「形容詞節と体言締め文:名詞の文法化」研究発表会 「概要」

プロジェクト名
形容詞節と体言締め文:名詞の文法化 (略称 : 体言締め文)
リーダー名
角田 太作 (国立国語研究所 言語対照研究系 系長)
開催期日
平成21年12月12日 (土) 13:00~19:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)

発表概要

「琉球語伊良部方言」 Noun-concluding constructions in Irabu Ryukyuan下地 理則 (群馬県立女子大学)

琉球語伊良部方言の概略を示した後,形容詞節と体言締め文について,今までの研究の成果を報告した。
体言締め文に現れる体言には,自立語 kutu「こと」,tukja「時」,接語 =su「男,もの」がある。更に,動詞の活用語尾となったものが二つある。-kutu (義務を表す) と -gumata (予期される未来の出来事を表す) である。

「韓国語・朝鮮語」 Noun-concluding construction in Korean金 廷珉 (松山大学)

韓国語・朝鮮語の概略を示した後,形容詞節と体言締め文について,今までの研究の成果を報告した。
日本語と同様に,韓国語・朝鮮語も体言締め文に現れることができる名詞が多数ある。日本語の体言締め文で使える名詞については,大部分の場合は,対応する名詞が韓国語・朝鮮語の体言締め文でも使える。例えば,yeyceng「計画」である。しかし,日本語では使えるのに,韓国語・朝鮮語では使えないものがある。例えば,supkwan「習慣」である。逆に,日本語では使えないのに,韓国語・朝鮮語では使えるものがある。例えば,pep「法律」である。

「アイヌ語」 Noun-concluding and related construction in Ainu (or Mermaid and Co.)Anna BUGAEVA (早稲田大学)

アイヌ語の概略を示した後,形容詞節と体言締め文について,今までの研究の成果を報告した。
体言締め文で使える名詞は少ない。下記の四つが見つかっている。ruw-e「足跡」,haw-e「声」,sir-i「外見,様子」,hum-i「音」。