「学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築」研究発表会

プロジェクト名
学習者コーパスから見た日本語習得の難易度に基づく語彙・文法シラバスの構築 (略称 : 語彙文法シラバス)
リーダー名
山内 博之 (実践女子大学 教授)
開催期日
平成26年8月30日 (土) 13:00~18:30
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)

発表概要

「類義表現から見た文法シラバス」建石 始 (神戸女学院大学 准教授)

本研究ではまず,類義表現を扱ったテキスト,参考書,文法解説書をもとに,初級文型に関する類義表現の一覧を示す。次に,それらのテキスト,参考書,文法解説書において,当該の類義表現の解説にどのぐらいの文字数が使われているのかを算出する。最終的には,その文字数などを手がかりにして,類義表現から見た初級の文法シラバスを提案したい。

「子どもを持つ外国人のための語彙シラバスの提案に向けて」森 篤嗣 (帝塚山大学 准教授)

本研究では,保育園と保護者の間で交わされる連絡帳,小学校における学校配布物という2種類のデータを分析する。この2種類のデータに対し, BCCWJ を参照コーパスとして比較することにより,連絡帳と学校配布物の語彙の特徴を明らかにし,子どもを持つ外国人にとってどのような語彙シラバスが必要であるかについて提案する。

「理工系語彙シラバスの構築に向けて」松田 真希子 (金沢大学 准教授)

本研究では,理工系語彙シラバスの構築に向け,初級日本語教科書コーパスと理工系テキストコーパスのコロケーションの重なりを明らかにすると共に,今後理工系日本語学習者が日本語を習得するための語彙シラバスの構築にあたり,どのような指標が,どのような語彙シラバスの構築に有効なのかについて検討を行う。

「様子・予想・傾向を表す表現のコンテクストとコロケーション
―例文づくりに役立つ文法記述のための基礎研究」
太田 陽子 (相模女子大学 准教授)

本研究では,現行の中・上級レベルで扱われる,様子・予想・傾向を表す類義的な表現を取り上げ,主に BCCWJ を用いて,それぞれが「どんな場面・文体・ジャンル」において,「どのような語とともに」用いられるのかといった観点からの分析を試みる。従来の「基本的意味」の比較とは異なる類義語分析を行うことにより,学習者の産出 / 理解を助け,教師の教室活動の参考となる文法記述のために必要な情報について検討していきたい。