「文字環境のモデル化と社会言語科学への応用」研究発表会

プロジェクト名
文字環境のモデル化と社会言語科学への応用 (略称 : 文字と社会言語学)
リーダー名
横山 詔一 (国立国語研究所 理論・構造研究系 教授)
開催期日
平成26年4月20日 (日) 14:00~17:30
開催場所
国立国語研究所 3階 セミナー室 (東京都立川市緑町10-2)

発表者氏名・発表テーマ

「構造分解とコード化を利用した計量的分析に基づく漢字学習の体系化と効率化」Vorobeva Galina (国際日本文化研究センター 外来研究員)

非漢字系日本語学習者が直面する漢字学習の問題を (1) 漢字そのものに内在する問題, (2) 教授法の問題, (3) 学習者の漢字学習に対する意識の問題,に分類した。それらの問題を解決するため,漢字の視覚的構造を分析し,漢字指導法の試案開発や漢字教材の開発に応用した。具体的な研究内容は,漢字の構造分解手法の提案,漢字の画や準部首といった要素のコード化,要素コードのデータベース構築,アルゴリズムとコンピュータプログラムの開発及びそれによる漢字構造の分析,漢字群の分析などである。

「文字符号の標準化 ―国内標準と国際標準―」高田 智和 (国立国語研究所 准教授)

文字符号の標準化実務は,あまり学術的ではない。しかし,文字セットの選定には,学術的知見が必要とされる。
かつては,国内標準を定め,それを国際標準に組み込む方式が一般的であった。近年は,文字コードのグローバル化が進み,各国・各地域や各団体が,情報交換に必要な文字を直接国際標準に追加提案をする流れとなっている。その結果,他国から,自国に関係する文字について,符号標準化の提案が起こっている。符号標準化の中心は国際標準であり,国内標準は今後さらに空洞化するものと見られる。
また,どの言語においても,日常的・一般的な文字の符号標準化は,概ね終了している。今後は,人名・地名などの行政用文字と,歴史的文字などの学術用文字が,符号標準化において検討される文字セットの中心となる。博物学的興味だけでは不十分であり,学術的知見を基盤とした検討が重要である。