「日本語文法の歴史的研究」研究発表会 概要
- プロジェクト名
- 日本語文法の歴史的研究 (略称 : 文法史)
- リーダー名
- 青木 博史 (国立国語研究所 時空間変異研究系 客員准教授 / 九州大学大学院准教授)
- 開催期日
- 平成26年3月9日 (日) 13:30~17:00
- 開催場所
- 成城大学 小会議室 (東京都世田谷区成城6-1-20)
発表概要
ソレデ,ソシテ,ソレガ/ヲ,ソコデについて―接続詞の捉え方─竹内 史郎 (成城大学),岡崎 友子 (東洋大学)
ソレデ,ソシテ,ソレガ,ソレヲ,ソコデは,ソ系列指示詞と接続形式から成る接続詞であり,「anaphor + conj」型接続詞と特徴づけることができる。本発表では,田村 (2005) で示された構成性・非構成性という観点を受け,①「anaphor + conj」型接続詞の代示要素(anaphor部分)の照応のあり方,②接続詞自体の文中での統語的な位置づけ,といった2つの点に着目し,新たな接続詞の捉え方の試みが示された。
質疑においては,挙げられたデータの文法性判断の適格性,スコープと照応の関係,また,構成要素 (ソコ / ソレ) の相違と接続詞 (ソコデ / ソレデ) の相違との関係,といった点を中心に議論が交わされた。
「じもの」考―上代の特殊な語法―小柳 智一 (聖心女子大学)
上代には「じもの」という語句があるが,その意味や特徴はいまだ十分に解明されていない。例えば,「鳥じもの」 (万葉集7.1184) は「鳥のように」,「男じもの」 (同2.210) は「男のくせに」と訳されている。本発表では,このような「じもの」の統一的な解釈が示され,さらに語構成論的・統語論的な特徴が示された。
質疑においては,「じもの」の「じ」と形容詞性接辞「じ」 (「同じ」の「じ」) との関係,助動詞「じ」との関係,さらに,名詞句から注釈の挿入句,そして連用修飾句へ変化したとする構文論的解釈などを中心に議論が交わされた。