「日本語文法の歴史的研究」研究発表会 概要

プロジェクト名
日本語文法の歴史的研究
リーダー名
青木 博史 (国立国語研究所 客員准教授)
開催期日
平成23年3月7日 (月) 13:30~17:00
開催場所
国立国語研究所 1階 中会議室2

発表概要

~テイルの成立とその発達 ―「通説を覆す説」を覆す―福嶋 健伸 (実践女子大学)

まず,~テイルの成立時期について,最近発表された論文の検討を通して通説の妥当性を確認した。これをふまえ,~テイルの発達を考える際には,~テイル / 動詞基本形 / ~ウ・~ウズ (ル) で形成される体系を考えることが有効であることを述べた。また,体系的変化の要因について,存在動詞イルの補助動詞化と,主節の従属節に対する支配が強くなったことの2点を指摘した。

近世後期江戸語のノダロウ岡部 嘉幸 (千葉大学)

近世後期江戸語において,推定表現として用いられるノダロウの特徴を,どのような事態を推定するのかという観点から考察した。このとき,〈内実推定〉〈原因推定〉という分類の有効性について検討した。また,このような推定表現の分類に注目しながら,類義的に用いられるヨウダ,終止形承接のソウダ,ラシイとノダロウとの差異についても言及した。