道具としての身体部位フレーム」を設定する必要があることを主張する。

 

中嶌浩貴(島根大学)

「-er名詞のフレーム意味論的アプローチ」

本発表では、英語のer名詞(e.g. player)について、フレーム意味論の観点から考察する。er名詞は典型的に動作主を表すとされており、統語や意味的なアプローチから様々な研究がなされてきた。このer名詞について近年注目されている点のひとつに、動作主以外を表す用法があり(e.g. broiler<(焼き肉用などの)若鳥>、sleeper<寝台車>)、特に認知言語学で活発な議論がなされてきた。本発表では、Ryder (1991, 1999)やPanther and Thornburg (2002)などの先駆けとなる研究を踏まえつつ、フレーム意味論の観点からこの動作主以外を表すer名詞についてフレーム意味論からの分析を提示する。

 

参加希望者は、以下のフォームにご記入ください。Zoomアドレスをお送りします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdfaVMp0rnY8KbINYEqax9AaUkqQe7roEZ50tN6Nb4RQPBNNQ/viewform

松本

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フレーム意味論プロジェクト公開研究会 11/15 Zoom https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Fri, 16 Oct 2020 07:51:59 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 開催期日

2020年11月15日(日)

14:00〜17:15

 

開催会場

オンライン(Web会議システムZoomを使用します)

※参加費無料、要事前登録

 

参加方法

本研究会は終了いたしました。

 

プログラム

籾山洋介(南山大学)「フレームに基づく類義語・多義語の分析」

14:00〜15:10  「フレームに基づく類義語・多義語の分析I」

15:10〜20   休憩

15:20-16:20   「フレームに基づく類義語・多義語の分析II」

16:20〜30  休憩

16:30〜17:15 質疑応答  

 

概要

 語(等の言語表現)の百科事典的意味の中に「フレーム」を位置付けたうえで、フレームに基づく意味記述の妥当性の一端を示すことを狙いとする。特に、現代日本語の類義語および多義語の分析においてフレームに基づく記述の有効性を示す。取り上げるのは、以下の3つのケースである。

1.同一の、あるいは同様の指示対象を有する「類義語」の意味の違いを、異なるフレームに基づくという観点から、記述・説明する。取り上げる類義語は、「空き地/さら地」「通行人/歩行者」「自筆/直筆」等である。

2.「多義語」の複数の意味を、フレームを構成する異なる要素の焦点化という観点から記述・説明する。取り上げる多義語は、「きく」(動詞)「かたい」である。

3.「多義語」の複数の意味を、各意味が異なるフレームに基づくという観点から、記述・説明する。取り上げる多義語は、「黙る」である。

主な参考文献

陳奕廷・松本曜 (2018)『日本語語彙的複合動詞の意味と体系』、ひつじ書房

松本曜 (2010) 「多義性とカテゴリー構造」、澤田治美(編)『ひつじ意味論講座 第1巻 語・文と文法カテゴリーの意味』、pp.23-43、ひつじ書房

籾山洋介 (2014)『日本語研究のための認知言語学』研究社

籾山洋介 (2016)「形容詞『かたい』の意味―メトニミーとフレームの観点から―」『言語文化論集』37-2、pp. 73-87、名古屋大学大学院国際言語文化研究科

籾山洋介 (2019)「多義語分析の課題と方法」、プラシャント・パルデシ・籾山洋介・砂川有里子・今井新悟・今村泰也(編)『多義動詞分析の新展開と日本語教育への応用』、pp.32-50、開拓社

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国際ワークショップ 日本語における移動動詞の文法化 10/30 Zoom https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Mon, 12 Oct 2020 01:18:40 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 開催期日

2020年10月30日(金)
20:00〜22:00

開催会場

オンライン(Web会議システムZoomを使用します)
※参加費無料、要事前登録

参加方法

本研究会は終了いたしました。

プログラム

20:00 Grammaticalization of deictic motion verbs in Japanese: Corpus and experimental data
Artemii Kuznetsov (Institute for Linguistic Studies, Russian Academy of Science, Russia)

概要:As a result of grammaticalization two Japanese constructions containing a ventive (kuru) or an andative (iku) auxiliary verb have developed a wide range of usage types. The goal is to test a hypothesis that the more grammaticalized usage types appeared in the language earlier than the less grammaticalized ones. In order to determine the degree of grammaticalization for each usage type I explore the acceptability of –(r)are– honorification of the two auxiliaries using a questionnaire survey. After that I compare these constructions with diachronically related ones in Old (700–800), Early Middle (800–1200), Late Middle (1200–1600) and Modern Japanese (1600–). The results of the questionnaire survey and corpus analysis partially corroborate the diachronic hypothesis: as far as each verb is considered separately the most grammaticalized usage types prove to be the newest ones (the “inverse” usage for kuru and the distributive usage for iku). However, if the two verbs are put into the same category the diachronic hypothesis does not hold: the inverse usage type, which is the most grammaticalized among all, seems to have developed at an earlier stage than the distributive type, which is synchronically less grammaticalized. This indicates that the two constructions must have developed independently despite the fact that they are often viewed as members of a single category in Modern Japanese.

21:00 From verb semantics to subjectivity: A diachronic analysis of V-V complex-predicate formation and grammaticalization
Sayaka Abe (Middlebury College, USA)

概要:Diachronic research in various languages have revealed striking regularities with regard to semantic relationships between the source lexical items and their grammaticalized counterparts (e.g., Bybee et al., 1994; Heine & Kuteva, 2002; Kuteva et al., 2019). However, the mechanisms of grammaticalization, especially at the beginning stage of the process, remain under-explored. This study examines a process related to grammaticalization, Verb-Verb complex predicate formation, whereby the dependency between two verbal predicates (V1,V2) strengthens over time. The present talk focuses on collected data from literary texts from the Edo Period (extracted from Japan Knowledge and additional collections) that contain the Japanese verb of displacement shimau “to put; finish” as the V2 element, and the grammaticalized -i/-te-shimau, which marks multiple meanings including “completion” and “(speaker’s) regret.” It first outlines two previously proposed mechanisms: 1) reanalysis of two Vs based on their syntactic contiguity (DeLancey1991, Falsgraf & Park, 1994), and 2) association of two Vs based on semantic congruity (Shibatani & Chung, 2007, on deictic verbs iku and kuru). While the attested V1 elements in the data seem to be in favor of the latter (i.e., the majority of them are semantically similar to shimau), my analysis further demonstrates that the spatio-temporal nature of the original semantics of the verb shimau, as well as the notion of subjectivity must be considered to fully assess both possibilities.

English version of the announcement: https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb/

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移動動詞公開研究会 9/27(Zoom) https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Wed, 16 Sep 2020 00:47:22 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 開催期日

2020年9月27日(日)
14:30〜17:30

開催会場

オンライン(Web会議システムZoomを使用します)
※参加費無料、要事前登録

本研究会への参加申し込みは締め切りました。

ご質問のある方は守本morimoto[at]ninjal.ac.jp ([at]を@に変えてください) までご連絡ください(上記のフォームからもご質問を受け付けております)。

プログラム

14:30 トルコ語における移動表現
鈴木唯(東京大学大学院)

概要:本発表では、トルコ語の移動表現を NINJAL MEDAL プロジェクトA実験の結果に基づいて概観する。ダイクシスに注目しつつ、自律移動事象、使役移動事象、視覚移動事象の言語表現についての実験結果を示しながら、それぞれの特徴を記述する。トルコ語は主要部表示型言語と言われてきたが、本発表では自律移動の表現では経路はダイクシスを含む場合に主要部外表示型であること、使役移動と視覚移動の表現では主に主要部外表示型であることを明らかにする。

15:30 ケチュア語アヤクーチョ方言における移動表現
諸隈夕子(国立国語研究所非常勤研究員・東京大学大学院)

概要:本発表では、ケチュア語アヤクーチョ方言(以下「ケチュア語」)の移動表現を概観する。具体的には、自律移動事象、使役移動事象、視覚移動事象のそれぞれについて、NINJAL MEDAL プロジェクトA実験の結果に基づき、類型論的特徴を議論する。ケチュア語は主要部表示型言語である日本語やトルコ語と似た形態統語的特徴を持つ言語であるが、自律移動においてはダイクシスを表す場面も含め一貫して主要部表示型の特徴を見せる。一方、使役移動と視覚移動の表現においては概ね主要部外表示型の特徴を見せる。さらに本発表では、「こちらへ」のダイクシスを表す動詞接辞が自律移動・使役移動のみならず視覚移動の表現においても頻繁に用いられることを示し、これがケチュア語の特筆すべき類型論的特徴であることを主張する。

16:30 Motion event descriptions in Germanic languages: A comparative experimental study”
谷川みずき(東京大学大学院)・高橋亮介(上智大学)・松本曜(国立国語研究所)

概要:本発表では、英語・ドイツ語・ノルウェー語の移動表現を NINJAL MEDAL プロジェクトA実験の結果に基づいて概観する。とりわけ、自律移動、使役移動、視覚移動の言語表現のそれぞれについて実験結果を示しながら、同じ主要部外表示型言語である3つの言語の類似点と相違点について議論する。

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〈開催中止〉フレーム意味論 公開研究会 3/27 国立国語研究所 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Tue, 04 Feb 2020 15:34:48 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 国立国語研究所プロジェクト「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」の動詞意味構造班(リーダー  松本曜)では、日時 2020年3月27日(金)に研究会を開く予定で降りましたが、新型コロナウィルスによる感染防止の観点から、延期することといたします。新しい日程に関しましては、決まり次第、発表いたします。

 

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「移動と状態変化の意味論」研究会 2/17(神戸大学) https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Sat, 01 Feb 2020 06:05:58 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb

国立国語研究所プロジェクト「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」の動詞意味構造班では、以下の研究会を開きます。

日時:2020年2月17日(月)

場所: 神戸大学人文学研究科C棟5F 大会議室

  • 参加申込 事前の申し込みが必要です。申込フォーム(<–クリック)よりお申し込みください。
  • いただいた個人情報は,個人情報保護ポリシーに則り,厳正に取り扱います。
  • 内容的には、2/6に東京で行われる研究会の内容と重なります。

 

スケジュール

13:00                 挨拶

13:10-14:20     松本曜(国立国語研究所)状態変化表現の通言語的研究

14:40-15:20     諸隈夕子(東京大学):ケチュア語アヤクーチョ方言における状態変化表現:移動表現との比較

15:30-16:10     山本恭祐(JSPS, 国立国語研究所)イロカノ語の状態変化事象の表現

 

状態変化表現の通言語的研究   松本曜(国立国語研究所)

状態変化事象の言語表現は移動事象の言語表現とどのぐらい類似性があるのだろうか。また、前者には後者にみられるような類型論的な対立 (Talmy 2000, 松本 2017)が見られるのだろうか。本発表ではこの問題に関する今までの研究を概観すると同時に、状態変化表現の類型論的な性質を調査するための方法について議論する。

 

ケチュア語アヤクーチョ方言における状態変化表現:移動表現との比較

諸隈夕子(東京大学)

本発表では、ケチュア語アヤクーチョ方言 (Ayacucho Quechua、以下「アヤクーチョ方言」) における状態変化表現の概観を提示し、移動表現との並行性 (Talmy 2000など) を考察する。共事象が存在しない場合、アヤクーチョ方言の状態変化表現は主に動詞語根、一部は出名動詞、出形容詞動詞によって表される。共事象が存在する場合も状態変化はほぼ一貫して主節の本動詞で表され、共事象は副詞従属節によって表される。一方、アヤクーチョ方言の移動表現における経路は動詞語根 (つまり主要部) 、動詞接尾辞や名詞格接尾辞 (つまり主要部外要素) のどちらで表すかにバラエティが見られる。このように、アヤクーチョ方言では状態変化表現と移動表現に明確な平行性は見られないことを報告する。

イロカノ語の状態変化事象の表現

山本恭裕 (NINJAL/JSPS)

本発表では、イロカノ語において状態変化事象がどのように言語的に表現されるかを検討する。具体的には、状態変化要素が文のどの位置にマッピングされるか、またその実現が移動事象における経路要素と同様の位置であるかという並行性について検証する。加えてイロカノ語において状態変化表現の類型を考える上で問題となるケースについても議論する。

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移動と状態変化の類型論 研究会 (2020年2月6日、東京大学) https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Sat, 01 Feb 2020 04:29:34 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 国立国語研究所プロジェクト「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」の動詞意味構造班では、以下の研究会を開きます。

日時:2020年2月6日(木)

場所: 東京大学大学院人文社会系研究科 法文1号館212

英語タイトルの発表は英語が使用言語です。

 

スケジュール

10:30                   挨拶

10:40-11:40    Andrew Forrest (University of Newcastle) : Semantics of Associated Path in Kaytetye

13:00-14:10  河内一博 (防衛大学校)Jürgen Bohnemeyer & Erika Bellingham (State University of New York at Buffalo):国際共同研究プロジェクト “Causality across languages” の研究方法とこれまでの成果の概要

14:30-15:40  松本曜(国立国語研究所):状態変化表現の通言語的研究

16:00-16:30 山本恭祐(JSPS, 国立国語研究所)・諸隈夕子(東京大学大学院・国立国語研究所非常勤研究員):状態変化事象表現の類型:ケチュア語とイロカノ語のデータ   

16:30-17:00         討議

要旨は以下の通りです。

Semantics of Associated Path in Kaytetye   Andrew Forrest (University of Newcastle)

‘Associated Motion’  is a type of construction in Kaytetye (Arandic, Central Australia) first identified by Koch (1984). Associated Motion associates path to a predicate: aynenke ‘eat’ → ayney-alpenke ‘eat after returning’. I argue that motion is not an essential property of Associated Motion constructions, and so I use the term ‘Associated Path’ in this presentation. I show that an Associated Path event has three components: Path, Predicate, and a third component which defines the relationship between Path and Predicate. I present an analysis which accounts for both the syntax and the semantics of Associated Path constructions in Kaytetye using insights from Minimalist Syntax (Travis 2010) and Talmy’s typology of Event Integration (2000).

 

国際共同研究プロジェクト “Causality across languages” の研究方法とこれまでの成果の概要

河内一博(防衛大学校), Jürgen Bohnemeyer & Erika Bellingham(State University of New York at Buffalo)

国際共同研究プロジェクト “Causality across Languages” (PI: Jürgen Bohnemeyer) (http://causalityacrosslanguages.wordpress.com/) の研究方法の概要を説明する。この因果関係に関するプロジェクトは4つのサブ・プロジェクトから成る:(i)「意味類型論」、(ii)「談話」、(iii)「言語と思考」、(iv)「意味と統語のインターフェース」。(i)〜(iii)に数秒間のビデオ・クリップを使い、実験参加者は、(i)ではそれぞれのクリップの事象を言い表すのに発表者が(他の母語話者たちとのインタヴュー等を通して、メインのコンサルタントとともに前もって)用意した文がどの程度ふさわしいかを数値で評価し、(ii)ではどのような事象が起こったかを言い表し、(iii)では事象の参与者のうち誰が事象の結果の責任があるかを数値で評価する。(i), (ii), (iv)は因果関係の直接性の諸要因 (Bohnemeyer et al. 2000) のうちどれが構文の形態統語的統合度 (Van Valin 2005) の違いとしてどの程度アイコニックに現れるか (Haiman 1983) を調べる。(ii)は言語により、談話において事象のどの部分が述べられ、どの部分が述べられないないか、事象におけるどの参与者がどのような文法関係で表され易いか (Fausey et al. 2010) 等という問題を扱う。(iii)は事象の結果の責任を負うべき参与者が誰であるかととらえるか (Singelis 1994) が、各言語でどのように使われる構文のタイプ((ii)のデータ)に影響を与えるかを調べる。

本発表では、これまでに(i)と(ii)に関して発表した成果の一部(e.g. Kawachi, Bellingham & Bohnemeyer 2018, Kawachi, Park & Bellingham 2020, Bellingham et al. 2020)の概要も紹介する。

 

状態変化表現の通言語的研究   松本曜(国立国語研究所)

状態変化事象の言語表現は移動事象の言語表現とどのぐらい類似性があるのだろうか。また、前者には後者にみられるような類型論的な対立 (Talmy 2000, 松本 2017)が見られるのだろうか。本発表ではこの問題に関する今までの研究を概観すると同時に、状態変化表現の類型論的な性質を調査するための方法について議論する。

 

状態変化事象表現の類型:ケチュア語とイロカノ語のデータ   

山本恭裕 (NINJAL/JSPS), 諸隈夕子 (東京大学/NINJAL)

状態変化事象と移動事象の間に並行性があるとする仮説がこれまで提案されてきた (Talmy 2000; Jackendoff 1983: Ch. 10; Gruber 1965; Levin and Rappaport Hovav 2005)。本発表では、ケチュア語 (Quechuan) とイロカノ語 (Austronesian) の2つの言語において状態変化がどのように表現されるか、共事象がない場合とある場合で表現形式は変化するかについて記述し、状態変化表現と移動表現の並行性について議論する。共事象が言語化されない場合、どちらの言語においても状態変化は動詞語根や出名動詞、出形容詞動詞で主に表現される。共事象が表現される場合、イロカノ語では主要部表示型の構文をとるか、個別の節に分けてそれぞれの事象を表現する。一方ケチュア語では状態変化事象と共事象は単節に統合されず複文を使用することが多い。移動事象の描写においてイロカノ語は動詞連続構文を、ケチュア語は主要部表示型か主要部外表示型の構文を使用するため、どちらの言語でも2つの事象の表現に並行性は見られないと結論づける。これに加え、使役的な状態変化と自発的な状態変化のどちらが形態統語的により単純な形式で表現されるかについても議論を行う。

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第30回NINJALチュートリアル(YouTube) https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Wed, 16 Jan 2019 10:00:36 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb 第30回NINJALチュートリアル「日本語複合動詞の意味論」松本曜教授(2018年9月18日:京都大学吉田キャンパス)がYouTubeで公開されました。

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国際シンポジウム Motion Event Descriptions across Languages (MEDAL) 開催のお知らせ https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb Wed, 05 Dec 2018 07:35:22 +0000 https://crosslinguistic-studies.ninjal.ac.jp/verb
  • 開催日時

    平成31年1月26日 (土) ~ 平成31年1月27日 (日)

  • 開催会場

    国立国語研究所 講堂 (東京都立川市緑町10-2)

  • 班名・リーダー名

    「動詞の意味構造」班  松本 曜 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)

  • 参加申込

    事前の申し込みが必要です。申込フォームよりお申し込みください。
    いただいた個人情報は,個人情報保護ポリシーに則り,厳正に取り扱います。

  • 使用言語は英語です。

    • 概要

    How languages describe spatial motion events has been intensively studied in recent years in cognitive linguistics and linguistic typology, motivated to test the hypothesis in which languages can be categorized in terms of how Path of motion is expressed (Talmy 1990, 2000). However, languages in fact exhibit much more variations. In addition, the descriptions of motion event must consider different types of Path and Deixis, with the latter playing an important role in characterizing motion event descriptions in some languages like Japanese. NINJAL Project on Motion Event Descriptions has looked at motion event descriptions in 20 languages in terms of this broadened perspective, based on the data obtained in a video-based experimental method.

     

    • Invited speakers

    Jürgen BOHNEMEYER (State University of New York)

    Benjamin FAGARD (CNRS, ENS & Université Paris 3 Sorbonne nouvelle)

     

    • Program

    January 26th
    Session 1: moderator: Kaz Kawachi
    9:30 Introduction: Yo Matsumoto (NINJAL)
    10:15 German: Ryosuke Takahashi (Sophia University)
    10:45 Russian: Anna Bordilovskaya (Rikkyo University) and Yo Matsumoto (NINJAL)
    11:15 General discussion

    (break 11:20-11:30)

    11:30 Path: Yo Matsumoto (NINJAL)

    Lunch break (12:10-13:10)

    Session 2: moderator: Miho Mano
    13:10 Invited talk Benjamin Fagard
    14:10 French: Takahiro Morita (Kyoto University)
    14:40 Spanish: Iraide Ibarretxe-Antuñano (Zaragoza University)
    15:10 Italian: Yuko Yoshinari (Gifu University)
    15:40 General Discussion

    (break 15:45~15:50)

    Session 3: Posters (15:50-16:35)
    Japanese: Hiroaki Koga (Keio University):
    Khorchin Mongolian: Badema (University of Inner Mongolia) and Yo Matsumoto (NINJAL)
    Mandarin Chinese: Miyuki Kojima (Kansai University)
    French Basque: Masayuki Ishizuka (University of Tokyo)
    Interactional Nature of Deixis: Haiyan Xia (Kanagawa University) and Yo Matsumoto (NINJAL)

    (break 16:35-16:40)

    Session 4: moderator Hiroaki Koga
    16:40 Manner: Takahiro Morita (Kyoto University)
    17:20 Sidaama: Kazuhiro Kawachi (National Defense Academy of Japan)
    17:50 Mombasa Swahili: Monica Kahumburu (Catholic Univ. of Eastern Africa) and Yo Matsumoto (NINJAL)
    18:20 Discussion
    18:25 Reception
    20:00 end

    January 27th
    Session 5: moderator Kiyoko Takahashi
    9:30 Deixis: Hiroaki Koga (Keio University)
    10:10 Hungarian: Kiyoko Eguchi (Miyazaki University)
    10:40 Kathmandu Newar: Ikuko Matsuse (Center for Newar Studies)
    11:10 Kupsapiny: Kazuhiro Kawachi (Defense Academy of Japan)
    11:40 Discussion

    Lunch (11:50-12:50)

    Session 6: moderator Yo Matsumoto
    12:50 Jürgen Bohnemeyer “The macro-event property in the motion domain and beyond: New perspectives”
    13:50 Causation: Miho Mano (Naruto University of Education) and Yo Matsumoto (NINJAL)

    (break 14:30-14:45)
    Session 7: moderator Takahiro Morita
    14:45 Tagalog: Naonori Nagaya (Tokyo University of Foreign Studies)
    15:15 Ilocano: Kyosuke Yamamoto (Kyoto University)
    15:45 Thai: Kiyoko Takahashi (Kanda University of International Studies)
    16:15 Discussion

    (break 16:20-16:35)
    Session 7: moderator Yo Matsumoto
    16:35 Vision: Yo Matsumoto (NINJAL)
    17:05 General discussion

    17:30 end

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