「テキストの多様性を捉える分類指標の策定」研究発表会発表内容「概要」

プロジェクト名
テキストの多様性を捉える分類指標の策定 (略称 : テキスト分類指標)
リーダー名
柏野 和佳子 (国立国語研究所 言語資源研究系 准教授)
開催期日
平成22年9月29日 (水) 10:00~15:00
開催場所
計量計画研究所 (IBS) 会議室

発表概要

「書籍サンプルより捉えたいテキストタイプの検討」柏野 和佳子 (国立国語研究所 言語資源研究系 准教授)

国立国語研究所で構築中の『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ) に収録される書籍サンプルを対象に,人手による分類観点の付与を進めている。その方法の説明と作業の進捗を報告した。今回は,「難易」「主観的・客観的」「硬軟」「書き言葉的・話し言葉的」の4つの観点付与に関するアノテーション作業結果を取り上げて検討した。特に,試行の初期段階で作業者の判断にゆれが目立った「書き言葉的・話し言葉的」については,改めて「直接的な語り性の有無」として捉え直すことを提案した。以上を通し,書籍サンプルより捉えたいテキストタイプを考察した。

「定性的な可読性指標を定量的に扱うための検討」大塚 裕子 (計量計画研究所 主任研究員)

可読性研究について概観するとともに,文章論などで提案されている定性的な可読性の指標を紹介し,これらの指標の定量化について検討した。
可読性評価のためには,適切な指標を見つけることが必要である。語彙的な読みにくさ,構文的な読みにくさ,文脈的な読みにくさ,段落構造の読みにくさをはかる要素技術の統合の必要性を指摘した。
また,対象とするテキストごとの可読性を知ること,及び,読み手に合わせた可読性を知ることの重要性を指摘した。

「テキスト分類の観点 ―国語教育「書くこと」という視点から―」佐渡島 紗織 (早稲田大学 准教授)

テキストを分類する観点を,国語教育という視点から紹介することを目的として発表した。国語教育においては,「読むこと」,「書くこと」,「話す・聞くこと」の領域において,それぞれテキストを解釈,産出,活用させる。本発表では,特に「書くこと」の領域に着目した。テキストを産出させる際,すなわち,課題を考案する際に,どのような観点が提示されてきたかを,欧米と日本の理論や実践から紹介した。《テキストそのものの要素に着目した分類》,《テキスト産出の状況に着目した分類》,《テキストを産出する人の思考に着目した分類》を紹介する。さらに,テキストの分類をめぐる80年代の論争を紹介・検討した。この論争は,国語教育において学習者にテキストの分類を示して指導することが可能なのか,また有効なのかという根本的な問いを提示した。