「日本語文法の歴史的研究」研究発表会 概要

プロジェクト名
日本語文法の歴史的研究 (略称 : 文法史)
リーダー名
青木博史 (国立国語研究所 時空間変異研究系 客員准教授)
開催期日
平成25年3月27日 (水) 13:30~17:00 公開研究発表会
開催場所
JR 博多シティ 10階 小会議室

発表概要

鹿児島方言史における過去否定形式久保薗 愛

日本語における否定形式は,通時的・通方言的にさまざまな形式が存在する。それぞれの関係や歴史的な変遷などは非常に興味深いが,その成立や歴史の明らかでないものも多い。本発表では,鹿児島方言の過去否定形式が取り上げられ,方言文献と現代方言の様相から,その歴史と出自について考察された。
質疑においては,「融合型」「分析型」といった用語の内実,コピュラ形式との関連などについて質問が多く出され,他の方言形式との関わりを中心に議論が交わされた。

中世末期日本語の従属節の階層性 ―南の四分類との関係―福嶋 健伸

本発表では,中世末期日本語の体系を中心に据え,古代日本語から現代日本語への変化を捉える試みが示された。具体的には,「従属節の節述語において,意志・推量を表す形式が減少する」という現象について,ムード優位言語からテンス優位言語への類型論的変化として捉える,という見方が示された。
質疑においては,「ムード優位言語」「テンス優位言語」の内実について質問が多く出され,さらにはこうした捉え方の有効性について議論が交わされた。