「言語の普遍性及び多様性を司る生得的制約:日本語獲得に基づく実証的研究」研究発表会 概要

プロジェクト名
言語の普遍性及び多様性を司る生得的制約:日本語獲得に基づく実証的研究 (略称 : 日本語獲得研究)
リーダー名
村杉 (斎藤) 恵子 (南山大学)
開催期日
平成24年12月23日(日) 10:00~18:00 (9:30~10:00 打ち合わせ)
開催場所
南山大学 名古屋キャンパス L909 (〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18)

発表概要

コメンテータ : Thomas Hun-tak LEE (Chinese University of Hong Kong)

10:00-12:00研究会

"The acquisition of nominal structure, word order and referentiality in Chinese: Corpus and experimental findings"Thomas Hun-tak LEE and Zhuang WU (Chinese University of Hong Kong)

発表要旨 [ PDF | 91KB ]

13:30-18:00研究会

"On the Learnability of Japanese Scrambling"杉崎 鉱司 (三重大学)

本発表では,日本語を母語として獲得中の幼児がどのようにして「かき混ぜ」(scrambling) の知識を獲得するのかを,大人から幼児に与えられる言語情報の分析を通して検討した。「かき混ぜ」の有無に関する直接的な言語情報が幼児にはほとんど与えられてないことを,幼児自然発話コーパスの分析を基に明らかにし,「かき混ぜ」の獲得を可能にする生得的制約 (「パラメータ」) の必要性及びその具体的内容を議論した。

"Cognitive neuroscience of linguistic diversity -A view from an ERP study on Japanese honorific processing-"酒井 弘 (広島大学)

人間に共通の認知神経メカニズムによって,世界に存在する多様な言語がどのように処理され,獲得されるのか,さらには,多様性がどのように発生し変化するのかという疑問に答えることは,言語認知神経科学の最重要課題のひとつである。しかしながら,現時点ではまだまだ,この疑問に答えるために必要な研究成果の蓄積がなされていないと思われる。本発表では,このような現状を紹介するとともに,日本語敬語処理の事象関連電位研究を例に,どのようにすれば有効なデータを蓄積して行くことが可能かを検討した。

"On the Role of Selection in Syntactic Word Formation"齋藤 衛 (南山大学)

本発表では,複合動詞に係る統語的=意味的選択制限について,試論を提示した。
まず,影山太郎氏の「他動性調和の原則」に,v の選択制限による統語的説明を与える可能性を示唆した。その上で,日本語軽動詞構文やエド語結果連鎖動詞構文にみられる非顕在的編入による語形成に分析を適用し,フェイズ形成における編入の時機には制限がないとの結論を導いた。