第2回 地球研・国語研合同研究会 「「方言」と伝統的暮らし・価値観から見直す地球環境学 ―「ことば」と「ことば」の接点―」

プロジェクト名,リーダー名
消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究 (略称 : 危機方言)
木部 暢子 (国立国語研究所 時空間変異研究系 教授)
共催
総合地球環境学研究所 :
「東南アジア沿岸域におけるエリアケイパビリティーの向上」プロジェクト
開催期日
平成27年7月30日 (木) 13:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 3階 セミナー室 (東京都立川市緑町10-2)
交通案内

どなたでも参加可能ですが,事前に参加人数を確認するため,木部暢子 (nkibe[at]ninjal.ac.jp) 宛にご連絡ください。

発表概要

趣旨説明・研究紹介石川 智士 (総合地球環境学研究所)

「外来語」を言い換えるとは ―理念と実践―相澤 正夫 (国立国語研究所 時空間変異研究系)

独法時代の2002年~2006年に,国立国語研究所は「外来語」言い換え提案を行った。これは,公共性の高い場面における分かりにくい外来語使用の問題に対象をしぼり,分かりやすくするための具体的な方策を類型化して提案したものである。この企画の全体に一定の責任ある立場で関わった経験談を中心に,理念の確認と実践例の提供を行う。

日常語と専門用語との接点 ―コンピュータ用語の定着過程から―山崎 誠 (国立国語研究所 言語資源研究系)

日常語と専門用語との交渉をコンピュータ用語を例にして考察する。日常語のと専門用語とで同じ形の語が使われている場合,それらには大別して3つのパターンが考えられる。とくに,元日常語だったものが専門用語に取り入れられ,それが日常語に「逆輸入」されるタイプがあり,専門用語の供給源としての日常語という視点を主張する。

日本語起源の外行語と日系移民のトランスナショナリティ朝日 祥之 (国立国語研究所 時空間変異研究系)

海外に形成された日系移民社会で現地語に取り込まれた日本語起源の語 (つまり外行語) に着目する。この外行語の中には,日本語社会で用いられるものと異なるものがある。その意味特徴を手がかりとし,日系移民のトランスナショナリティのあり方について考察する。

健康・公衆衛生をめぐる概念の整理とエコヘルス門司 和彦 (長崎大学),ハイン・マレー,蒋 宏偉 (総合地球環境学研究所)

健康は19世紀に緒方洪庵らによって広められた概念であり,科学的・客観的・生理的 (機械的) な身体理解に立脚して導入された。公衆衛生は長与専斎によって用いられ,近代国家としての「公衆 public」の認識の元に健康管理概念として導入された。これらは英語から来たのか独語から来たのか,「養生」とはどう異なるのか,養生以前はどのような言葉が使われていたのか,海外では「健康」や「衛生」の概念と言葉はどのように変遷したのか・・・このような疑問は尽きない。日本の「医学医療medicine」と「健康health」の混乱した使用法を思うと,高齢化する世界での「健康概念」の来し方行く末を検証する必要がある。