「体言締め文」「五段階」研究発表会発表内容「概要」
- プロジェクト名
- 形容詞節と体言締め文:名詞の文法化 (略称 : 体言締め文)
節連接へのモーダル的・発話行為的な制限に関する研究 (略称 : 五段階) - リーダー名
- 角田 太作 (国立国語研究所 言語対照研究系長 教授)
- 開催期日
- 平成22年10月16日 (土) 13:00~19:00 「形容詞節と体言締め文:名詞の文法化」
平成22年10月17日 (日) 9:00~15:00 「節連接へのモーダル的・発話行為的な制限に関する研究」 - 開催場所
- 国立国語研究所 2階 多目的室
発表概要
平成22年10月16日 (土) 「形容詞節と体言締め文:名詞の文法化」
プロジェクトリーダーが挨拶し,次に,出席者が簡単に自己紹介を行った。
その後,プロジェクトリーダーが9月から10月にかけて行った,ドイツとオランダへの海外出張について報告した。(i) 二つの研究所,二つの大学,二つの出版社を訪問したことと,(ii) この二つのプロジェクトの研究成果の刊行について,Mouton de Gruyter社とJohn Benjamins社が,ともに,積極的であることを報告した。
「日本語の体言締め文」角田 太作 (国立国語研究所)
研究成果を刊行した場合に,第1章に当たるものを発表した。まず,日本語の体言締め文の概略を示した。次に,体言のスロットに現れる体言 (名詞を含む) の種類を詳細に考察した。
「体言締め文:日本語,韓国語,中国語の比較」井上 優 (国立国語研究所)
日本語の体言締め文を下位分類した。この下位分類などをもとに,日本語に体言締め文が現れやすいことの背景の現象を検討した。更に,体言締め文が現れる背景を,日本語,韓国語,中国語の比較を通して,考察した。
「日本語の体言締め文の歴史」宮地 朝子 (名古屋大学)
「日本語における体言締め文の発達の歴史を,古代日本語から現代日本語までを通して,包括的に考察した。体言のスロットに現れる体言 (名詞を含む) は古代では少なかったが,近世になって急速に増加した。
平成22年10月17日 (日) 「節連接へのモーダル的・発話行為的な制限に関する研究」
「五段階:導入」角田 太作 (国立国語研究所)
研究成果を刊行した場合に,第1章に当たるものを発表した。五段階の研究に関連する先行研究と理論的背景である。
「カパンパンガン語 (フィリピン) における五段階」北野 浩章 (愛知教育大学)
カパンパンガン語 (フィリピン) における五段階を,原因・理由節,条件節,譲歩節について,詳細に検討した。
「イヌピアク語 (アラスカ) における五段階」永井 忠孝 (青山学院大学)
イヌピアク語 (アラスカ) における五段階を,原因・理由節,条件節,譲歩節について,詳細に検討した。更に,これ以外の副詞節についても,例文を挙げて考察した。
質疑応答
全体で,質疑応答を行った。特に,カパンパンガン語,イヌピアク語など,諸言語に共通する点があると同時に,言語間に違いがあることも判明した。