「コーパス日本語学の創成」研究発表会 概要

プロジェクト名
コーパス日本語学の創成 (略称:コーパス日本語学)
語彙・文法・文体・歴史グループ
リーダー名
前川 喜久雄 (国立国語研究所 言語資源研究系 系長 / 教授)
開催期日
平成25年7月21日 (日) 14:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室

発表概要

「テキストの一貫性と計量語彙論的属性との関係」山崎 誠 (国立国語研究所)

テキストの基本的性質である一貫性 (coherence) をと,テキストのもつ計量的属性 (主に語彙的な面での属性) との関係を探り,一貫性が語彙的にどのような面に表れているかを調べる。また,それを通じてテキストの一貫性を客観的に測定する方法の提案を試みる。使用するデータは『現代日本語書き言葉均衡コーパス (BCCWJ) 』で,そこからランダムに選んだテキストを2つに分割し,別のテキストの半分と合成することによって得られる一貫性の低いテキストは元のテキストと比べて TTR の値が低くなることを報告した。

「コーパスに基づく日英対照通時研究の可能性」服部 匡 (同志社女子大学)

200年間の通時コーパスである Corpus of Historical American English (COHA) を用い,尺度的性質を表す名詞に対する基本的量的形容詞の選択傾向の変化を調査した。これを,国会会議録によって調査した日本語での約60年間の変化傾向と比較し,いくつかの興味深い事実を発見した。

「外来語のゆれをWWWで調べる」荻野 綱男 (日本大学)

バイオリンとヴァイオリン,ユーホーとユーフォーのように,外来語には語形がゆれているものがある。これらが WWW でどれくらい使われているか,検索エンジンのヒット件数を手がかりにして概観してみると,日本の外来語の受け入れの状況が反映されていることがわかった。たとえば,歴史的な変遷や意味の違い,使用分野の違いなどが影響している。