「コーパス日本語学の創成」研究発表会

プロジェクト名
コーパス日本語学の創成 (略称 : コーパス日本語学) 語彙・文法・文体・歴史グループ
リーダー名
前川 喜久雄 (国立国語研究所 言語資源研究系 系長 / 教授)
開催期日
平成26年12月13日 (土) 14:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 3階 セミナー室 (東京都立川市緑町10-2)
交通案内

発表概要

「コーパス統計学における最新の成果とツール MTMineR について」 金 明哲 (同志社大学 教授)

本研究会では,コーパス統計学に関する次の2点について報告する。(1) コーパスから記号論,形態論,構文論など異なる側面から抽出した複数組のデータセットを同時に用いてコーパスを分類する統合的データ解析法のアルゴリズムと実証結果。(2) 多言語 (英語,日本語,中国語,韓国語) のコーパスを統計分析する汎用ツール MTMineR の機能と使用法。

「ウェブ実験に基づいた研究活動における読解行動に関する分析」 内山 清子 (湘南工科大学 准教授)

研究活動において,論文の読解は重要なタスクであり,初心者と専門の研究者とでは読解行動が異なると推測される。この論文では初心者と専門研究者の読解行動をウェブベースで観察することができるシステムを開発し,実験結果からその違いを明らかにし,論文読解支援のためのシステム開発に応用する事を目的としている。実験結果から研究者は「抄録」や「はじめに」を含む最初のページと,「考察」や「おわりに」を含む最後のページに多くの時間を費やしている事を確認した。

「文法的要素と構造が語の頻度に与える影響について ―Menzerath-Altmann の法則と結合価との関係に関する調査―」 真田 治子 (立正大学 教授)

結合価と語の頻度との関係性に関する研究の一環として,節,項・付加詞等,形態素といった文の構成要素の数量的性質を調査する。「Menzerath-Altmann の法則」 (言語の語,節,文,文章など様々なレベルにおいて,より大きな構築物はより小さい構成要素から成るという経験的法則) について,今回は節,項・付加詞等,形態素の間の計量的関係を調査する。節と形態素については数的な関係性は有意になったが,項・付加詞に関わるレベルでは有意にならない。これは動詞が項・付加詞に与える文法的及び意味的制約や,項・付加詞が含まれる節の深さ,項・付加詞と述部との距離などが影響を与えていると考えられる。