「多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明」研究発表会

プロジェクト名
多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明 (略称 : 現代日本語の動態)
リーダー名
相澤 正夫 (国立国語研究所 時空間変異研究系 教授)
開催期日
平成27年1月24日 (土) 14:00~16:30
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)
交通案内

発表概要

「北海道における言語動態 ―札幌・釧路・富良野における実時間調査等を手掛かりに―」朝日 祥之 (国立国語研究所 准教授),尾崎 喜光 (ノートルダム清心女子大学 教授)

北海道札幌市と富良野市,そして釧路市を調査地点として1986年から1989年にかけて実施された国立国語研究所,北海道方言研究会による言語調査は多人数調査として重要な位置を占める。その調査が実施されてから20年が経つ。この間に観察された実時間変化にもとづく言語変化過程の解明を目的に,2011年から2014年にかけて3都市を対象に実時間調査を実施した。本発表ではこの2つの調査データを活用し,各地点で観察される言語変化に見られる特徴を,主に語彙,文法項目を中心に取り上げる。それを踏まえ,3地点での比較を行い,実時間変化のあり方について考察を行う。

「新資料「語学者ばかりの座談会」 (『文藝春秋』1936年6月号掲載) について」 新野 直哉 (国立国語研究所 准教授)

学術誌掲載の論文ではなく,一般向けの新聞・雑誌等掲載の記事であっても,日本語研究に役立つ資料はある。今回取り上げる文献は,1936 (昭和11) 年の,総合月刊誌『文藝春秋』に掲載された座談会である。管見の限り,戦後,日本語研究資料として紹介・利用されたことはない。しかし,当時の日常的な日本語のさまざまな問題,そしてそれに対するそうそうたる顔ぶれの言語学者たちの意識を知ることができる,有益な資料である。この資料のご紹介とともに,話題に上っている,“ます”の命令形は「ませ」か「まし」か,「~が好き」か「~を好き」か,副詞“とても”の用法,等のいくつかの個別問題についていささかの考察を加える。