公開シンポジウム:「会話を通じた相互信頼感形成」 概要
- 主催:
- 科研費基盤研究(B)
「会話を通じた相互信頼感形成のマルチモーダル分析と共関心モデルの研究」
- 科研費基盤研究(B)
- 共催:
- 科研費基盤研究(B)
「発話単位アノテーションに基づく対話の認知・伝達融合モデルの構築」 - 国立国語研究所共同研究
「多様な様式を網羅した会話コーパスの共有化」 - 国立情報学研究所共同研究
「実場面インタラクション理解のための非談話行動アノテーション手法の開発と談話・非談話行動の連鎖分析」
- 科研費基盤研究(B)
- 開催期日
- 平成25年2月17日(日) 13:00~17:00
- 開催場所
- 国立情報学研究所 1208&1210会議室 http://www.nii.ac.jp/about/access/
内容
招待講演 : 「医療現場における信頼構築」
原田悦子(筑波大学)
人工物研究,あるいは医療安全という文脈の中で対話を対象として研究をしていると,確かに,対話が単なる情報交換や情報伝達ではなく,何らかの共有であり,その対象はある意味の「信頼感」であることは(実感として)体験できる。そのため,対話が問題解決のツールとなっている状況で次に問題となるのは「その対話は,本当に信頼できる信頼感をもたらしているのか?」という点である。過去のいくつかの対話データを振り返りながら,現在,外から求められている対話研究について,議論した。
講演1 : 「相互信頼感と共関心構築」
片桐恭弘(公立はこだて未来大学)
日常場面での会話コミュニケーションは,情報交換,合意形成だけでなく,会話参加者間の関係の構築・維持にも寄与する。本発表では,相互信頼感形成過程の記述のために「共関心構築(concern alignment)」の概念を提案する。メタボ健診に伴う特定保健指導対話を対象として,保健師と受講者との間の相互信頼感の形成・維持の会話過程分析に基づいて,相互信頼感形成の共関心モデルの提案を試みた。
講演2 : 「展示制作のための多職種ミーティングにおける「関心」と「配慮」の分析」
高梨克也(科学技術振興機構さきがけ/京都大学学術情報メディアセンター)
本発表では,科学館での展示制作のための多職種ミーティングにおいて,「気になる/するのは」という表現がどのような会話連鎖上の位置で用いられ,他の参与者からどのような応答を引き出しているかを分析することを通じて,各メンバーによる関心事や懸念事項の表明とこれに対する他の参与者による配慮とを核として形成される「共関心」をモデル化するための基礎となる経験的知見を提供した。