第四回 「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」オンライン研究発表会 (2020年6月12日)

プロジェクト名・リーダー名
対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
班名・リーダー名
音声研究班 「語のプロソディーと文のプロソディー」
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
開催期日
2020年6月12日 (金) 15:00~16:00
開催場所
Web会議 (Zoom を使用)
参加費
無料
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プログラム

「北琉球奄美請島池地方言の動詞における母音交替について」 白田 理人 (志學館大学),重野 裕美 (広島大学等非常勤)

請島池地集落 (鹿児島県大島郡瀬戸内町) の方言では,動詞において母音の高さの交替が見られる。まず,r語幹動詞 (及び母音語幹動詞) では,語幹末母音に応じて後続する接辞の母音が交替する (例 : 「売る」 urjum,「売ろう」 uru,「売れ」 urï,「乗る」 norjom,「乗ろう」 noro,「乗れ」 norë )。次に,母音語幹動詞の一部 (日本語共通語のワ行五段動詞に対応) では,語幹末母音と接辞の母音が融合することがあり,融合によって生じた母音に応じて先行する母音が交替する (例 : 「歌う」 utajum,「歌おう」 oto,「歌え」 otë,「使う」 tïkajum,「使おう」 tïko,「使え」 tëkë )。以上の進行同化と逆行同化については,子音/母音の制限に非対称性があり,進行同化は逆行同化に比べ同化を起こす母音間の子音が限られ,逆行同化は進行同化に比べ同化を起こす母音の組み合わせが限られる。

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