「学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築」研究発表会 概要
- プロジェクト名
- 学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築 (略称 : 語彙文法シラバス)
- リーダー名
- 山内 博之 (実践女子大学 教授)
- 開催期日
- 平成24年5月12日 (土) 13:30~18:00
- 開催場所
- 国立国語研究所 2階 多目的室
発表概要
「日本語学習者の意見文に見られる文末表現の特徴 ―日本語母語者話者との比較を通して―」高 恩淑 (一橋大学 研究員)
本発表では日本語母語話者との比較を通して,日本語学習者の意見文に見られる文末表現の使用傾向について考察を行った。書き言葉の意見文における日本語学習者の主な文末表現を取り上げ,日本語母語者との類似点と相違点を明らかにし,学習者への作文指導に活かしていきたい。
「フィラー表現と談話構成 ―雑談での「物語」における出現位置に注目して―」宮永 愛子 (金沢大学 非常勤講師)
「あの」や「なんか」などのフィラーは,まとまった発話をする際に,談話標識として使われることがある。本研究では,談話構成に比較的規則性がある「物語」に注目し,フィラー表現が談話のどのような位置で出現しやすいかという傾向を探った。
「看護師による患者描写の諸特徴 ―引き継ぎ報告「申し送り」談話を対象に―」永井 涼子 (山口大学 講師)
本発表では,看護師が勤務交代時に行う引き継ぎ報告「申し送り」談話データを分析し,看護師が患者の様子や症状を詳しく報告する際の諸特徴について分析および考察を行う。また,複数の病院データを比較し,病院や診療科に共通する特徴を考察した。
「複文における視点の統一が文理解に及ぼす影響について」末繁 美和 (北見工業大学 講師)
視点が統一された文と不統一の文では,日本語母語話者と中国人学習者の文理解に違いがあるのか否かについて,自己ペース読文課題および主語同定課題の結果より検討した。
「独話における接続詞『で』の出現をめぐって」石黒 圭 (一橋大学 准教授)
独話において接続詞「で」がどのような位置に,どのような要素とともに,どのくらいの頻度で出現するのかを調べた調査結果を紹介する。調査対象者は計48名で半数には短い「無声映画」を見た直後にその内容について,残りの半数には「旅行体験」について語ってもらった。独話の話し手が自らの記憶を接続詞「で」によってどのように整理し語っているかを検討した。