「学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築」研究発表会の発表内容「概要」

プロジェクト名
学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築 (略称 : 語彙文法シラバス)
リーダー名
山内 博之 (実践女子大学 教授)
開催期日
平成23年12月23日 (金) 14:00~18:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室

発表概要

「新しい文法シラバスの構築に向けて」庵 功雄 (一橋大学 准教授)

現行のシラバスの問題点を挙げ,難易度を考慮した新しい文法シラバスを提案した。発表者がすでに発表した「圧縮文法」のSTEP1,STEP2に加え,STEP3~STEP6の項目を試案として提出した。

「日本語教育初級シラバスはどこから来たのか?」岩田 一成 (広島市立大学 講師)

現在の初級シラバスが戦中に作られた『日本語表現文典』を元にしていること,戦後に作られた2冊の教科書と比較すると指導項目は98.2%一致すること,「会話のすべて」から「初級文法項目」へとパラダイムシフトが起こったことを発表した。

「データに基づいた類義語分析の方法 ―「~たばかりだ」と「~たところだ」を例に―」建石 始 (神戸女学院大学 准教授)

「~たばかりだ」と「~たところだ」をコーパスを使って前接する動詞,共起する副詞,後接する形式を分析した結果を発表した。「~たばかり」は開始に関連する動詞が多く,「~たばかりの」という形が多い。「~たところだ」は国会会議録に多くみられ,前接する動詞も特殊である。

「実質語の使用実態と指導項目の選定」橋本 直幸 (福岡女子大学 専任講師)

ある話題ごとに,実質語を意味カテゴリーに分類するという方法論を提案した。今回は「調理」を取り上げ,学習者の作文を分析した。その結果,上位群は調理に関する語群が豊富で,下位群は料理に関する語群が豊富であった。