「形容詞節と体言締め文:名詞の文法化」研究発表会 「概要」
- プロジェクト名
- 形容詞節と体言締め文:名詞の文法化 (略称 : 「体言締め文」)
- リーダー名
- 角田 太作 (国立国語研究所 言語対照研究系 教授)
- 開催日時
- 平成22年3月27日 (土) 13:00-19:00
- 開催場所
- 国立国語研究所 2階 多目的室
発表概要
(1) 「ネワール語」 Adnominal clauses and noun-concluding constructions in Kathumandu Newar.桐生 和幸 (美作大学 准教授)
カトマンズー・ネワール語の概略を示した後,連体修飾節と体言締め文について,今までの研究の成果を報告した。
体言締め文に現れる体言は,僅か2つしか無い。bhaagya「運命」と jyaa「仕事」である。
(2) 「モンゴル語」 Preliminary remarks on the noun-concluding (or mermaid) construction in Khalkha Mongolian 梅谷 博之 (東京大学 助教)
ハルハ・モンゴル語の概略を示した後,連体修飾節と体言締め文について,今までの研究の成果を報告した。
体言締め文に現れる体言は,僅か3つしか無い。xereg「こと,事情」,ug「語」,jum「もの」である。また,体言締め文に似ているが,名詞が共格を取る構文がある。
(3) Towards a typology of transcategorial operations: focus on deverbalizationAndrej MALCHUKOV (国立国語研究所 客員教授)
体言締め文の通時的な変化の一つに,名詞が動詞接尾辞化する現象がある。体言締め文とは別の現象であるが,動詞が動詞らしさを失って名詞の性質を獲得する過程もある。この観点から,体言締め文における名詞の変化を考察すると新しい知見が得られる可能性があることを指摘した。
(4) Some remarks of noun concluding constructions 「エヴェン語」Andrej MALCHUKOV (国立国語研究所 客員教授)
シベリアのツングース諸語の一つ,エヴェン (Even) 語のデータも参照しつつ,日本語における体言締め文の起源について,起源が話題構文の場合,起源が存在構文の場合などを挙げて,検討した。