「複文構文の意味の研究」研究発表会
- プロジェクト名
- 複文構文の意味の研究 (略称 : 複文構文)
- リーダー名
- 益岡 隆志 (神戸市外国語大学 教授 / 国立国語研究所 理論構造研究系 客員教授)
- 開催期日
- 平成23年9月11日 (日) 13:00~16:30
- 開催場所
- 名古屋大学 全学教育棟 北棟406室 (名古屋市千種区不老町)
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発表概要
「名詞の形式化・文法化と複文構成 ―ダケ・キリにみる―」宮地 朝子 (名古屋大学)
現代日本語の副助詞ダケ・キリは,原因理由の (タ) ダケニ / ダケアッテ,程度の (タ) ダケ,限界のタキリ (…ナイ) 等,接続助詞ともされる複文構成の用法を持つ。ダケ・キリとも歴史的には名詞から形式化し,近代に至って副助詞の構文的特徴を示すが,接続助詞用法はその過渡的段階として近世から観察できる。このようなダケ・キリの史的展開を,複文構成という観点から見直し,名詞の形式化・文法化との相互関係を考える。
「上代・中古資料における非制限的連体修飾節の分布」橋本 修 (筑波大学)
日本語において,非制限的連体修飾節は上代から現代まで一貫して存在しているが,上代・中古語を現代語と比較した場合,下位類の分布状況には違いがある。具体的には,益岡 (1995) の言う「継起」タイプが非常に少なく,また,「継起」タイプの中でも特に増田 (2001) の言う「談話展開型 (の連体修飾節) 」が皆無に近いという分布状況である。非制限的連体修飾節におけるこの状況は現代中国語の状況に似ており,また,代替物としての連用修飾節・並立節の多用という面でも,現代中国語と共通点を持つ。
「いわゆる主要部内在型関係節の形式と意味と語用論 ―〈全体〉と〈部分〉から複文構文を考える―」坪本 篤朗 (静岡県立大学)
いわゆる「主要部内在型関係節構文」 (「太郎は[リンゴが皿の上にある]のを取って食べた。」) を中心に取り上げ,この種の構文の成立条件,括弧部の節の構文論的位置づけ (副詞節なのか項なのか) といった問題を論じる。従来からいわれる,〈切れ〉と〈つづき〉の問題,〈修飾〉と〈叙述〉の問題,等位関係と従属関係といった「節連結」(clause linkage)の類型と関連するとともに,〈主体性〉あるいは〈主観性〉の問題を考えることになるであろう。