「コミュニケーションのための言語と教育の研究」研究発表会

プロジェクト名
コミュニケーションのための言語と教育の研究 (略称 : コミュニケーション)
リーダー名
野田 尚史 (国立国語研究所 日本語教育研究・情報センター 教授)
宇佐美 洋 (国立国語研究所 日本語教育研究・情報センター 准教授) : サブリーダー
科研費
「言語運用に対する個人の評価価値観の形成とその変容に関する研究」
宇佐美 洋 (国立国語研究所 日本語教育研究・情報センター 准教授)
開催期日
平成26年8月7日 (木) 10:00~13:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)

発表概要

ライティング評価ワークショップにおけるグループ点統一のプロセス阿部 新,田中 真理 (名古屋外国語大学)

発表者らは,ヨーロッパ各国の日本語教師が集まるシンポジウムにおいてライティング評価ワークショップを実施した。参加者をグループに分け,個人で評価を出してもらった後,グループの評価点を出してもらった。それらの評価点をクラスター分析にかけた結果,グループ点統一のプロセスには「多数決」,「鶴の一声」,「新しい結果の創出」といったいくつかのパターンがあることが分かった。本発表では,各パターンの詳細な統一プロセスについて検討する。

学習者によるアノテーションを用いた,協調学習過程の即時的構造化手法の設計山口 昌也 (国立国語研究所) ,大塚 裕子 (公立はこだて未来大学) ,北村 雅則 (南山大学)

協調学習の過程を記録する場合,音声や映像がよく用いられる。しかし,これらのデータは構造化されていないため,収録データを実践中にすぐ活用することが難しい。例えば,特定の学習者の発話を検索したり,議論の構造を把握したりするには,教師や研究者が収録データを聞き直し,別途コーディングする必要がある。そこで,本研究では,協調学習の参加者自身による対話データ (音声) へのアノテーションを導入し,対話データを授業実践の中で,構造化する方法を検討している。基本的なアイディアは,アノテーションすること自体が教育上有効となるようにするということである。本発表では,大学における議論教育を対象とし,このアイディアに基づいたアノテーション方法,および,教育プログラムの設計案を示す。

「よい話し合い」のイメージ形成に関わる要因文野 峯子 (人間環境大学)

話し合いの参加者は,自身が参加する話し合いの良し悪しをどのような基準で評価するのか。評価基準は,話し合いのプロセスで修正されるのか。その際,どのような要因が修正に影響を及ぼすのか。日本語による話し合いの場合,日本語話者と非日本語話者では評価基準や基準修正に関わる要因は異なるのか。言語要素以外に修正に関わる要素はあるのか。
話し合い参加者のインタビュー発話から,「よい話し合い」のイメージ形成に影響を及ぼす要因について探った。