「日本語学習者のコミュニケーションの多角的解明」研究発表会 (平成30年9月29日)

プロジェクト名・リーダー名
日本語学習者のコミュニケーションの多角的解明
石黒 圭 (国立国語研究所 日本語教育研究領域 教授)
サブプロジェクト名・リーダー名
日本語学習者の日本語理解の解明
野田 尚史 (国立国語研究所 日本語教育研究領域 教授)
開催期日
平成30年9月29日 (土) 13:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)
交通案内
参加費・事前申込み
不要

プログラム

13:00~13:10 趣旨説明
野田 尚史 (国立国語研究所)

13:10~14:00 「非漢字系初級日本語学習者の読解困難点」 中島 晶子 (パリ・ディドロ大学)

本発表では,非漢字系初級学習者を対象に行った読解調査の結果をもとに,学習者がどのような方略を使って読んでいるかを探り,その際に,どのような困難点があるかを考察する。具体的には,表記レベルにおける文字認識,語彙レベルにおける語句の判別,文レベルにおける文法関係の理解,文を越えた談話レベルにおける構造理解,一般的知識の援用における理解プロセス,これらにかかわる問題を取り上げる。そして,これらの問題から,どのような能力を重視し伸ばす必要があるのかを検討する。

14:05~14:55 「非漢字系中級日本語学習者の読解困難点」 向井 裕樹 (ブラジリア大学)

本発表では,非漢字系中級日本語学習者の読解困難点に焦点を当て,彼らの困難点や誤読について考察する。非母語話者である非漢字系日本語学習者が,頭の中でどのようなことを考えながら読んでいるのか具体例を提示し,読解の困難点や誤読にはどのようなものがあるのかを明らかにするのが目的である。最後に,非漢字系中級日本語学習者に向けた読解教育のための示唆を取り上げる。

14:55~15:15 休憩

15:15~16:05 「漢字系中級日本語学習者の読解の工夫」 田川 麻央 (明海大学)

高等教育機関に留学すると,自分のレベルに合わせて調整されていない日本語の文章を読まなければならないことが増えるが,学習者はどのように読み進めているのだろうか。本発表は日本の大学で文系学部1年に所属する漢字系中級日本語学習者3名を対象に,どのように納得がいくように読んでいくのか,その読解過程を学習者の発話データをもとに検討する。漢字系中級日本語学習者は,内容語だけでなく機能語を手がかりに文間の意味を探り,まとまりとして意味を捉えようとしていること,自ら立てた問いを検証しつつ読み進めていることなどが観察された。

16:10~17:00 「論文執筆を目的とした日本語学習者の読解」 村岡 貴子 (大阪大学)

本発表では,大学・大学院で学ぶ上級日本語学習者が,日本語を使って卒業論文・修士論文・博士論文を執筆する目的で,他者の論文をどう参照しつつ読解を行っているかの様相について考察する。そのような読解は,小説や説明文を読む場合とは異なり,学習者が自ら執筆する文章のモデルを読む活動であり,従来ほとんど研究されていなかったテーマである。発表では,複数の学習者へのインタビューデータとモデルの文章を取り上げ,学習者が各文章のどこに着目して読解を行っているのかを示す。具体的には,モデル論文の構成や調査の手続きを参照した事例,文法・表現のバリエーションに着目した事例,および論文への書き込み・メモ作成の事例などを扱う。