「文脈情報に基づく複合的言語要素の合成的意味記述に関する研究」研究発表会の概要

プロジェクト名
「文脈情報に基づく複合的言語要素の合成的意味記述に関する研究」 (略称 : 合成的意味記述)
リーダー名
山口 昌也 (国立国語研究所 准教授)
開催期日
2011年12月27日 (火) 13:30 ~ 17:30
開催場所
国立国語研究所 1階 中会議室1

発表概要

「事象の叙述様式に関する日中対照」井上 優 (麗澤大学 教授)

日本語と中国語には「日本語では言語化しなくても表現できることが,中国語では言語化しないと表現できない」,「日本語では1つの要素で表現できることを,中国語では複数の要素を組み合わせて表現する」という相違がしばしば観察される。その相違は「日本語:事象叙述の所与の枠組みに依拠して事象を叙述する」,「中国語:事象叙述の所与の枠組みなしに事象を構成的に叙述する」という相違として一般化できる。この相違は言語要素の意味の合成について考える場合にも重要な相違である。

「用例に基づく複合動詞の構成分析 (試行2) 」山口 昌也 (国立国語研究所 准教授)

本研究では,実際の用例に基づいて,複合的な言語要素の意味記述を行う手法の確立を目指している。本発表では,前回の発表に引き続き,複合動詞とその構成要素の動詞との格フレームの対応関係を,実際の用例に基づき,分析した結果を報告した。前回の発表で報告した格パターンが一致する場合に加えて,今回は,格のパターン,および,格要素の一致しない場合も含めて検討し,格フレームの対応関係の類型化を図る。なお,これらの分析を行うに際して,複合動詞と構成要素の動詞の格フレーム用例集を作成し,全文検索システム『ひまわり』に搭載した。このデータは,日本語教育などへの応用を考えており,学習者の実際の利用方法に関しても議論した。