「空間移動表現の類型論と日本語:ダイクシスに焦点を当てた通言語的実験研究」研究発表会

プロジェクト名
空間移動表現の類型論と日本語 : ダイクシスに焦点を当てた通言語的実験研究 (略称 : 移動類型論)
リーダー名
松本 曜 (神戸大学人文学研究科 教授)
開催期日
平成24年9月22日 (土) 10:30~17:00
開催場所
名古屋国際センター (名古屋市中村区那古野一丁目47番1号)

発表概要

「様態,経路,ダイクシスの使用頻度と相互作用」松本 曜 (神戸大学 教授)

本発表では,ビデオクリップを用いた発話実験から,移動事象の言語表現において,様態,経路,ダイクシスが表現される頻度を,日本語,英語,イタリア語のデータから比較する。日本語で様態に言及する頻度が低いのに対し,英語ではダイクシスに言及する頻度が低いことが明らかになった。また,イタリア語においては,様態,経路,ダイクシスの種類によって言及頻度に大きな差があることがわかった。本実験から,スロービンの言う様態卓立性や,古賀の言うダイクスス卓立性,Ibaretxe-Antunano の言う経路卓立性を測定できることが確かめられた。

「ロシア語の移動表現」Anna BORDILOVSKAYA (神戸大学 大学院生)

The Russian language is a satellite-framed language, where the satellite is expressed by the verbal prefix mainly indicating PATH and the verb itself usually expresses MANNER. Deixis is basically expressed with the means of other structures, such as prepositional phrases etc. However, the collected data show that different patterns are used by Russian speakers.

「ドイツ語における移動表現」高橋 亮介 (上智大学 准教授)

本発表では,ドイツ語の移動表現においてダイクシスの概念がどのような言語手段によってコード化されるかという点に着目しつつ,計20名の話者を対象としたビデオ実験の分析結果を報告した。とりわけ,ダイクシスの概念が単文中で複数の言語手段によって重複的にコード化される事例を取り上げ,いかなる場合にどのような重複パターンが観察されるのかという点に関して傾向を指摘した上で,その要因について考察を行った。

データ分析に関する研究打ち合わせ