第四回 「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」オンライン研究発表会 (後期) (2020年10月30日)

プロジェクト名・リーダー名
対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
班名・リーダー名
音声研究班 「語のプロソディーと文のプロソディー」
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
開催期日
2020年10月30日 (金) 15:00~16:00
開催場所
Web会議 (Zoom を使用)
参加費
無料
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プログラム

「九州諸方言の与格助詞に見られる音韻交替」 松浦 年男 (北星学園大学)

九州地方の諸方言では与格助詞が前接する母音と融合する現象が見られる。天草市本渡方言を例に取ると,ダイガキ ‘大学に’,ドケ ‘どこに’,サリャー ‘皿に’などが挙げられる。これは各地の記述的研究においても言及されているが,散発的なものが多く,交替条件の詳細が分かっているとは言いがたい。例えば,上の例から,この交替には母音前舌化,わたり音挿入,代償延長という3つの現象が関わると見られるが,規則や制約を用いたより一般的な説明はなされていない。また,この交替現象は「仕事に行った」では交替が見られて「見に行った」では見られないなど,形態統語的条件も関わるが,その詳細は明らかになっていない。そこで,本研究では,この与格助詞に関わる音韻交替現象について行った聞き取り,文献,コーパス調査の結果を報告し,記述的,理論的論点を整理する。これは始まったばかりの未発達な研究なので,ぜひ多くのフィードバックをいただきたいと考えている。

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