「パラ言語情報および非言語情報の研究における基本概念の体系化」研究発表会 概要
dl class="pminfo_dl">発表概要
「共同研究プロジェクト『パラ言語・非言語情報の基本概念』の概要」森 大毅 (宇都宮大学大学院 工学研究科 准教授)
音声は,音韻論・統語論の対象であるところの言語学的情報だけを伝達しているわけではない。例えば対話においては,同じ言語情報でも話者や対話の状態によって生成される音声の音響的特徴に違いが生じ,同時に伝達されるメッセージにも変化が生じる。これをパラ言語情報というが,パラ言語情報という用語の指す概念,あるいはその背景にあると考えられる話者の意図・態度・感情などの語が指す概念はあいまいである。このことを,国内外の代表的な研究を例示しながら示し,パラ言語情報・非言語情報の体系化が重要であることを述べた。
「談話行為タグ付与の概要とその現代的課題」高梨 克也 (京都大学 学術情報メディアセンター 特命助教)
人工知能学会「談話タグワーキンググループ」が実験していた対話コーパスへの談話行為タグ付与作業の過程において,談話行為すなわち話者の意図を記述しようとすることの限界が明らかになってきた。その結果,談話行為よりも対話構造の記述を,課題遂行対話よりも自由会話の分析を指向した研究へと関心が移っていった。このような研究対象を扱う場合には,「伝わったもの」から考えること,すなわち聞き手 (の応答) 中心の分析が必要不可欠である。