「日本語文法の歴史的研究」研究発表会の概要

プロジェクト名
日本語文法の歴史的研究 (略称 : 文法史)
リーダー名
青木 博史 (国立国語研究所 時空間変異研究系 客員准教授)
開催日時
平成24年3月4日 13:30~17:00
開催場所
国立国語研究所 1階 大会議室

発表概要

「統語的複合動詞」再考青木 博史

影山太郎 (1993) 『文法と語形成』において提案された「語彙的複合動詞」「統語的複合動詞」の区別は,広く知られるところとなっている。本発表では,統語的複合動詞に焦点を当て,歴史的観点からこの2種の区別が意味するところについて検討された。また,この議論に基づき,今後の複合動詞史研究のあり方についての見通しが述べられた。
質疑においては,生成文法における理論と通時的観点からの記述の兼ね合いについて,また「複合動詞」という文法カテゴリーの問題などについて議論が交わされた。

程度・量・限定と因果関係江口正

形式名詞を用いた接続形式には,「程度・量」や「限定」の用法を持つものが同時に「因果関係」も表すものがいくつかある。本発表では,「分」「だけ」といった形式名詞の現代語の例に考察を加え,「集合間の対応関係」というモデルによってこれらの用法のつながりに説明を与える方法が提示された。
質疑においては,上記モデルが各形式に適応される理由について,あるいは通時的な変化とどう関係するか,といった問題などについて議論が交わされた。