「日本語文法の歴史的研究」研究発表会 概要
- プロジェクト名
- 日本語文法の歴史的研究 (略称 : 文法史)
- リーダー名
- 青木 博史 (国立国語研究所 時空間変異研究系 客員准教授 / 九州大学大学院 准教授)
- 開催期日
- 平成25年9月28日 (土) 13:30～17:00
- 開催場所
- 国立国語研究所 1階 大会議室
発表概要
江戸・東京語のダケの歴史的展開宮地 朝子
古代中央語から上方・大阪語までに見られた名詞「丈」からの形式化・文法化の様相は，江戸語にも継承されつつ特有の様相を呈する。名詞の形式化・文法化，また中央語・地方語の交替が及ぼす影響を考慮に入れながら江戸・東京語の「ダケ」の様相を観察し，現代語の多機能の様相にいたる文法史的展開を考察した。
質疑においては，データの解釈，「バカリ」などの他の形式との関係，そして「地方語」と「中央語」，「口語」と「文語」などの位相論を文法論とどのように絡めるべきか，といった点を中心に議論が交わされた。
体言型アスペクトに関する諸問題福沢 将樹
アスペクトは動詞にのみ存在する文法的カテゴリーと思われているふしがあるが，形容動詞述語や名詞述語にも類似の形式が存在する。またアスペクト形式自体も，用言 (特に動詞) 型活用をするものだけでなく体言型活用の形式が存在する。本発表では，主として現代日本語を用い，品詞論・語構成論に及び，現在を文法化の過渡期と捉える現象として考察した。
質疑においては，先行研究との関係，文法史上における位置づけ，そして「体言型アスペクト」という概念の範囲と有効性などを中心に議論が交わされた。