「日本語を母語あるいは第二言語とする者による相互行為に関する総合的研究」研究発表会 概要

プロジェクト名
日本語を母語あるいは第二言語とする者による相互行為に関する総合的研究 (略称 : 日本語相互行為)
リーダー名
柳町 智治 (北星学園大学 教授)
開催期日
平成26年9月21日 (日) 13:00~17:00
開催場所
北星学園大学 第2研究棟 2階会議室 (札幌市厚別区大谷地西2-3-1)

発表概要

13:00~13:10開会・事務連絡

13:10-14:50「反応の発話冒頭に用いられる「ええと」」高木 智世 (筑波大学) ,森田 笑 (シンガポール国立大学)

従来「フィラー」などと呼ばれてきた「ええと」が,質問等に対する反応の冒頭に現れる例を分析した。「ええと」は,単に「時間稼ぎ」や発話産出の認知的プロセスに関わっているだけではなく,話し手が,相互行為の漸進性および連続性が一時的に維持できなくても先行発話に応接する適切な反応の産出は放棄せずに取り組んでいることを示し,ゆえに,受け手に対して,進行中のターンの完結を待ってそのような反応として受け止めるべきであることを主張する手だてとして用いられている。具体的な事例の分析を通して,「ええと」は,相互行為の偶発的な諸相に対処しながら,相互行為秩序を維持するために利用可能な資源であることを明らかにした。

14:50-15:10休憩

15:10-16:50「日本語会話における客観的評価と主観的評価」早野 薫 (お茶の水女子大学)

日常会話の中で参加者達がなんらかの対象について評価を述べる際,その発話は,その時どきの相互行為上の課題に対処するように,合理的に組み立てられる。本稿では,評価発話の組み立ての中でも,対象の属性を「客観的に」述べるか (例 : 「パイおいしかったの」),対象に対する個人的な経験,態度を「主観的に」述べるか (例 : 「私,パイ大好き」),という区別に着目した。そして,客観的評価と主観的評価が,日本語相互行為において体系的に分布していること,それぞれに異なった働きをすることを示した。

16:50閉会