「近代語コーパス設計のための文献言語研究」共同研究会発表会

プロジェクト名
近代語コーパス設計のための文献言語研究 (略称 : 近代語コーパス)
リーダー名
田中牧郎 (国立国語研究所 言語資源研究系 准教授)
開催期日
平成23年12月26日 (月) 13:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室

発表概要

「『明六雑誌』コーパスを用いた一人称代名詞の計量的分析」近藤 明日子 (国立国語研究所 プロジェクト奨励研究員)

雑誌の論説記事のような書き言葉的要素の強い文章に用いられる一人称代名詞について,近代語での実態は未解明の部分も多い。その解明の手がかりとすべく,『明六雑誌』の形態素解析済みコーパスを用いて,一人称代名詞の諸語形の計量的分析を試みる。

「近代の地方出身作家の助詞の用法について ―宮沢賢治と浜田広介―」小島 聡子 (岩手大学 准教授)

助詞の用法については,年代あるいは地方によって違いがある。近代において地方出身者が標準語を使用した際の助詞の用法について方言の影響,上京したかどうかによる違いなどを『太陽コーパス』とも比較しながら分析する。

「近代語に探る〈終止形準体法〉の萌芽的要素 (仮題) 」島田 泰子 (二松学舎大学 教授)

コーパス利用ならではの用例収集とその応用研究の一例として,近代語における終止・連体形の準体法的な用法及びその類例に注目し,今日的な「終止形準体法」への影響関係を探りたい。

「近代対訳コーパスにおける日韓の語彙の諸相 ―文体の異なる対訳コーパスの比較を通して―」張 元哉 (韓国啓明大学校 教授)

日韓の語彙は,近代以降から現代に向かって類似性を高めていく。今回は,近代における文体の異なる日韓対訳コーパス (『西洋事情』-『西遊見聞』,『文七元結』-『東閣寒梅』) の比較を通して,語彙量,品詞,語種,語構成などの観点から日韓の語彙の様子を探る。