「日本語変種とクレオールの形成過程」研究発表会
- プロジェクト名
- 日本語変種とクレオールの形成過程 (略称 : 海外の日本語変種)
- リーダー名
- 真田 信治 (国立国語研究所 客員教授)
- 開催期日
- 平成23年12月2日 (金) 15:00～18:00
- 開催場所
- 国立国語研究所 3階セミナー室
発表概要
「南米沖縄系移民の生活と言語接触の様相について」白岩 広行 (大阪大学 助教)
南米に日本から多くの移民が渡ったことは広く知られているが，本発表では，特に沖縄にルーツを持つ移民コミュニティ2つを取り上げ，それぞれに おける言語接触の様相について概要を報告する。
今回取り上げるのはブラジル・サンパウロの都市型コミュニティ (ビラカロン) とボリビアの農村型コミュニティ (オキナワ移住地) の2つである。 前者では，2世以下で日本語が急速に使用されなくなっているのに対し，後者では日本語とスペイン語のバイリンガルな状況が比較的維持されているこ とが明らかになった。このような言語状況は，都市型／農村型というコミュニティの性格や生活戦術の違いに起因する可能性が考えられる。
また，実際にコミュニティ内で使われている「日本語」の言語的特徴を観察すると，いわゆる標準的な「日本語」と異なる特徴が見出される。特に， 日本語が維持され続けるボリビアの談話に注目すると，スペイン語・沖縄方言が頻繁に混じる一方で，目撃性のシヨッタ，説明のモダリティに関わるワ ケなど，ウチナーヤマトグチ的な特徴も見られる。