移動動詞公開研究会

プロジェクト名・リーダー名
対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
班名・リーダー名
文法研究班 「動詞の意味構造」
松本 曜 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
開催期日
2020年9月27日 (日) 14:30~17:30
開催場所
Web会議 (Zoom を使用)
事前申し込み
共同研究員以外は事前登録制です。
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プログラム

14:30 「トルコ語における移動表現」 鈴木 唯 (東京大学大学院)

本発表では,トルコ語の移動表現を NINJAL MEDAL プロジェクトA実験の結果に基づいて概観する。ダイクシスに注目しつつ,自律移動事象,使役移動事象,視覚移動事象の言語表現についての実験結果を示しながら,それぞれの特徴を記述する。トルコ語は主要部表示型言語と言われてきたが,本発表では自律移動の表現では経路はダイクシスを含む場合に主要部外表示型であること,使役移動と視覚移動の表現では主に主要部外表示型であることを明らかにする。

15:30 「ケチュア語アヤクーチョ方言における移動表現」 諸隈 夕子 (国立国語研究所 非常勤研究員 / 東京大学大学院)

本発表では,ケチュア語アヤクーチョ方言 (以下「ケチュア語」) の移動表現を概観する。具体的には,自律移動事象,使役移動事象,視覚移動事象のそれぞれについて,NINJAL MEDAL プロジェクトA実験の結果に基づき,類型論的特徴を議論する。ケチュア語は主要部表示型言語である日本語やトルコ語と似た形態統語的特徴を持つ言語であるが,自律移動においてはダイクシスを表す場面も含め一貫して主要部表示型の特徴を見せる。一方,使役移動と視覚移動の表現においては概ね主要部外表示型の特徴を見せる。さらに本発表では,「こちらへ」のダイクシスを表す動詞接辞が自律移動・使役移動のみならず視覚移動の表現においても頻繁に用いられることを示し,これがケチュア語の特筆すべき類型論的特徴であることを主張する。

16:30 "Motion event descriptions in Germanic languages: A comparative experimental study" 谷川 みずき (東京大学大学院),高橋 亮介 (上智大学),松本 曜 (国立国語研究所)

本発表では,英語・ドイツ語・ノルウェー語の移動表現を NINJAL MEDAL プロジェクトA実験の結果に基づいて概観する。とりわけ,自律移動,使役移動,視覚移動の言語表現のそれぞれについて実験結果を示しながら,同じ主要部外表示型言語である3つの言語の類似点と相違点について議論する。