「多様な様式を網羅した会話コーパスの共有化」研究発表会 概要

プロジェクト名
多様な様式を網羅した会話コーパスの共有化 (略称 : 会話コーパス)
リーダー名
伝 康晴 (国立国語研究所 言語資源研究系 客員教授 / 千葉大学 教授)
開催期日
平成24年12月25日 (火) 13:00~15:00
開催場所
慶應義塾大学 三田キャンパス 北館 会議室2 (東京都港区三田2-15-45)

発表概要

「会話コーパスを用いたスタンス表明の研究に向けて」遠藤 智子 (日本学術振興会 / 京都大学 特別研究員)

インタラクションにおけるスタンス表明は,会話分析・談話機能主義言語学・社会言語学・人類学等の分野において近年広く注目を集めている現象である。本発表は,スタンス表明の理論的整理のための準備として,幾つかの会話コーパスからのデータを用い,その中に観察されるスタンスの種類と実現の仕方を記述する。スタンスの種類としては,評価的・感情的・認識的・同意的スタンス等,実現の仕方としては,笑い・表情・身振り等の非言語行動的実現,音声的特徴や語彙・文法等の言語行動的実現,さらに,共同発話や再完結等のターン構造的実現が含まれる。

「聞き手行動としての日本語あいづち表現の分析: 転記情報とコーディングから読み取れること」吉田 悦子 (三重大学 教授)

あいづちは,話し手が発話権を保持する状態で,聞き手が産出する表現形式であり,相手の話をきいていることを示すシグナルである。本発表では,狭義のあいづち表現 (非言語形式を含まない) を対象に,地図課題対話データから会話分析の手法による転記テキストを再構成し,ムーブ構造 (Carletta et al.1997) を利用した機能分析をおこなう。その結果,発話の連鎖や話者交替への移行がとらえやすくなり,対話進行におけるあいづち表現の役割について一定のパターンを明らかにすることができるのではないかと考えられる。